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第4話


ここは、王都の路地裏、古びた安宿だ。


ハイティは、1週間かけてようやく平静を取り戻すことができた。


これまでは、パーティーとともに行動していたから、路銀に困ることもなかった。


しかし、これからはそうはいかない。その事実が、彼を立ち直らせた。


いや、彼には、無理にでも日常を取り戻すほかに選択肢は無かったのだ。


とにかく、ギルドへと向かう。


_____________________________


――――しかし、事態は一向に打開しなかった。


どのパーティーに取り合っても、誰からも相手にされなかった。


あるパーティー面接では、こう言われた。

「きょうび、バフ担当なんて腐るほどいるんだよ。ほかを当たりな」


また、とあるパティーからは

「バフなんて、今時流行らないからなぁ・・・」

と言われる始末。


____________________



ハイティは、結局、自分を信じることができなかった。


思い返せば、仲間にバフをかけまくる日々だったが、魔物と直接対峙したこともない。


そんな人間、誰が信用するだろうか。


モンスターの攻撃からは、彼はパーティーに守られるばかりだった。


それなのに、いっぱしに疲労困憊し、冒険した気になっていた自分。


(もしかしたら、俺なんかが冒険者になろうとしたのが間違えだったのかな・・・)


彼は人知れず自責の念に苛まれることになった。



――――ギルドからの帰り道。


ギルド周辺は、情報収集を目的とする者もたくさん訪れるため、自然と酒場が多くなる。


今日も今日とて、たくさんの酔っ払いがそこら中にたむろしている。


(治安悪いなぁ・・・)


彼は逃げるように路地を通過しようとした。


とその時、一人の屈強な酔っぱらいが、急に立ち上がろうと、手を前に出してきた。


「あっ!」


酔っ払いの手を踏んでしまったハイティ。


当然、酔っ払いの反応は・・・


「て、てめえぇ!なにしやがるぅぅ!このホルン様になにをしたぁ!」


「申し訳ありません!わざとじゃないんです!」

平謝りしながら横を通り抜けようとするハイティ。だが、その行為は彼の怒りに対しては効果がなかった。


(ドゴォッ!)

振り返りざま、ハイティの腹部にこぶしが叩き込まれる。


屈強な男は、なおも殴りかかろうとする。


「うっ!・・・・!?」

顔をしかめようとするハイティ。


だが、その刹那、ハイティは異変を察知する。

(あれ?・・・い、痛くない!?)


だが、ことは急を告げている。

「すみませんでした!これを置いていくので許してください!」

500ドラクマン硬貨3枚を放り投げ、そそくさと逃げるハイティ。


男は幸い、硬貨を拾うために右往左往して、追ってくるそぶりは見せない。


無事、路地を通過できた。


(ふぅ・・・助かった)


(しかし、なんだ?この感覚・・・)


確かに殴られた。しかもあの屈強な男に。


あの体格だ。ダメージも入るはずだった。


・・・だが、痛くなかったのだ。


ハイティは考える・・・


(うーん、なんでだろう・・・)


(そうか、俺は、きっと身も心も死んでしまって、感覚が麻痺しているんだな・・・)


――――ハイティは、とことん自信を無くしていた。



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