プロローグ
初投稿です。ある能力を持つ男子高校生のお話です。拙い文章ですが読んでいただけるとありがたいです。
――風の音が聴こえる。僕は重たい瞼を開けた。
(……ここ…どこ…?)
まだ覚めきらない頭で、幼い僕は周りの状況を確認しようと視線を上へあげた。
僕は草花に覆われた地面の上に座っていた。
そして、僕の足の先には木の実や果実が置かれていた。僕は不思議に思い、視線をさらに上へあげた。
するとそこには…――1匹のリスがいた。
「……うわあっ!」
思いがけない光景に思わず声をあげて飛びのいてしまった。
するとリスも驚いたのか、どこかへいってしまった。
(でもなんでリスがいるのかな……?)
視野を広げ、辺り全体を見渡す。
――そこは、森だった。
誰の声も聞こえない、深い、深い森だった。
誰もいない空間を意識したとたん、激しい寂寥感が僕の脳を支配した。
「……パ………ママ…。…パパ…!ママ…!!」
僕は立ち上がり、何回も叫んだ。けれど、返ってくるのは風の音だけ。
なにもすることができずに泣いていると、先程のリスが戻ってきた。
すると、その後ろに続いて他の動物たちもぞろぞろとやって来た。
ウサギ、シカ、小鳥――。
小動物たちがまるで僕を励ますかのように周りにやって来る。
涙で曇っていた視界もいつのまにか晴れ、小動物たちと戯れていると、突然大きな影が僕たちを覆った。
見上げると、この森のボスらしい、大きな熊がいた。
僕は恐怖と驚きのあまり尻餅をついてしまった。
小動物たちは道をあけ、大きな熊が僕の目の前に立った。
僕が声をあげることもできずにいると、熊はこう言った。
「大丈夫。君を襲ったりしないから。僕たちは今日から君の家族だ。」
その瞬間、僕の頬に一筋の涙が流れた。
動物が言葉をしゃべったことに対する驚きよりも、動物たちが僕を励ましてくれたことに対する喜びが僕の脳を支配した。
「……………ありがとう」
現在の視点から見た過去を書いたので表現が妙に大人な5歳児だと思ったかもしれません。すみません。
次回からは高校生の主人公視点で話を進めていきます。主人公のプロフィールの詳細も次回紹介します。
投稿は週一くらいでしていく予定ですが…書くスピード遅いので遅れる可能性大です。
楽しみにしていただけるとありがたいです。