表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/17

第14話


翌朝、王都中に号外が配られた。


『特務騎士団長ハイティ、一人で魔王軍先遣隊を撃破! 自治都市を包む炎を歩くだけで鎮火させる!』


王宮に戻ったハイティは、「割と身に覚えのない手柄」の報告書を前に、深くため息をついた。


「ジル・・・。俺はただ歩いてただけなんだ。本当に・・・」


「ええ、存じておりますわ」


「じゃあ、さっきからなんでそんなに嬉しそうに俺をほめるんだよ」


「ハイティ様のことはわたくしたちがよく存じ上げておりますもの・・・」


「どういうことだ?」


傍らで瞳を輝かせるエリィが言った

「わたくしたち、物事をよくわかっているのですよ!・・・ハイティ様にとっては、ただ歩くことすら救済の儀式なのですよね!」


・・・ハイティは諦めたように、ふかふかの椅子に沈み込んだのだった。




その頃、スラムの酒場でその号外を目にしたグレンたちは、震える手でボロボロのパンを分け合っていた。


「・・・歩くだけで、魔王軍を・・・?」


もはや、嫉妬する気力すら起きない。


自分たちがどれほどの「化け物」を、ただの「便利屋」として扱っていたのか。


その罪の重さと、失ったものの大きさに、彼らはただ涙するしかなかった。


・・・ハイティの伝説は、まだ始まったばかりである。



_________________________



数日後・・・


王宮の会議室にて、対魔王広域会議が行われていた。


そこには、宰相、担当大臣、騎士団長、宮廷鑑定士、担当官僚・・・


すべての構成員は、この世の衰亡の現況たる魔王を滅するべく、対策を練る。


当然、特務騎士団長たるハイティも参加していた。



まず、国の中枢たる宰相が口を開く

「来る魔王討伐軍の編成であるが、何か意見はあるか?」


軍部大臣が言う

「その件につきましては、重大事項があるため、これまで内密にしていた件をあわせて、担当官僚からご報告させていただきます。ノエル君、よろしく頼む」


ノエルと呼ばれた官僚が厳かに言った。


「これまで、宮廷鑑定士を含め、構成員数名にて内密に協議していた『211号案件』についてご報告させていただきます」


「これまで、我々は対魔王決戦兵器たる『211号兵器』を極秘裏に発見、これを秘匿しておりました」


「しかし、『211号兵器』には、ある致命的な欠陥があるため、これまでその潜在能力が莫大であることが判明していながら、対外的に公表されることがありませんでした」


「ところが、S級スキルを持つハイティ様のご登場により事態は急変しました」


「ここに、『211号兵器』の存在を公表し、当該兵器のもとへと、ハイティ様にご同行いただき、事態の推移をみることを提案させていただきます」


ハイティは何がなんだかわからなかった

「・・・ちょ待てよ!なんで俺が関係してくるんだよ・・・!」


官僚は答える

「申し訳ありません。これまで秘匿していた兵器に関することでありますゆえ、詳細は後ほどご説明させていただきたく存じます」


軍部大臣が言う

「私からも、謝罪させていただきたく思います。まことに申し訳ないハイティ殿。ことは重大ゆえ、なにとぞご容赦を・・・」


大臣までに謝られ、立つ瀬を失ったハイティは、

「わ、わかりましたよ。それじゃ、早くその211号なんたらっていうのに引き合わせてもらえますか?」

そう不貞腐れたように言うのが精一杯だった・・・



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ