第16話
~王城地下深く
手を取り合った二人。
リアがポツリとつぶやいた。
「・・・暖かい」
さらに続ける。
「私の痛みを・・・本当に?」
リアの瞳は、まだ信じられないと言っていた。
「ああ。これからは、君がどれだけ力を使っても俺が受け止める。・・・だから、もう独りじゃない」
ハイティが優しく微笑んだ
この2人は、これからまさに、世界の救世主となる。
究極のバディの誕生だった・・・
_________________
その時だった。
「ククク・・・感動的なシーンの最中、悪いが。そこまでにしてもらおうか」
背後から響いたのは、蛇が這いずるような不気味な声。
ハイティがとっさにリアを背後に隠し、振り返る。
そこには、空間の歪みから現れた、漆黒の装束に身を包んだ集団がいた。
魔王軍特殊部隊「シャドウズ」。
彼らは転移魔法を駆使して城の結界を潜り抜け、この地下最深部に侵入し、『211号兵器』の強奪を企てていたのだ。
「貴様ら、どこから入った!」
周囲を固めていた警備兵たちが槍を構える。
しかし、魔王軍特殊部隊の隊長、ベルグが細い剣を一振りする。
「邪魔だ」
「ぐわっ!?」
一瞬にして警備兵たちの防具が切り裂かれ、彼らは血を噴き出して倒れ伏す。
ベルグの剣は、すべてを呑み込む魔剣『ヴォイドイーター』。
たった一振りで、兵たちをなぎ倒してしまう。
しかし、本当の力はそんな生半可なものではなかった。
『ヴォイドイーター』は空間を根こそぎにする、そんな力を持った魔剣であったのだ。
「・・・さて、特務騎士団長殿。お前の噂は聞いている。」
「どんな攻撃も通じない『不死身』だそうだな。」
「・・・だが、その少女を守りながら戦えるかな?」
ベルグが合図を送ると、十数人の特殊部隊員が四方八方からハイティたちを囲い込んだ。
「リア、俺から離れるなよ!」
「でも、彼の武器は!」
リアが恐怖に顔を歪める。
魔王特殊部隊員たちが一斉に、猛毒効果の付与された手刀を放った。
(ドシュッ! ドシュドシュッ!)
無数の刃がハイティとリアに殺到する。
ハイティは避けない。
避ける必要がないからだ。
「クタカ!(防御力強化)」
ハイティが叫ぶ。
本来は初級魔法のはずが、【特級支援魔法術師】の補正により、『弱体化魔法無効化』の効果が付与された。
「なっ!? 投剣が当たったのに!?」
それだけではない。
「ぐわぁぁぁ!」
「腕が・・・俺の腕が!」
攻撃を仕掛けた部隊員たちが、次々と自分の放った武器で体を貫かれ、吹き飛んでいく。
特別効果付随『ダメージ完全反射』。
ハイティに向けられた殺意は、そのままの威力で、いや、数倍の威力となって本人たちへと突き刺さった。
「・・・バカな。これが『支援術師』の力だというのか?」
隊長ベルグの顔から余裕が消える。
「俺に攻撃するのは勝手だが、この子を傷つけようとするなら、容赦はしないぞ」
ハイティの目が、静かに、しかし鋭くベルグを射抜いた。




