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第一話「新米医師」

ところどころに医療用語などがありますが説明を加えますので心配なさらないでください。

医者、それは生命を扱う唯一の仕事。彼等の手で生死が左右される。

そんな職業に僕、木村英助きむらえいすけは就いた。

といってもまだなり立てで一人前の医者を名乗るにはまだ早いだろうが。

僕は医者という職業に憧れていた。

いや・・ずっと望んでいたのかもしれない。

僕が医者になった理由は人を救いたい・・その一身だった。

恐らく昔父をガンで亡くしたせいだろう。その時人の命を救う医者という存在を知った。

これこそ自分の進むべき道だと小さいながら悟った。

しかしそれからは苦労の連続だった。

まず医者になるには学力が必要だ。

それも並大抵の学力ではない。

そしてもう一つは金だ。入学金だけでもかなりの額になる。

それを父を亡くした母1人で稼ぐというのはかなりの負担だった。

しかし母は諦めろとは言わなかった。

ただ自分の決めた夢に進みなさいとだけ言っていたことが今でも心に残っている。

こうして僕は医者になることが出来た。

「木村先生、聞いてるんですか?」

「あっ・・はい、大丈夫です。」

今僕は京都にある聖堂大学病院にいる。ここが僕の新しい仕事場だ。

ここは日本でも指折りの病院で医療技術の水準も、全国的に高い。

そんなところに入ることが出きた僕は正直少し緊張していた。

「木村先生は外科医でしたね。」

「ええ、そうです。」

「では木村先生には第4外科に行ってもらいましょう。案内するのでついてきてください。」

慣れた口調でそう言うと部屋を出、案内する。

「ああ、申し遅れましたが私第1内科の大杉です。以後よろしく。」

「いえ、こちらこそよろしくお願いします。」

お互いに挨拶を交す。

他に軽い世間話しなどしているうちに、第4外科と書かれた部屋の前まで来る。

中に入るとそこにはせわしなく動く人達が見うけられた。

「ここが第4外科だ。え〜と坂井先生は・・おっいたいた。」

どうやら坂井という人を見つけたようだ。

「坂井先生、坂井先生。こちら例の新人の。」

その声を聞くと今まで動いていたペンが止まる。

「新人?・・ああ〜・・たしか・・木村先生だったかな」

「はい、木村英介です。」

一通り自己紹介をする木村。

「それじゃぁ君には早速患者さんを受け持ってもらうよ。着いてきたくれ。」

今度は坂井の後ろに着いて行く木村。

長い廊下を歩いていくと坂井が口を開く。

「ところで木村君、君は第4外科がどんな患者を受け持つか分かるかい?」

「えっ・・それは・・主にがん患者だと思いましたが・・」

いきなりの質問に多少戸惑うがおずおずと答える。

「その通りだ。現在日本人の死亡率で最も高いのが、がんだ。」

 君の受け持つ患者もがん患者だが・・君はどこまで持つかな?」

「えっ・・・どういう意味ですか?」

いきなりの坂井の言葉に戸惑う木村。

「まあ直に分かるさ。ほら着いたぞ。」

木村の質問をさらりと流すと203と書かれた部屋に入る。

中には3人程の患者がベッドに横たわっていた。

それに愛想よい笑いながら奥の窓際に進む。

「長瀬さん、入りますよ〜」

優しそうな口調でしきりとなっていたカーテンを開ける。

そこには首を横に向け外を見つめる女性がベッドにいた。

これが僕と彼女との最初の出会いだった。

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