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第2話


冒険日誌~335日目~



今日は、新たな旅に出る日だ。


大樹の森への遠征。このパーティーでは初めてだ。


ハイティは、連日の冒険のせいで、このところなかなか寝付けなかった。


傷一つ負わずに元気ピンピンの仲間たちを尻目に、ハイティは疲労困憊していた。


不眠がちであるせいは否めない。


だが、本当にそれだけのせいだろうか・・・?


疑問は拭えなかった。


そんな重い身体を引きずって、仲間との集合場所へ急ぐハイティ。




________________________________




いたいた、みんな仲良く談笑している。


「いやー遅くなってごめん!みんな待ったかな?」




「・・・・」


「・・・・・・」


・・・誰もこちらを見ない。


(チッ・・・またこれかよ、いったい俺が何したっていうんだ。

・・・いや、むしろ何もしてないと思われてるのか・・・)



(?)


仲間の陰に隠れ、一人の見知らぬ男がいるのを発見するハイティ。


グレンが言う

「ハイティ。実は、今日はお前に重要な話があってここに呼んだんだ。」


ハイティに緊張が走った。


(え?)

(この男はみんなと知り合いなの?)

(・・・え?・・・)

(それって・・・え!?やっぱりア、アレなのか!?)


グレンはさらに言う

「今日から、お前の代わりにこのゼクスという魔導士を雇った。」


ハイティはたじろぐ

「え、それってどういうこと?俺はどうなるの?」


「つまりな・・・お前は、その・・・クビだ。」

グレンは少し申し訳なさそうに、しかし、冷酷に言い放った。


仲間の陰に隠れていた人物が、出てくる。

「よう、青年!俺はゼクス。これで見納めかもしれないが、まぁ、よろしくな!」


目の前が真っ暗になるハイティ。


確かに、あの夜、それらしいことは言っていた。


だが、本当に「事件」を目の前にすると、人間は、滑稽なほど思考が停止するみたいだ。


「で、でも、俺はいつもみんなのために働いてたよ!」

「今日だって、連日の魔法のせいで、こんなに疲れてるのに、みんなのために来たんだ!」

必死に主張するハイティ。


キュイが一歩前に出て言う。

「あなたのバフは地味すぎるのよ。レベルが上がってきた今、いてもいなくても、このパーティーではもう変りがないわ」


ナニエルが畳みかける

「努力の方向性が古いのよ、あなた。自覚ないでしょうけど。」


(ッ!!!!!!)


ハイティは、痛いところを突かれたと感じた。


いや、この半年はその思いと戦う日々だったといっても過言ではない。


その思いを振り払うために、日々努力をしてきた。


過酷な筋トレメニューをこなし、基礎体力を上げた。


またある時は、連日瞑想を数時間にわたって行った。魔力向上と、MP回復力向上のためだ。


冒険でも、率先して雑務をこなした。これ以上、パーティーに不要だと思われないため。


・・・その努力すらも、否定された。


膝から崩れ落ちるハイティ。




「ほうら、もうあんたは用済みみたいだぜ。これをやるから、どこかに消えな!」

ゼクスの言葉とともに、ひらりと放り投げられる1万ドラクマン札。



目の前に落ちたお札が1枚。


「・・・・」


ハイティは、しばらくの間、それを見つめていることしかできなかった。




こうして、グレンたちとの冒険日誌は終わりを迎えたのだった。






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