8 王城の庭にて
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時刻は昼下がり。
良明はメリアルの同行という条件で
クレアを城の庭で遊ばせることに成功した。
そう言えば城に来てから
1回も外に出てなかったな…
良明は深く大きく深呼吸をする。
「いやぁ空気が美味しいなぁクレア!」
「くうき?おいしいの?わかんない…」
どうやらクレアには俺同様の知識や身体能力は
備わってるみたいだが『空気が美味しい』など
本能的な感覚は共有できないようだ。
……ちょっと悲しいなぁ
「それにしても私たち他から見たら
子連れの親子にでも見えるのでしょうか?」
そうメリアルは真顔で呟く。
「まぁ確かになー」
「変な想像はやめてくださいお客様。」
「!? おまえが言い出したろうがァ」
「うるさいですお客様。」
この城に来て何回 このような掛け合いを
しただろう…この人 誰かを馬鹿にする時に
見せる表情が一番 幸せそうなんだよな…
ちょっと嬉しそうにしてたメリアルだが
すぐに通常モードに戻ると
草を観察していたクレアの元に近寄り
「クレア様。お客様は性欲の権化です。
危ないですからもういっそこの城にー」
「おわァァおまえ何言ってるんの!?」
子供相手になんてこと言うんだこのクソメイド
しかも これから一生に住むやつに…
「? ごしゅじんさまはえろいけど
ちきんのどーてーだからだいじょうだよ!」
「「………………………」」
……………あ。そうか
クレアって俺のこと全部知ってんだ…
にこにこしながらメリアルの方を向くクレア。
クレアもこれは流石に衝撃を受けたのだろう。
固まっている。そしてどこか悔しそうだ。
どうやらクレアはメリアルキラーなのかも
知れない。
そんなことを考えていたときだった
頭がいや脳が掴まれるような感覚を味わった。
その直後。
『プレシアス』
脳から身体の末端にかけて 声が響いた。
そしてすぐに何事もなかったかのように
頭は元に戻った。
これは魔法を覚えたってことらしい。
…それにしてもまだ慣れないなぁ…
いきなりくるのは本当にやめて欲しい。
なんか呪いかけられたみたいな感じだもん。
とりあえず『プレシアス』ってどんな
魔法なんだろう すごい気になる。
「なぁメリアル 今 魔法覚えたっぽいんだけど
プレシアスってどんな魔法だ?」
「今 覚えたのですかお客様。
まぁこの城に来てからレベルは上がった
でしょうし」
「え? レベル?俺なんも戦ってないよ」
そう言って自分の服を触りまくり
ステータスカードを取り出す。
(最近 気づいたんだがこのカードは
どんなとこに置いても結局は自分の手元に
瞬間移動するっぽい。常に服などのポケットに
入っているのだ。)
良明はレベルを確認するために
この文字がない俺の顔の絵?みたいなもの
しか描いてない免許証のようなそれを見つめる。
(見つめることで脳が本能的に
自分のレベルを察知する仕組みだ。)
あ 上がってる。 森龍討伐の時
Lv9になってたけどなんかLv12になってる。
「メリアル 戦闘以外でもレベルって
上がんの?」
「えぇ レベルは自分やその周囲の人々などに
有益なことをしたときに貯まる経験値が
一定数超えたら上がりますが…」
そうなんだ…じゃあメリアルに
文字を教えたりフリードに酸化のこと言ったから上がったんだ…へぇ。
「そろそろ戻りましょうお客様。
夕飯の支度があるので戻りたいのですが…」
「あぁそうだな…おぉいクレアァ 帰るぞー。」
「わかったごしゅじんさまぁ!!」
白髪をなびかせて戻ってきたクレアの手には
何かが握られていた。
「はい!これ!ごしゅじんさまに!どーぞ!」
そう言ってクレアは俺にその手にしていたものを渡してきた。
…なんて優しい子なんだろう。
メリアルとの温度差に感動を覚え
お礼を言い頭を撫でてその物をもらうが
「え?」
…貰ったものは 草冠だろうか ちょっと
形崩れしててよくわからないものだった。
…そういや俺 こういうの不器用だった…
ちょっと自分の低能さにショックを
受けながらもクレアの手を握り
既に帰り始めているメリアルのほうへ向かう。
クレアは楽しかったみたいで鼻歌を歌っている
ー 俺の国の有名な曲なんだけど…
まぁ可愛いからいいか…………………………
あ。 てか待って…そういや俺
『プレシアス』ってどんなのか聞いてねぇ
気づいたときには既にメリアルは
厨房へ向かっていた。




