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異世界でこの知識をどういかすか  作者: 麗良佳 新
長すぎる平穏の日々までの道編
24/44

22 幕間:突然な展開

酸化が酸素が物質と化合する現象であることは

俺らの世界ではひとつの常識だった。

「「「サンカ?」」」

しかしこの世界では一市民はともかく

国の最高戦力や国王でさえも知らないらしい。

…ほんとどうなってんだろこの世界。

俺はさびている壁を指さしながら説明をする。

「壁の所々が茶色になってるだろ?

これは酸素とこの壁の材料の鉄が反応して

脆くなってるんだ。まぁ酸素じゃなくても

酸化っていう時もあんだけど…」

「これってただの老朽化じゃないんですか?」

「確かに老朽化っちゃそうなんだけど

塗り替えて半年も経ってないのに老朽化とは

言わないかな…」

「つまり これは防げるものだと?」

俺のワプへの返答の後

間を置いてフリードが尋ねる。

「普通に防げるはずだ…です。

寧ろこんな早く酸化反応が起こる方が

おかしいんですけど…」

「ふむ…」

「じゃあ どうゆーときにそのサンカって反応が

起こりやすいんだ?兄ちゃん。」

「酸化は高温で酸素濃度が高かったら

活発になるはず………っあ!」

「兄ちゃんどうした?」

「高熱の要因はわかった。」

良明は壁に等間隔に配置されていて

今もなお暗がりを照らす炎の灯った

燭台 を見て呟く。

「あの 燭台って…」

フリードに尋ねると

「それは基本 深夜 調査隊が見回る時に

ほぼ毎日付けているが?」

予想どうりの答えが返ってきた。

しかし 高熱があったとしてもこうも

すぐ酸化はしない。

やはり他にも原因があるはずなんだが…

壁の辺りを見渡してもそれらしいものはー

「ホリーフレア。」

突然 フリードが詠唱する。

その直後。目の前の壁が光に包まれた。

発行源が炎であると分かったのは

その少し後だった。

赤くも青くもないこれといった色のない

眩い炎は壁の一部を焼き尽くす。

「国王様。一体何を鉄を溶かすなら威嚇目的の

ホリーフレアでは無理っすよ?」

「ソルドー違うぞ。

私はただ試しているだけだ。」

「はぁ…」


光の炎は数分程度してから

フリード自らによって消された。


「ほぅ。どうやらサンカという現象は

本当らしい。」

フリードは先程まで燃やされていた

壁を見て呟く。

先程まで若干 光沢のあったその部分は

焦げ茶色っぽくなっている。

どうやらフリードは酸化の存在を

確かめたかったようだった。

てか 炎ともすとき言って欲しかった。

正直急に目の前が着火したら焦るわ。

「あの…アキさん。」

ワプが小さな声で俺を呼ぶ。

「どうしたワプ?」

「あの…さっきアキさん サンカは

熱と酸素で起こるって言ってましたよね。

それをふまえて壁のことを

考えていたんですが…ひとつカセツが…」

以前 宿で化学をしたときに

仮説って単語教えたことを思い出す。

「…で その仮説って?」

「多分 酸化を早める原因のひとつが

オーツ草なのではないかと」

「オーツ草?」

「オーツ草というのは普通の草より

その…コーゴーセイが活発で しかも

少ない二酸化炭素でたくさんの酸素を

短時間で作り上げるとても便利な雑草です。

ほらっ壁の近くにたくさん生えてます。

あの背がひときわ高いやつです!」

そう言って指を指しながら説明するワプ。

…短時間で酸素が大量にできて

オマケに夜は炎を壁中に灯してる

この条件ならこの現象が引き起こされるのも

無理はないか…

良明はそう考えながら軽く溜息。

空は既に明るくなってきていて

壊れていない壁を照らす。

照らされた壁の所々も同じように

酸化が大分進んでいることに気づく。

「国王様…このままじゃあ壁が全部

ぶっ壊れるかもです…」

「燭台とオーツ草を除けと?」

「それが一番手っ取り早いです。」

「それは無理だな。

オーツ草は人々に必要だ。この街は人が多い。

彼らの呼吸が正常に行われるためにも

少ない土地で大量の酸素を作れるオーツ草は

欠かせない。 燭台もだ。これを取り除くと

夜のモンスターの襲撃に気づけない。」

言葉に詰まる。遅かれ早かれ壁は

酸化により崩れるだろう。かといって

原因を取り除けばそれはそれでヤバイ…

「アキさん…どうにかできませんか?

このままだと…いずれ…」

街が滅ばないためにも 良明は思考を

フル回転させる。今まで覚えてきた

現代知識を思い出しては削っていく。

何かないのか酸素と熱が一定であり続けても

酸化を防ぐものは壁を壁として保ちつづけるものは………………………………………………………

考えて考えてまた考えて考え直して考え続ける

頭がショートしそうだ。

「うーんダメみたいだねー」

ソルドーが俺を見て呟く。

まだダメじゃない考えてる途中なのに…

「国王様ぁ やっぱり早急に塗り直しを

行うほかないのかも…」

塗り直したところで延命措置にしかならない。

塗って塗って分厚くなった壁が壊れたら

それこそ被害の収束は難しく…ん?

塗る?

ふと 引っかかる単語に考えがとまり

再び動き出す。

「そうだ! 塗り直せば!」

「だから 言ったじゃん塗り直せば

延命措置になるって」

「違う。塗り直すのは鉄じゃダメだ!

あの壁にメッキをかければいいんだっ!」

ようやく導き出された答えに対して

三人は意味がわからないという表情を見せる。

「メッキってなんですか?」

ワプが尋ねる。

「メッキって言うのはな…」

説明を始めようとした良明だが

フリードに腕を掴まれ口を閉じる。

フリードはもう片方の手で額に当てている

「その話。城で聞こう。すまんソルドー

コールから城へ戻るようにと今。

火急だそうだ。お前は壁の護衛に

ついておけ。」

「えっ!? はい承知…」

「え? 城? 火急? 俺は? え?」

「コール!いいぞ!」

フリードがそういった瞬間。

自分とフリードの身の回りが青く光り…

「全く…待たせないでほしいんですが」

眼鏡をかけた 気だるげな美青年は

自身の紫色の髪を掻き毟る。

この状況から理解するに

…どうやら本気で城に転送されたらしい。


1章完結です!

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