ドーム
「外に出てはいけないよ」
僕たちはそう言われて育ってきた。
何故かは知らない。だって僕の親も、その親も知らないから。
[ドーム]と呼ばれるこの建物の中で、僕ら人間は生きている。
ここで生まれて、ここで死んでいくのだ。
[ドーム]の外なんて知らない。外に行ってはいけないと言われていたし、何より知る必要がなかった。
けど。
「? なんだろう、これ」
僕が見つけた一冊の本。
勉強をしに、[ドーム]内の図書館に行っていたときのことだった。
本棚の、奥の奥にその本があったのだ。
「……? こんなもの、見たことないぞ……」
本を開くとそこには奇妙な青い空に、赤い玉。そして下のほうには鮮やかな色の花。
この絵の空は何で青いのだろう。
この赤い玉はなんだろう。
なんで、地面に花が咲いているのだろう…………?
ぱらぱら……。
先を急ぐようにして本のページをめくる。
すると、その青い空のしたで遊んでいた子供の上に、もう一つ今度は黄色い玉が描かれていた。そして次のページでは、そこに黒い、大きなキノコのようなものがあった。
話が進むにつれ、子供は弱っていき、ついには死んでいた。
青い空も黒く染まり、やがて黒い液体が降っていた。
「おわり……」
そう、物語はここで終わっていた。
しかし僕は知りたかった。
何で空が青いのか。赤い玉は何か。なぜ、地面に花が咲くのか。
だから僕は走り出した。
[ドーム]の外へと。
きっとそこにはこの本と同じ風景が広がっているのではないかと思って。
根拠などない。
だた、自分の直感を信じたまでだ。
[ドーム]のたった一つの扉。
錆びついて、もう何日も使われていなさそうな扉を、僕は押した。
*
そこには、今まで考えたこともないような風景が広がっていた。
本と同じ。
青い空、まぶしく輝く玉。そして、色とりどりの花。
「すごい……」
気づかないうちに、僕のほほに涙が伝っていた。
「! そうだ、みんなにこのことをつたえなきゃ!」
そう思い立って、扉に向かって走りだそうとした。
けど、なんだか眠くなってきて。
「ここで、少し寝てから」
そう呟いて、僕は花が生い茂る大地に横たわった。
これは核戦争によって放射性物質に汚染され、地上に住めなくなってしまった未来の人たちです。
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