12 至福の待ち時間
その日はすぐに来た。
「ワプ まだ朝7時だよ?」
国王の来訪日の今日ということで
朝からワプはいつ来てもいいように
朝5時から宿を掃除し(普段から綺麗なんだが)
朝6時からずっとドアの前に
姿勢を正していつでもこいとばかりに
待っていた。
「来られた時の第一印象が大切なんですよ
アキさん!」
「確かにワプは一人一人の
接待は丁寧だもんな。」
「えぇ。だってリピーター増やさないと
経営が…」
「なんかいけないこと言ったねごめん。」
窓から見る空は青々としていい朝だった。
「…でずっと立ってるのキツくないの?」
「宿のためなら 余裕ですよ!」
トムといいワプといい
俺の知り合いは商売欲が
激しいやつしかいないな…
まぁお互いの利益率は雲泥の差なんだけど…
ずっと背筋を立て立ち続けるワプを
みて笑いがこみ上げてくるなか
窓からメッセージがおくられてきた。
「あら、伝言球。」
伝言球っていうのか知らなかった…
ワプがふれると
音声が流れる。
「国王だ。今から城を出て向かおうと思う。
忙しいなか時間を作ってくれてありがとう。
本当に感謝している。着くのは
昼過ぎあたりになると思う。ではまた。」
「昼過ぎですってワプさん。」
「ええ。少し休みましょう。
張り切りすぎました。
…なんで笑ってるんです?」
「いや 国王様 忙しい中って言ったじゃん
そこがね。」
「…国王様の前ではそこそこ
忙しい宿風にしてくださいよ?じゃないと
プリン食べたいって伝えられた
1週間後に招き入れれたのが
人が少ないっからってバレちゃいますもんね。」
「そうだな。」
「それにしても 時間が余りましたね…」
「暇だな」
「もう少し丁寧に掃除しますかねー」
「!?いやこれ以上綺麗にするって
不可能だろ?」
見渡す限りキラキラと効果音の
出てきそうな室内を見渡しながら
そう叫ぶ俺。
「じゃあ庭の整備でも…」
「そういや庭の整備はいいの?
草むしりとかだろ?」
「あ いえ草を根本から抜くのはダメなんです。
支障が出るほど伸びすぎていれば高さを揃えるくらいはいいんですよ。」
「なんじゃそりゃでも庭はきれいじゃん。」
「まぁそうですね…うぅ 暇ですね。」
渋々状況を受け入れるワプを
可愛いなと思いながら俺はひとつ案を思いつく。
「そうだ。朝だけど時間あるし
授業してやるよ ワプが好きな算数を進めよう。」
「わかりましたっ!」
楽しみなことができて
尻尾をふるようにもとい。自分の尻尾を
実際ふりまくるワプは紙とペンを
取りに行く。
この日々が続けばいいのにな。
元の世界の授業はあんな退屈だったのに
おかしなことに、ここでの授業はあっという間に
時間がすぎていく。
そして すぐに昼になった。
二話連続しちゃいました!




