2 『再会』
久びさのワプ回です!お楽しみください!
「「……………………………………」」
この数分の間。
宿の中は沈黙が支配していた。
現在この宿にいるのは二人のみ。
お互いが机を跨いで向かい合っている。
もちろん良明とワプなのだが。
__あの後なんとか誤解を解くことと
メリアルとクレアのちゃんとした紹介に
成功し無事勘当は免れた。
その後メリアルはクレアを連れて散歩に行った。
メリアルなりの気遣いなのか何なのかはしらないが元といえば彼女のせいで変な再会となったのだ。
それゆえに二人の間には
変な雰囲気が流れていた。
「……ぁあ。改めてひ、久しぶりだなワプ。元気してたか?」
沈黙に耐えられず良明が口を開く。
「…え…えぇ。お客さんは来ませんでしたけど……そのなんとか……はい。」
「そうか…………」
「「……………………………………」」
……会話が全然続かないんですけど!?
「あ あのさぁワプ。ちゃんとわかってるよね?クレアはその…メリアルに教えてもらった魔法陣を描いてたら偶然に生まれちゃった子でメリアルはあんなんだけど…一応護衛で来てもらったんだよ。元ストロンなんだよ?」
「わかってますよ。クレアちゃんがちゃんとした生物ではないことはなんとなくわかります。魔力の感じが特徴的なので。…でメリアル様が元ストロンなのも思い出しました。さっき会った時なんとなく知っている気がしたので。そう言われるとそうだったと。ただ私が思い出す限りメリアル様は誰かと関係を持つことを嫌い、感情を持たない兵器のような女性という認識だったので…いやメリアル様の姿を見たのは1回だけでその情報のほとんどが噂なんですけど。あのようにクレアちゃんを散歩に連れてったり…その冗談を言ったりするのが信じられないというか。特にアキさんと距離が近いというかほんとに護衛としてきただけなのかなって。
ほんとはできてるんじゃないかって」
そうワプが言うのと同時に良明は反射的に返答する。
「いやできてない。たしかに呼び捨てだし変に会話は弾んでるように見えるかもしれないけどできてない。断じてできてない。」
真顔で返す良明を見て
ワプはこれは嘘ではないということを理解する。理解と同時に少し安心して笑みがでるが本人は気づいていない。
「そうですか。……そう…ですか。ふふっ
わかりました。すいません。本当にメリアル様とは何も無いんですね?えぇわかりました。
ちょっと用心深くなっちゃいました。本当にお二人がその…そういう関係だったらなんというか自分が二人の邪魔になる気がして。ちょっと怖かったんです。でもはい。そうですか。
ならアキさん。改めて…いいですか?」
完全にいつもの柔らかい感じに戻ったワプは
ずいっと良明のほうに顔を近づける。
「ん?な、何だ」
急に顔を近づけられて戸惑う良明。
自分の顔が赤くなってるだろうなと思いながら
必死に目を逸らす。
「あの…ちゃんとこっちを向いて欲しいんですが。」
「あ。はい。」
ワプの言葉でさっと正面を向くと
目の前に愛らしい顔があった。
思わずまた顔をそらしたくなるが我慢する。
目が合ったことを確認すると
ワプは心からの笑みで良明に向かって
本当に言いたかった言葉を口にした。
『おかえりなさい!アキさん!』
少々照れくさかったのか顔をわずかに赤くしながらそういうのだった。
もちろん良明もだまってはいない。
こうも心から言われたのだ。
返すことが礼儀だろう。
良明もなんとか目をそむけることなく
自分ができる最大限の笑みを浮かべて言うのであった。
『あぁ。ワプ本当に遅くなったけど。ただいま!』
____一方そのころ。
宿の玄関前では日没が迫ってきたため
短時間で散歩をやめた二人が待機していた。
「ねぇまだはいらないの?」
クレアはなんとなく小声でメリアルに聞く。
メリアルはクレアの頭に手を置き撫でながら
「今はまだ。もう少しそっとしときましょうか。ほらクレア様。星がうっすら見えてきましたよ。綺麗ですね。」
そう言いながら二人は空を見上げるのだった。