第五話
間がだいぶ空きました。
スミマセン。。。
今日は結局、1、2限が係決めや委員会、学級委員長などを決め、3限は学年集会、4限は全校集会をして帰宅となった。明日には春休みの課題テストがあるため、どの学年の今日は帰りが早い。
「あ~あ、明日はテストかあ~…」
大希が溜息をつく。
「そうだね。まあ、中学校までの内容だし、大希受験勉強頑張ってたからそんなに気負う必要ないんじゃない?」
「それがそうでもねーんだよ…。合格発表の次の日から遊びまくってたから結構やばいんだよな…」
「春休み、一緒に遊んだときに『明日はあいつと遊んでくるんだー』とか言ってたけど、ほぼ毎日だったんだね…」
「ちょっと調子のりすぎた。春休みの課題もほとんど答え写しちまったし全然分からねーんだよ…。…あ!」
「ん?」
「今からヒロんち行ってもいい?」
「別にいいけど…」
「明日出そうなとこ教えてくれ!!」
大希が両手を合わせて頼んでくる。
「はあ…。わかったよ」
(そう来ると思ったよ…)
そういって僕らは、いつもの分かれ道を通り過ぎた。
――孤児院に着くと、先に帰っていた碧がもうテスト勉強をし始めていた。
「早いね碧…。流石だよ」
「別にいつものことじゃない。今更そんな褒められても何も出ないわよ。…で、あんたの後ろのやつはどうしたの」
碧が大希を睨みつけながら言う。
「一緒にテスト勉強しようと思って…」
「どうせまた『教えろー』とか言われたんでしょ。ほとんどやること終わってるから、困ってるなら付き合うけど?」
「…一緒に勉強したいって言やぁいいのに」
大希がボソッと言う。
「何か言ったかしら?」
「いーえ!なんでもないです」
「無駄口叩いたら教えてあげないからね」
「まことにもーしわけありませんでした。」
「じ、じゃあ早く部屋いこっ」
そんなこんなで、僕と碧による、大希のためのテスト対策が始まった。
――ゴーン…ゴーン…
18時。市の時計塔が鳴った。
「あれ、もうこんな時間!?ヒロ、碧、さんきゅーな!」
そう言って大希が帰り支度を始めた。
僕も夕飯の用意を手伝わなくてはと思い、机上を片付けはじめた。
「……尾崎さん、あれだけ必死にお願いしておいて、最後まで聞かずにお帰りになさるつもり?」
僕と大希が恐る恐る顔をあげると、凄まじいオーラを放ってこちらを見る、笑顔の碧がいた。
「いいえ。」
大希は手を止めてそう呟いた。
その後、斉藤さんに大希の宿泊についてお願いすると、
「あら、じゃあすぐに準備するわねー」
と、あっさりと許可をもらえた。
「すみません、斉藤さん…。ご迷惑をおかけして」
夕食を終え、怒りの収まった碧は斉藤さんに謝罪した。
「いいわよー、いつもいろいろ手伝ってもらってるし。これくらいなんてことないわよ」
「でも…」
「たまには私たちに甘えていいのよ。家族なんだから」
「…はい」
斉藤さんにそう言われて、碧は微笑み、話すのをやめた。
――翌朝。
僕たち3人は朝食を食べている。
「…大希、眠そうだね」
「眠いってか、頭パンクしそ…」
「まあ、昨日まで全く勉強しないでいたあんた自身が悪いんだから自業自得ね」
「「…」」
言っていることは厳しいけれど、正論なので僕と大希は何も言うことができない。
「…でも、二人ともありがとな。おかげでなんとか行けそうな気がするぜ」
死にそうな表情で大希が言う。
その表情に、さすがの碧もキツイ言葉はかけられなかったようで、そっぽを向いて「別に」と言った。
僕は、笑顔で「どういたしまして」と言った。
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勉強疲れの大希を思いやって、今日は静かに登校した。
登校中、大希は終始昨夜詰め込んだ内容をボソボソと呟いている様子だった。
テストは1~3限までで、国数英の順に行われた。
3限が終わると、皆一様に「終わった~」と言っていたが、その表情は、達成感あふれるものだったり、絶望や諦めで遠くを見つめていたりとバラバラだった。
昼休みになり、大希と碧、そして緑の一緒にいた廣野も誘って4人で食堂へと向かった。
「大希、おつかれさま」
自分の頼んだA定食と大希のB定食をテーブルを置く。
「さんきゅー、ヒロ。テストは二人のおかげでなんとか平均点くらいは採れそうだ」
「そっか」
「まあ、それくらい採ってもらわないと困るけどね」
テストが終わって一息ついたこともあり、碧の毒舌が息を吹き返したように炸裂した。
「…そういう碧はどうだった?いつものように90点以上は採れそう?」
大希が反論できないほどに疲労困憊している様子を見て、助け舟を出すように碧に聞いてみた。
「当然。出てきそうな問題は全部通して2回はやっといたからね」
「抜かりないね」
僕は苦笑いしながら答えた。
すると、ボーっと考え事をしながら無言でかつ丼(大盛り)を食べていた廣野が口を開いた。
「そーいえば、皆もう部活は何に入るか決めたのー?碧ちゃんはまた吹奏楽部?」
「もちろん。友姫も一緒に入るでしょ?」
「うんー」
廣野の言葉を聞いて思い出したが、明日から部活見学が始まるのだ。部活に力を入れているこの学校では、部活の様子を見学・体験する時間と、その部活の実績や目標、求めている人材などの説明を受ける時間がこの中に盛り込まれている。
「俺は一応サッカー部。クラブの監督に勧められた」
大希が答える。クラブを続けているし、そっちの方に集中すると思っていたから、僕は少しびっくりした。
「なるほど~。鹿野くんはー?」
「僕はまた無所属かなあ」
そう言うと、3人は一斉にこっちを向いて驚いた表情をした。
「こんなに部活の設備が充実してる学校で帰宅部!?」
「運動部も文化部も数多いし、一回見てから決めた方がいいぞ!」
「そうだよ、もったいないよ~」
「そ、そうなの?」
「「そうだよ!!」」
3人の必死さに僕は思わず身じろぎした。
「マジで孤児院への迷惑しか考えてなかったんだな、お前」
「部活は楽しいよ~」
「上下関係を学べるいい場よ!」
なおも3人は部活に入るように弁明してくる。
「でも、何に入ればいいのか…」
「じゃあ、私たちが鹿野の部活決めに付き合ってあげるわよ」
「え!?」
「俺らはもう何に入るか決まってるしな」
「友姫もいいわよね」
「うんー」
僕のことなどお構いなしに、勝手に3人で話が進められていく。
「ちょっとぉ…!」
僕は半分涙目になりながらそう言ったが、全く意味をなさなかった。
僕は諦めて3人の会話を眺めることにした…。
――結果、明日から4人ですべての部活を回ることになった。
また暇なとき且つ続きが思いついたときに書きます。
読んでくださりありがとうございました!!