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(ち、ちょっとまて。そもそも俺はなんでこんな少女を家に連れ込んでんだ?もしかして妄想?そうかあ!妄想か!ってとうとう頭がおかしくなってきたか?)


圭が焦るのも無理はない。

目の前に見ず知らずの裸の女がいるのだ。


もも「圭。どうしたの?」


裸の少女は立ち上がる。


圭「あ、ちょっ!ちょ、ちょ…!」


圭は手を前にやりながら顔を反らす。

そのとき、


圭「え?」


ぷにっ、とした感触。


もも「あん…」


思わず裸の少女の口からは声が漏れる。

圭の両手は裸の少女の両胸をとらえていた。


圭「あっ、ご、ごごごごごごめん!」


圭は思わず手を引っ込む。


(こんなリアルな妄想あるか!な、なんでこんなことになってんだ!?何だ?無意識に奴隷にでもしちゃったかあ!)


圭の考えはどうみても犯罪者発言である。

頭が混乱してきた。


圭「で、どちら様でしょう?」


さっきも同じ質問をしなかったか。 圭はそれほど混乱しているということだろう。


もも「ももだよ?」


裸の少女はキョトンとした顔で答える。 当たり前だと言わんばかりに。

(え!ないないない!ないだろそんなこと!おかしいよおかしい。どうなってんだこれ…)


圭は手を目で隠す。 指と指に隙間を作ってちらっと見たり、すぐ閉じたりする。男の(さが)である。


圭「そ、それはそれでいいから。なんで姿が人間なんだよ!?」


もう面倒になってタメ口になった。


もも「うーん。に…じゃなくて。なんかなってた…」


圭「…」


(なにこれ理由になってないじゃん。理由適当すぎだろ!しかも、なんか今一瞬 いいかけたよね!?)


そう思う圭。

それを見るももは圭に向かって両手を腰にあて、


もも「気にしない!」


圭「…」


もも「まあ、そんなこといいじゃん!それよりも…」


圭「ん?」


ももは何かそわそわしだした。

圭も塞いでた手を一瞬どけるが、すぐにまた手で目を隠す。


圭「ど、どうしたんだ?」


圭は目隠しの状態でももに問う。

ももは圭の横を通り過ぎる。


すると、ももはちょっと小走りしながら言った。


もも「ちょっとトイレ…」


圭「あ?」


圭はおかしいと思う。

トイレはリビングにはないのだ。


圭「って、おい!」


ももはペットシートへ向かう。


圭「トイレはこっちだ!」


圭はももを背に腕を引っ張る。


もも「トイレはそれでしょ?」


圭「それはペット用だ!」


もも「私ペットだからいいよね。犬だし」


圭「どうみても人間だろうが!」


何とか圭はももをトイレまで引っ張りだした。


もも「人間用のトイレ使ったことがないから知らないよ」


圭「…」


このままじゃあらちがあかない。

とりあえず圭はトイレの使い方を教えた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


圭はももにトイレを教えた後に一人リビングにいた。


(ありえない…。犬が人間になるなんて)


圭はまだ信じられずにいた。

誰だってこの状況には理解ができないだろう。

今《ありえない状況》にいる。

普通ではない。


物語の始まりは唐突だった。

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