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優良との距離は約2メートル。
先に出るのは優良だった。
優良は思いきり踏み込む。
そして左から槍を斜めに振り抜く。
圭と優良の槍が交じり合った。
圭「…グッ」
辛うじてそれを受けきる。
ビリビリと圭は手が痺れる。
相手の攻撃が終わらない。
右。
左。
右。
左。
相手の攻撃は早い。
槍を左右交互に回し、攻撃を止めない。
圭は槍をド真ん中から叩き切ろうと優良の槍をはじくと同時に槍を次の攻撃が来る前に攻撃ができる程度に振り上げる。
冷夏「圭、槍をド真ん中から切る気ね」
統一「そんな甘くないわ」
統一はそう呟く。
優良「すきあり!」
圭「!!」
優良の掛け声と同時に圭の腹に優良の槍の柄が突かれた。
(この人、右から左へのモーションが異常に早い!)
圭の体がのけぞる。
もも「圭!がんばれー!」
ももは応援することぐらいしかできない。
冷夏「通常の槍の右から左へのモーションが優良ちゃんの場合は小さくて特徴がある。それによってタイミングをずらすことも容易ってことね」
統一「それだけやない。あいつには欠点がある」
冷夏「欠点?」
冷夏は圭をよくみる。
圭は優良の次の手を察知して構えている。
冷夏「…どんどん圭が攻撃に慣れてきている!」
統一「そうや。同じ攻撃ばかりなら馴れるのも当たり前や」
冷夏「あんた、仕組んだわね?」
もも「圭!攻撃しないと勝てないよー」
冷夏の中で圭の弱点がおおよそ見える。
それは男だからこその弱点であり、これから戦う中では最もあってはならないほどの欠点。
冷夏「なるほど、これは深刻ね」
冷夏「手加減は武術家の最大の欠点。やってはいけない事」
統一「そうや。時にはあいつの優しさが…」
優良「すきあり!」
優良は攻撃をしてこない圭の隙をついて、攻撃を斬から刺に変える。
圭「…ウ゛アァァ!!!」
思いきり腹に突きをくらった圭はくの字に曲がる。
統一「鋭い刃となって返ってくるんや」
冷夏「…」
冷夏はこの弱点がどうしてできたか心当たりはある。
記憶喪失。
槍の使い方が条件反射のように動く圭を見ているとそれしか答えがでない。
喪失以前はかなりの腕前だった。しかし、喪失後は人の優しさばかりに触れて、その結果「女の子には手加減をしなければ」という概念が生まれてしまった。
バタンと圭は腹を抑えながら前に倒れた。
もも「圭!」
ももは圭のところへ向う。
圭「ハァハァ…」
統一「勝負ありやな」
統一は腹を抑えて苦しそうにする圭の前に立った。
統一「なんで手加減したんや?」
圭「…」
圭は何も言わない。
答えは出ていた。
女の子だから。
しかし、そんなことは統一は分かりきっていた。
統一「ふざけんなや!おまえ、女には手をだせへんのか!」
もも「もういいよ。やめよう?」
ももは必死にフォローに入る。
統一「よかあらへん。そんなことが戦場であったらどうする?お前は自分の死が近くなっているのを自覚してへんわ」
圭「…」
圭は何も言い返せなかった。
それは全て当たっているから言い返せないからである。
圭が考える間もなく統一が、
統一「明日は土曜やな…明日またあの寺へこい!」
と言って帰った。
圭「…」
正直圭は意味が分からない。
いきなり現れて、人のやることにいちいち口を出す。
もう無視してやろうかと思うほどである。
本当かも分からない争いを止めるために、そんなことに関わるのはもう面倒である。
もも「圭、大丈夫?無理しなくていいからね」
圭「…」
自分がそれから逃げればももは許してくれるだろうか。
いや、きっとももは無理をするだろう。
大丈夫?大丈夫じゃない。
無理しなくていい?ぜひそうしたい。
だが、ももはどうなる。
駄目だ逃げる訳にはいかない。
でもどうすれば…
圭は迷うしかない。
自分の弱さにただ
迷うしかない。




