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丘の草木を抜けると、そこはあかね色に染まる夕日があった。


そして、


もも「圭!あれ見て!」


ももが指を指すと、そこには光輝く星があった。


圭「あれは…」


もも「宵の明星。一番星だよっ!」


あかね色の空に輝く一番星はなんといっても、幻想的だった。


もも「この時間にしか出ない星。この時間にこうやって綺麗な空を見るのが昔から好きなんだ。ここから星に手が届きそうだよ!」


圭「へぇ、ほんとに綺麗だな」


圭は本気で思っていた。

自分の身近にこんな景色があったとは知らなかった。


もも「やっと笑った」


圭「えっ?」


ももがいきなりそう言った。

圭は今、気づいた。

自分は今、この時間、この景色を見て、思わず微笑んでいた。


(あ、そうか。俺、最近笑ってなかったっけ…)


圭は一気に肩の力が抜けていくような感じがした。


圭は一週間ずっと考えこんでいた。


そして、今日が24日だということも今、気づいた。


もも「はい、この景色が1日早い私からのクリスマスプレゼントだよ!ゴメンね。私、何もできないから、こういうことしか出来なかったの」


圭「…」


なぜ自分をこんなに思ってくれているのか分からない。

同情してくれているのだろうか。

分からない。


もも「でも、来年はきちんとしたプレゼント渡すから待っててね♪」


ももは笑顔でそう言う。


圭「もも、どうしてそこまでしてくれるんだ…?俺は決して頼もしい男でもなんでもないのに…。どうして!!」


確かめたかった。

圭は何を求めているのだろう。

ただ、今圭は胸が苦しい。

今、聞かないと気がすまなかった。

ももはいきない大きな声を出した圭にちょっと驚いたが、言った。


もも「そんなの決まってるよ。圭が好きだからだよ!」


圭「…」


目の前にこんなに自分を思ってくれる人がいる。

こんなにも嬉しいものだとは思わなかった。


圭「もも…!」


圭は我慢できずにももを抱き締める。

力強く。


もも「圭…?」


圭「もも……。待ってろ、俺も必ずクリスマスプレゼントをやる。明日まで楽しみに待ってろよ!」


もも「いいよ、私は圭の笑顔だけで」


圭「いや、ダメだ」


(絶対喜ぶようなプレゼントをあげよう…!)


圭はそう思った。






しばらくして、ももは圭が寝ていることに気づいた。


(さっきまで起きていたのに)

そう思った。


圭の寝顔をももはまるで珍しいものを見る目で見た。


とたんに何かお香のような匂いがする。


ももは犬の本能を持ち合わせていることから特別鼻がよかった。


(知っている香りがする)


そう思った。


匂ってはいけないような感じがする。


念のためにももは鼻と口を塞ぎ、余り匂いを吸わないようにした。


その時。


もも「…!」


ももはわずかに圭ではない他の人の気配を感じた。


(右…いや、左…?)

ももは辺りを見渡す。


どこをみても周りは木と草に満ちていた。


たまにその隙間から吹いてくる風は少女を嘲笑うかのように吹いたり、止んだりして冷たかった。


ももは木と藪に囲まれている。


(あんまり使いたくないんだけどな…)


そう思いながらももは自分の前髪を5、6本抜いた。


「痛っ!」と思わず思っていたことが口にでながらも


もも「変化っ!」


と唱える。

すると、先ほど抜いた髪は鋭く、先の尖った針になった。


もも「やっ!」


そして、それを勢いよく周りに飛ばした。


ガサガサと飛ばしたところの草木が音をたてる。


やっぱり、とももは思う。


だが、あきらかに飛ばした髪のところとは他の方向から音がしたのだ。


もも「誰かいるの?」


ももはその方向に向かって言った。


しかし、以前と同じように周りは沈黙を保ったままである。


その方向に向かいたいが、圭がいる。

置いておくわけにはいかない。


ももはそこから一歩も動けなかった。


長い間、時間が止まる。


しかし、一向に出てくる気配はない。


おかしい。

そう思った。


なぜこちらを狙っているにも関わらず何もしてこないのか、本当に不思議だった。


その時。


もも「…!」


ももは少しふらついた。

どうやら、さっきから匂うお香によるもののようだ。


たぶんこれで圭も眠ったのだろう。


ももはそう推察した。


(どうにかしないと…!)


いくら手で口と鼻を塞いでも、時間の問題である。


もも「…!」


また、ふらついた。


もう考えることもできないくらい吸ってしまったようだ。

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