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第13話


ハイティに、最初の勅命が下る。


隣接する自治都市が、魔王軍の先遣隊によって放たれた「消えない炎」に包まれているというのだ。


「国王陛下からの勅命です。ハイティ様、火急の事態なので、ただちに出陣の準備を」


側近の言葉に、ハイティはティーカップを置いた。

「消えない炎?水をかけても消えないって?そんなの、俺が行ってどうにかなるの?」


「ハイティ様、ご謙遜を。今の貴方様は、歩く聖域そのものなんですよ」

ジルとエリィが、手際よく白銀の鎧を着せていく。


ハイティは、本音では行きたくなかった。


だが、騎士団長という肩書。


そして、王宮での豪華な食事。


さらに、能力を国のために使いたいという矜持。


何よりも重要なのは、自分を信じてくれるメイドたちの期待を裏切るわけにはいかなかったのだった。



____________________




数時間後・・・



ハイティは自治都市・リバティアの城門前に立っていた。


そこは地獄絵図だった。


家々は黒い炎に包まれ、魔導士たちが必死に水魔法を放っているが、炎は勢いを増すばかり。


「あれは、国王直属の特務騎士団長か?」


「おお、あれはハイティ様だ!」


「お一人でいらっしゃったのか?騎士団を引き連れずに!?」


現場の騎士たちが騒然とするなか、ハイティは一歩、また一歩と燃え盛る街の中へと足を踏み入れた。


「ちょ、ちょっと待ってください! 団長、そこは!」


制止する声を無視して、


(というか、緊張で聞こえていなかった)


ハイティは炎の中を突き進む。


熱い。


本来なら、一歩踏み込んだだけで皮膚が炭化するほどの超高温。


だが、ハイティが歩くたびに、不思議なことが起こった。


(・・・あれ? 思ったより熱くないぞ?・・・サウナくらいか?)

ハイティの能力、【不滅】が功を奏していた。


本来彼が受けるべき数万度の熱ダメージは、彼の膨大なHPによりほぼ無意味化されていたのだ。


それだけではない、 ハイティが自分自身にかけた防御魔法「クタカ」が、【特級支援魔法術師】の効果で半径数百メートルを包み込む『絶対領域』へと変貌していた。


「見ろ! 炎が・・・炎が消えていくぞ!」


ハイティが通り過ぎた後には、炎が霧散し、清浄な空気が流れていた。


確かに、すでに火傷を負った住民の傷を癒すことはできなかった。


だがそれは、街を救うには十分すぎるほどの活躍だった。




・・・しかし・・・

街の中心部では、いまだ魔王軍の先遣隊である「炎の魔将」が勝ち誇ったように笑っていた。


「ククククク! 我が炎に抗える人間などおらぬ! 焼き尽くせ!」


魔将は破壊の楽しさに酔いしれていた。


『魔王軍』というのは、


ただ、楽しみのために、殺戮を繰り返す。


ただ、誰かを苦しめるために、破壊の限りを尽くす。


「そういうもの」だった。



ハイティに気づく魔将。

「また来たな、人間!お前も消し炭と成るがいい!」


魔将が放った巨大な火炎球が、ハイティの頭直撃コースで飛来する。


「うわあああ! こっち来んな!」


ハイティは反射的に手で顔を覆った。


――キィィィィィン!!


衝撃波が街を揺らす。


・・・だが、ハイティはいつもの通り、無傷だった。


逆に、攻撃を放った側の魔将の片腕が、肩から先、跡形もなく消し飛んでいた。


スキル「特級支援魔法」の特別付随効果『ダメージ完全反射ディザスター・リターン』が発動したのだ。


「ギ、ギャアアアア!? 何が・・・何が起きたぁぁ!?」


「え、えーと・・・その、大丈夫ですか?」


ハイティが恐る恐る手を差し伸べると、魔将はそのあまりの「強者の余裕(?)」に戦慄し、脱兎のごとく逃げ出していったのだった。



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