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異世界でこの知識をどういかすか  作者: 麗良佳 新
長すぎる平穏の日々までの道編
10/44

9 歴史事実

「チャッチャッチャリチャリチャリリリーん♪♪」

「トム 鼻歌がお金の音になってるぞ…

残念だが紙が乾くにはまだまだかかるぞ」

「…おいおいそんな悲しそうな顔すんなよ

おいやめろ。そんなおやつのお預け食らった

子供みたいな顔すんないい大人だろ。」


クエストから帰ってくると既にトムが

頼んでおいたのとほぼ同じの

紙 製造グッズを作り終えてまっていた。

俺はすぐに紙作りに取り掛かった。

途中 トムに説明しながらなので

数時間かかった(ちなみにワプは寝かせている。)


…で今に至るが

「だからまだだってば。」

干してある紙(詳しくいうと紙になるもの)を

見つめて鼻歌を歌えるトム。

こいつといるとなんかこっちまで

住民から変な目で見られそうだ。

(作業は宿屋の庭でやっている)

ワプは夕飯づくりまで寝ると言っていたな…

俺は太陽をみる。

まだ一時間ほどありそうだ。

少し暇を潰そうか。

「なぁトムこの辺りに暇を

潰せるとこない?」

「ん?あぁ絵本館があるぞー」

文字がないから本も絵本なのか

まぁそれはそれでよさそうだ

「ちなみにどこだそこ?」

「あぁえっとこの先を左に曲がって

まっすぐ行ったら家の壁に苔が生えてる

家があるからそこを右に曲がって

それから(以下中略)」

メモをすると同時に

心の中では早く地図を作らないとと思う。

そしてその絵本館へとむかった。


「ここか…」

目の前にはレンガ造りのレトロな

建造物。 本のようなオブジェが

建物の前の広場にあるから

ここで間違いないと思う。

俺はドアを開け中を見る。

見えた光景はごく普通の図書館。

見渡す限りビッシリと

本が棚に並べられている。

司書の人に初めて来たことを伝えると

借りたい本があったら持ってきてくださいとだけ

言われた。立ち読みなどもしている人が

いる辺りできるらしい。

俺は棚の中の一冊を適当に選ぶと

パラパラと一通りのページをみる。

「本当に絵本なんだな…」

絵本だが絵本とは言えない

絵のクオリティの高さに驚く。

しかも文字がないのに絵だけで

ストーリーを理解できてしまうのが

不思議だ。この世界特有の情報を

伝える技術がそこにあった。

本は色々な種類があった。

料理用の本 冒険者の本 建築の本

魔法の本などいろいろ

見てると楽しくなって

片っ端から読んでしまっていた。。


絵本だからすぐに読みおわるため

ほんの三十分で二十冊近くを読んでいた。

今まで読んでいた仕事の本を

読み終わり次の本を開いた瞬間

背筋が凍りついた。

それは驚きによるものだ。

しかしその驚きも想像により恐怖へと

変化していく。

知ってはいけないものを

知った気がした。


そのページには

新聞のようなものを読む一人の男性が

描かれていた。

このことが示すのはただひとつ

この世界には紙も文字もかつては

あったということだ。

見間違えではない。

何度見てもその男性の読むソレには

絵ではないものが記されている。

「いったい何が…」

俺はこの本を借りることにした。

この本だけというのも何かと

怖かったので魔法の本も数冊

司書のもとへもっていった。

司書は手続きをはじめるが

例の本をみると顔の色を変え

「すいません。この本は

国から処分が言い渡されているんです。

私も何がだめなのかわからないのですが

とりあえず 処分しないとなので

借りることはできません。」

そういった。


夕暮れ 宿への帰り道。

良明は複雑な気持ちで歩いていた。

この国には文字があった。

でもいまはない。なにかあって消された。

だがいつからだ 本は格別古くはなかった。

あの司書は本当に何も知らないのか。

今 自分がしていることはいいのだろうか

これが国に知られたらどうー

「あっアキさんーおかえりなさい。」

その声で我に帰った

いつの間にか宿の近くまで

歩いていたらしい。ワプが窓越しに

俺を呼ぶ。俺は軽く手を振ると

小走りで宿へとむかう。

とりあえずさっきのことは忘れよう。

そう思った。

「おかえりなさいアキさん」

出迎えに来てくれたワプ

「ただいまーワプー腹減ったー」

そんなことを言いながらドアをしめる俺。


そんな中 終始

烏のような鳴き声が

赤く染まった空に響き続けていた。

ちなみに絵本館の絵本の

素材として魔獣の革が使われています

(乾燥や湿気に強いので)

ただ もとより1ページの厚みがえぐいので

何百ページも重ねられませんが…

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