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最終章 終わりと始まり
圭はずっと門を見ていた。
ももはそれを見逃さなかった。
ももは圭の服の袖をつかんだ。
圭「…」
しかし、圭はももの袖を掴んでいる手を握って、ゆっくりと放そうとした。
もも「行かないで!!」
ももはそう言ってまた圭の袖をつかんだ。
圭「ダいじょウぶダ…。ちゃんトかえッてクルから…」
もも「行かないでよ!ここにいてよ!!もう大事な人がいなくなるのは嫌だよ…」
そう言ってももは泣き出した。
圭「スグかえっテクル…」
圭はまたその手を放そうとする…
もも「やだ!やだ!いなくなるなんて!!ねえ、家に帰ろ?」
圭「…」
もも「ねえ、けっ…!?」
ももから言葉が途切れる。
圭は袖を掴んでいるももの腕を引っ張って唇に唇を重ねていた。
長いキスだった。
いや、長く感じただけなのかもしれない。
ももは涙が頬を伝うのを止めることができなかった。