【詩】穏やかな暮れ色
穏やかにあたりを
照らす
黄昏のひかり。
ウンカが一匹、
フロントガラスを這う。
暮れ色は、
まだ鋭さを残す。
ぼんやりとした雲を
透かす
薄いオレンジいろ。
こちらを向き、
影になっている顔の
道路標識は、
なんだか変な
妖怪みたい。
わたしが
揺れているのではなく、
わかみどりの芽吹いた
木の枝の先が、
あるかなしかの風に
吹かれて、
揺れていた。
もっとも
たそかれらしいたそかれに、
とても白いよこがおの、
美しい女が
過ぎて行った。