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FOREST  作者: 尽音@
4/6

第三話

だいぶ間があいてしまいました…。

誠に申し訳ありません。


拙い文章ですが、楽しんでもらえるとありがたいです。

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


―朝6時。

県立和泉乃第一高校、体育館。


紅白の垂れ幕と綺麗に並べられた椅子の中に、1つの人影があった。


その人影は、1枚の紙を眺めていた。


「鹿野裕史…か……」


そう言うと、人影はどこかに行ってしまった。



薄暗い体育館を照らしていた太陽は、雲の向こうに隠れてしまった――。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



「っはあ〜、やっと終わった〜」


大希が背伸びをしながら言う。


「結構長かったね…」

「予定よりも早く終わってあれはないわ…」


そうなのだ。およそ一時間半かかった入学式は、もとは二時間の予定だったのだ。


「どいつもこいつも話長すぎなんだよ。大体、他人の俺らにかける言葉なんてないだろ」

「まあまあ。一応時間割いて来てもらってるんだからさ」

「そうだな。文句いってたって仕方ないしな!!」


そんなことを言いながら、僕たちは教室に戻った。


ようやく教室に着くと、そこには既に賑やかな空間が作られていた。

和泉乃第一高校(いずみのだいいちこうこう)は、部活動に力を入れていることで全国的にも有名な学校だ。

そのため、県外からの入学者も多い。


「すげーな!もうみんな仲良くなってる」

「僕もびっくりしたよ。やっぱり、部活頑張ってる人は社交的なのかな」

「まあ、部活は上下関係とか厳しいから、そういうところは自然と鍛えられるんじゃないか?俺なんか、家が近いからって理由で選んだからな」


大希は、地元のサッカーチームに所属しているため、部活には入っていなかった。

放課後は、そこで7時まで練習している。県内では強豪チームとして有名らしい。


「ヒロはどうしてここを選んだんだ?お前の頭なら、もう少し上のレベルでも受かっただろうに」

「…まあ、孤児院のためかなあ。それに成績上位って言ったって、碧には負けるしね」

「あいつは異常だろ。常に二位と大差をつけて一位とか、逆に頭おかしいと思うぜ。…でも、お前だって、いつも10位以内に入ってたんだから、少しは自信持てよ」


――自慢するわけではないけれど、テストでは、いつも10位以内に入っていた。孤児院に迷惑をかけないために、勉強には真面目に取り組むようにしていた。

碧も、同じ理由で勉強には力を入れていた。といっても、僕とはレベルが全く違うけれど。


「そういえば、碧はどうしてこの学校を選んだのかな?」

「それは…」


ガラガラッ。


突然、教室のドアが開いた。どうやら、担任の先生が入ってきたらしい。ついさっきまで賑やかだった教室も、一瞬で静かになった。

先生は、教卓にたどり着くと、話し始めた。


「今年一年間一年四組を担当することになりました、広野史織(ひろのしおり)です!みんな、一年間よろしくね」


先生は、子供のような笑顔でそう言った。

教室に入ってきたときの真面目な表情には息を飲んだけれど、どうやらとても明るい先生のようだ。

僕は少し安心して、ふぅ、と息をはいた。

周りの人も同じ気持ちだったのだろうか、肩を撫で下ろしていた。


その後、もう少し広野先生の自己紹介が続いた。

それによると、先生は英語の担当で、部活は吹奏楽部の顧問だそうだ。碧はまた吹奏楽部に入るとか言っていたから、そこの間での関わりがありそうだ。



(…そういえば、なんか誰かに似てるような…)


ふとそんなことを思ったけれど、誰に似ているか、それとも僕の気のせいなのかは分からなかった。



僕は、これからの高校生活を想像した。

――きっと、楽しくなるんだろうな。



◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



あのあと、学年全体で学校生活についての説明を受け、解散になった。

長い間ずっと話を聞いていたせいか、どっと疲れた気がする。


「…あーー、疲れたー…」


大希がたまらず言う。

言葉は発していなかったけれど、碧も珍しく疲れている様子だった。


「碧が疲れてるなんて珍しいね。講義とかがあっても、くたびれてることなんて滅多にないのに」

「流石に1日に二回講義みたいなのがあれば疲れるわよ…」


碧は深くため息をついた。そして、なにかを思い出したような顔をした。

「そういえば、あんたたちの担任って広瀬先生よね?」

「え?うん、そうだけど…もう覚えたの?早いね」

「流石の碧でも、入学式の時だけで覚えられるわけないだろ(笑)」

「そ、そうだね…」

「…でも、どうして突然俺らの担任の話?お前の知り合いかなんかか?」


少し恥ずかしくなって黙っている間に、大希が聞いた。


「別に、私自身は直接の関わりはないけど、友姫のお母さんなのよ」

「あっ、やっぱり!なんか雰囲気似てると思ってたんだよな」

「大希気づいてたんだ。すごいね。僕なんか、誰かに似てる気がするなあ、くらいだったよ」

「二人とも気づいてたの?しゃべり方全然違うから、気づいてないと思ってたけど、それなら言う必要なかったわね」


どうやら、先生の自己紹介のときに気になったのは、この事だったようだ。確かに、雰囲気はそっくりだけれど、話し方はや振る舞いは全く違う。


「まあ、担任だし、一応知らせておいたから。明日改めて挨拶しといて。友姫とは何度か話したことあるでしょ」

「うん、分かった。じゃあ明日挨拶しとくよ」

「りょーかい。…はぁ〜、もう明日から授業か〜……」

「ホント、拷問よね」

「…ね…」


果たしてこんな調子で明日は授業を受けられるのだろうか。

さっきまで希望しか見えていなかったのが嘘のようだった。

最後まで読んでいただきありがとうございます。最近とても忙しいので、定期的にあげるのは難しいと思われます。


時間があるときに投稿するつもりなので、次がいつになるかはわかりません。


楽しみにしてもらえるとありがたいです。

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