表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/113

圭「行くぞ!」


そう言った瞬間。


圭「ッ………!!」


圭に激痛が走った。


優良「圭さん!」


優良が心配しているのもつかの間。


「南無劣沈悪水堯説滅楽上……」


青年は何かを唱える。



「…我は武器の四十七士…毘沙門天よ!我と共にあれ!」


中年は何かに呼び掛ける。




荘如「我は本願寺子孫…本願寺荘如(ほんがんじそうにょ)なり。出よ!」



教祖次行無!!




勝影「我は上杉子孫…上杉勝影(うえすぎかつかげ)なり。出よ!」



天上天下!!



敵は圭たちに向かっていた。


圭「カ…アア…」


圭は胸を押さえ苦しんでいる。

何かがおかしい。

自分自体が違う。

自分じゃない何か。


ロイドの言ったことを思い出す。

よく分からなかった。


だが、今は自分自身さえよく分からない。

コントロールできない。


優良「圭さん!圭さん!」


ガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!


敵の二人の刃が優良を襲う…!


何とか優良は受けきっていた。


優良「キャア!!」


しかし、それももたない。

優良は突き飛ばされた。


勝影「何だよあれは!!」


荘如「知らんな。だが、ヤバそうだ」


勝影と荘如は優良を突き飛ばした後、後ろへ後退していた。


それは…


圭「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!!」


圭だった。


圭はまるで胸から何かが溢れ出しているような


そんな光景だった。


ただ言えるのは、圭から出ている気は武士には感じたことのない気だった。


殺気でもない。

蒼白いものが圭を包んでいる光景。


勝影「とりあえず今の内に倒れている女を縛っとけ!」


荘如「我が縛りを受けよ!」


そう言うと優良の体は動かなくなった。


優良「く…」


しかし、それは荘如も同じ、


術をかけている間は本人も動けない。


その間に勝影は圭に切りかかろうとした。


勝影「圭の首!打ち取っ…」


圭「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」



バアァァァァアアアアアアアアン!!


大きな音が響いた。


そこには圭しか立っていなかった。


荘如「勝影!」


勝影は爆発の瞬間いなくなったようだ。


まるで存在全てを消されたようだった。


荘如は体の震えが止まらない。


そして、術を解いて逃げ出した。


荘如「こ、コイツ!!ば、ばけもの…!?」


圭は右手を荘如へと向けた。


圭「パラレル」


周りにあるもの全てが大きく揺れ出す。


しかし、何も壊れず、ただ揺れがおさまった後に変わったのは、荘如がいなくなっていたということだ。


優良「圭さん!」


優良は一瞬茫然としていたがすぐにしゃがみこんでいる圭のもとにいった。


圭「う、っ…ユ、優良…」


圭の声は高い声と低い声が入り混じり、体からはまだ青い何かが溢れ出していた。


秋次「圭さん!」


秋次と冷夏が追いついた。


冷夏「圭、どうなってんの!?」


優良「圭さんが…。圭さんが…。何かがおかしいんです!」


秋次「青い…オーラ…」


圭「みんな…」


冷夏「!?」


優良「圭さん!?」


圭「逃げるんだ…」


優良「え…なにを…」


圭「いいから逃げるんだ!!!!この先は…オレ…ヒトリ…で…いく」


秋次「そんなの理不尽じゃないですか!!」


圭「ダメ…なんだ…」


冷夏「何が…」


圭はゆっくり立ち上がった。

足は震え、まるで立とうとしても中々重心が安定しない。


そして、顔を優良たちにむけた…


秋次「!?」


冷夏「圭!?」


優良「け、圭さん…?」


圭「オレはおかシイ…今にも…自分が消えてい…キソウだ…」


圭の頬にはいくつか線が入って、光っていた。



圭「いつも…ミンナニ…迷惑をカケタ…モウこれ以上…」


優良「そんなことないです!!」


圭「!?」


優良が圭を抱きしめた。


優良「誰もあなたが迷惑とは思ってません!少なくとも私は…」


圭「…」


優良「行かないで!いったら…帰ってこないでしょ…」


圭「…」


統一「優良の言うとおりや」


冷夏「統一!?」


統一が秋次と冷夏の後ろから歩いてきた。


統一「すまん。俺は一度お前を避けようとした。怖かったんや。決して親を殺した魔術師としてやなく、単に人格が変わったお前が怖かった。それを親の因縁という理由をつけて逃げようとした。でも、気づいた。お前はウザかった。お前は本当にウザかった。嫌いや。死ねばいいとも思った。でも、そう思えるのが仲間なんや。そうやって悪口を言い合える奴が仲間なんやって俺は気づいた。はっきり言ってお前は迷惑や!本当ヘタレや!けどな、お前はやるときにはやる。それは俺のお墨付きや」


そういって統一は笑顔で圭の方を向いた。


圭「統一ハ…ヤッぱリ…うざいナ…」


圭がフラフラになりながら言う。


統一「なんやて?少しは先輩をみならえや」


そうやって統一は笑いながらいった。


圭「ソンナせんぱい…みなラエ…ルカよ…」


圭はその瞬間


宙に浮いた。


自然だった。


当たり前のように圭は自然に浮く。


圭「ダカラコソ…オレハ…」


そうして圭は一人孤島へと向かっていった。


そして、全員は確信した。


圭は『何か』を覚悟している。

『何か』が何なのかは分からないが、死ぬこと以外にも圭は何かを覚悟している。


優良たちがその『何か』を知ろうとなると難しい。

いや、一生突き止めようとしても無理かもしれない。


そう思った。


一人孤島に向かっていく圭はまるでどこまでも続く空を貫く光のようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ