第10話
~王宮、王の間にて
「ハイティ殿、どうか前へ」
「ハイティ殿、疑った我々が愚かであった。まことに申し訳ない!」
ハイティにいやな顔を向けていた者も、まったくの無関心を装っていた者も、口々にハイティへの敬服の言葉を口にする。
王が玉座から立ち、進み出た。そして、
「ハイティよ、お主を見込んで国王直属の特務騎士団長として迎え入れたいのだが、どうか?」
厳かに、そう言った。
「じ、自分にはまだそのようなお役目が務まるか、まだわかりません・・・」
「わ、わかりませんが・・・もし、本当に自分の力が本物だというなら、国のために力になりたい。そう思っています」
「ならば!」
「はい。・・・今はまだ自信があるとは言い切れませんが、自分なんかにこういうお話が来たのも、何かのご縁なのかなと思っています」
ハイティは顔を引き締めて言った。
「・・・お受けいたします!」
にわかにざわつく王の間であった。
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ここは王宮の一室。
その後、ハイティには特別に王宮内に執務室が与えられた。
部屋は広々としており、机、椅子、ベッド、書棚などの調度品はどれも1級品でできているようだ。
それはそうだ。彼はもう騎士団長。
しかも、所属は「国王直属」であり、さらに役職は「特務」ときた。
これは、とある世界線の『地球』という、いち世界で例えるなら、どこぞの軍の大佐相当である。
もちろん、異例なことには変わりがない。
しかし、ハイティの持つS級スキルは3つある。
以前にトリプル役満といったが、そんな例えですら生易しい。
もしかしたら、一人で1国の軍隊と渡り合えるかもしれない。
そんな実力すら疑われる、まさに「1000年に一人の逸材」なのである。
大佐という役職は、もしかしたらハイティには役不足ですらあるかも知れなかった。
室内には、最新鋭の装備もそろっていた。剣、魔法杖、盾、弓矢、弩・・・いろいろな兵種がある。
豪華な家具にあらゆる兵器を所有し、当人はさぞや満足か・・・
・・・と思いきや、どうやらそうでもないらしい。
「はぁ・・・大変なことになったぞ」
「ついに俺も騎士団員かー、騎士団ってあの騎士団だろ?」
「・・・え?この俺が?」
「やっぱり、なにかおかしい!おかしいぞこれ!」
「・・・しかも、騎士団長と言っても部下は見知らぬ者ばかりだろ?」
「それに、『特務騎士団』長は俺一人。一人でいったい何ができるっていうんだ・・・」
「・・・でも、ラッキーだったのは、例の2人の女の子メイドが俺の直属の部下になってたってことだな!」
「『ジル』と『エリィ』だったか・・・カワイイよなぁ~」
一人ニヤニヤしながらぶつぶつと小言を言う、国の『守護者』なのであった。




