第一話
流石に前の話だけだと全く概要がつかめないと思ったので、早めに投稿をさせていただきました。
拙い文章ですが楽しんでいただけると嬉しいです。
「………ろふみくん!裕史くん!!」
「はいっ!?」
僕ははビックリして思わず返事をしてしまった。
「やっと起きましたか。早くしないと遅刻しますよ」
「お、おはようございます。斎藤さん」
(………恥ずかしい…)
珍しく寝坊をしてしまった。
(しかも返事するとか…)
だが、考えごとをしている場合ではない。あと20分で朝食を摂り、支度をしてここをでなければ学校に間に合わない。
僕は鹿野裕史。今日から高校生になる。今日の入学式を遅刻でスタートさせないために、今、一刻一秒を争っているのだ。
僕は一分で服を着替え、居間へ急いだ。まあ、居間というか食堂に近いのだが。
僕は孤児院で生活している。幼いころに森に捨てられ、警察に保護されたのち、この孤児院に預けられた。
幸いこの孤児院の人たちはみんな親切で、すぐに馴染むことができた。
居間(という名の食堂)に着くと、先程僕を起こしてくれた斎藤さんが食器を片付けていた。
「寝坊なんて珍しいわね、裕史くん」
斎藤洋子さんは、孤児院で二十年以上子供の世話をしているベテランさん。小さい頃は、困ったことがあるとすぐ斎藤さんのところへいっていたっけ。
「なにか夢でも見ていたの?」
「はい。森に捨てられてすぐの頃の夢を見ていました」
僕は食事の支度をしながら答える。
すると、斎藤さんは申し訳ない、というような顔をして、
「あら、そうだったの…」
といい、それ以上は追求してこないようだった。
朝食をもって席に着くと、後ろから声をかけられた。
「今日は遅かったわね」
同い年でこの孤児院で一緒に生活している立花碧だ。高校も同じである。
「寝坊しちゃってさ…。さっき斎藤さんに起こされた。」
「そ。珍しいわね、あんたが寝坊するなんて。まああんたが遅刻しようと私には関係ないけど。」
さばさばしていてとても毒舌なのだ。
「相変わらずひどいなあ…」
「自分で寝坊するのが悪いんでしょ。じゃあ私はのんびり行きたいから先に行くわよ。じゃあね」
「うん…」
早くしなくてはと思い時計を見ると………家を出ようと思っていた時間まであと10分しかない。
………急がなくちゃ!!
拙い文章を読んでいただき、ありがとうございます。今回は、孤児院の方々の紹介をしました。斎藤さんはともかく、碧は今後も多く登場する予定なので早めに紹介してさせてもらいました。
次回からは、高校生活の様子も書いていきます。
楽しみに待っていただけるとありがたいです。