『自由人』
本当の『自由人』は何色にも染まっているようで、何色にも染まっていない、そんなヤツの事を言うのかな?
次男の乙女。
男の子なのに乙女とあだ名するくらいだから、とてもマイルドな性格の持ち主だ。
長女のガチムチがファンタジスタ・トロピカルジュースだとすれば、
長男のキャタピラーはカップとソーサーで用意されたブラックコーヒー、
三男のチャラ男は甘み増量のマミーだろう。
そして、乙女はと言うと
『ミルク多目のカフェオレに水入れた?』と言った具合か。
解りづらい表現だろうと思うが、私からしたらしっくりくるし、そんなかんじだ。
ただ小一病を患っているせいで、近頃ではそこにコーラを入れやがった状態になっている。
今までは飲めたものが、ちょっと飲めない物に着々と変身している。
そんなヤツだが、去年辺りまでは天真爛漫な可愛い天使のようなヤツだった。
ワガママすらも、『もう、しゃあないな~』と許せるほどだ。
なんせ、ベビちゃんに近い頃は唯我独尊でも可愛いと思えたぐらいである。
それは所見だった頃のお腹魔神にも言えた事だったらしかった。
乙女がお腹魔神に発した第一声は
『車持ってる?』
第二声は
『お金ないの?』
ホンマに親の顔が見たい………。
『申し訳ありません‼』と言いたくなる私だったが、お腹魔神は『おぉ、自由人。』と思ったらしい。
遠慮のなさが返って、天真爛漫、無垢に見えたようだ。
私は恥ずかしさいっぱいだったが……。
頼む………、よそでは勘弁してくれ。
親の心子知らずとはよく言ったものだ。
しかしこんな傍若無人な小さな乙女は、何故かどこに行っても人気者なのだから、私は不思議で堪らない。
親だからワガママすらも可愛いと思えるが、よそ様までミラクルワールドに誘うのだから。
摩訶不思議、愛されキャラ。
そしてこの愛されキャラは大人・子ども関係なく巻き込む上、天気や病気までも守備範囲に入れる。
ヤツが参加するイベントはことごとく『雨』だ。
入園式、卒園式、入学式、七五三、旅行、遠足……。
小一病を患ってから、晴れる日が増えたが。
私も長女・長男もウイルス性の病気に今まで掛かったことがなかったが、ヤツに掛かれば一撃。
水疱瘡におたふく風邪は、乙女を介してガチムチとキャタピラーに伝染。
インフルエンザが回りで、大流行しても我が家はノン被害だったのに、乙女の登場で毎年家族中で大流行。乙女に至っては2回転するほどだ。
乙女の回りで流行る病は、必ず乙女は掛かる。
そして乙女は流行った病を我が家に適応する形に変換させて培養、我が家に振り撒く、『乙女スペシャル』と言う有り難くないサービスをしてくださるのだ。
最近では『風邪』がそうだ。
乙女が掛かり、キャタピラーが『咽頭炎と胃腸風邪』に変身した『乙女スペシャル』を喰らい、続いて『長期間風邪』にバージョンアップしてお腹魔神に、今は私が『熱の上がらないメンドクサイ風邪』を頂いている。
おまけに再び乙女が風邪の症状、キャタピラーがぶり返し、お腹魔神は現在進行形で風邪を引いている。
本当に迷惑極まりないが、昔に比べて程度が軽い。
そう言えば、乙女は1才・2才の時立て続けに命を落とし掛けた経験がある。
階段から転落して頭を打ち、額が割れて縫うと言う大事を2年連続で経験している。
2度ともお医者様から『額が割れて良かった。もし割れてなかったら死んでた』と言われた。
乙女は神様か死神か分からないが、そういう物にまで愛されていたのかもしれない。
そう思うと近頃の『コーラ』入りも悪くはないな……。




