第3話
パーティーの解除方法は簡単だ。
冒険者には、ギルドから各々ギルド端末が貸与される。
パーティーリーダーが、そのギルド端末を使って、当該メンバーとの共有契約を解除する。
それだけだ。
ここに当該メンバーの意思は関係ない。
一方的に、リーダーが端末を操作するだけだ。
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呆然として、1万ドラクマン札を見つめていたハイティ。
小一時間して、ようやく札を握り、元いた宿屋へと帰る気になった。
重い足取りで、宿屋へと向かうハイティ。
「ぴぴぴぴ」
ハイティのギルド端末から、音がする。
(そうか、パーティー解除の通知が来たのかな)
そう思い、傷を負った手を擦りながら、ギルド端末を手に取ろうとする。
「・・・・・ん?」
(なんか、身体が・・・軽い・・・!?)
ハイティは、全身を支配していた鉛のような倦怠感が消え去っているのを感じた。
「え?・・・なにこれ?」
手を上下させるハイティ。
足踏みを繰り返してみる。
確かに軽い。あの、霧に包まれていたような感覚が消え去っている。
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一方、その頃グレン一行は――――――
「いやー、あいつにはカワイソウだったけど、なんかこう、すっきりしたなー」
ラッティが、いつもの通り軽口をたたく。
「しかし、女性陣は容赦がなかったな。あれはすごかった。だが、アレのおかげで、あいつも俺らの本音を思い知った。よくやってくれた、二人とも」
グレンが言う。
グレンは、ギルド端末を操作して、ハイティのリンクを解除しようとする。
「じゃあ、パーティーリンクを解除するか」
「ぴぴぴぴ」
ギルド端末は、音を立てる。
と同時に、4人の身に異変が起こる。
「ん?なんか肩が・・・重い・・・?」
肩をほぐそうと腕を回すグレン。
「そうね、なんか身体が重く感じるわね」
キュイが顔をしかめる。
「なに、この違和感・・・」
ナニエルもつぶやく。
「え?気のせいじゃね?なんともないぜ、俺」
ラッティがまた軽口をたたく。
しかし、彼も浮かない表情を浮かべていた。
「・・・まぁ、リンク解除っていうのは、こういうものなんだろう」
恐る恐るそう言うグレン。
ギルド初心者であるため、パーティー解除を行ったことがなかった4人。
このとき彼らには、まだ自分たちの冒険が、本当はハイティのおかげで成り立っていたのだという事実が、見えていなかったのである。
若気の至りというには、あまりに無知であった4人。
あろうことか、冒険の立役者に感謝することなく、追放してしまったのだ。
しかし、彼らの無知をあげつらうには酷かもしれない。
本人でさえ無自覚だったのだから・・・




