猫が優秀すぎて、今日は大優勝です
どんな願いも
何度でも
代償なしで叶えるにゃ!
ただしちょっと気まぐれだよ
放課後の昇降口。
「久しぶり! “どんな願いも叶える猫”だよ。最近どうよ。」
声の主は、私の足元にちょこんと座るキジトラ。
いつも恋バナを聞いてくれる魔法の猫だ!!
「ああ、タイミングが良すぎるぅぅ……聞いて!明日、体育祭なの!」
これはチャンス!逃すものか!
私は急いで猫を抱き上げ、外へ。
「例のコーラ君がリレーで、私はバレー!会場が真逆!
しかも時間かぶってて応援も行けないんだぁぁぁ!」
いつも自販機前ですれ違うコーラ好きの彼。
名前を呼ぶ? ムリムリ!
目を合わせる? 爆発するわ!!
「そこでお願い!」
猫のキラキラした瞳を覗き込む。
「なぜか、偶然にも、二人っきりですれ違っちゃうタイミング、また作って!」
猫の瞳孔が大きく開く。
「いよいよ告白にゃ!?」
「違う!」
ごめん、反射で否定しちゃった……
「すれ違うだけ。ときめき補給だけで十分なの!」
猫は首をかしげた。
「意味わかんにゃい。お願いしてくれたら両思いにできるにゃ。」
こやつ……
スクールカーストの恐ろしさを何もわかってない……!
「コーラ君、人気者なんだよ!?釣り合わないのに付き合ったら視線が地獄!!」
「ふむふむ。」
「目立たず生きてきたのに!付き合った瞬間、注目株!即・炎上だよ!!」
猫は黙って尻尾をゆらゆら。
「それにさ……」
小さくため息。
「魔法で両思いとか、コーラ君にも悪いじゃん。」
偶然っぽく、自然に、何も起こらない顔をして。
これまでも、そうやってすれ違ってきんだもん。
それだけで十分!
「私みたいな陰キャにもさ……」
「夢、見させてよ。」
猫が腕の中から飛び降りた。
「人間の女の子って、ほんと大変にゃ。」
その目が、ふっと金色に光る。
「ま、一応叶えとく。」
「やった!!」
「面白いし。」
――翌日。
体育祭の喧騒の裏、バレー会場の裏通路。
水筒を取りに走って、角を曲がった瞬間。
「あ、ごめん!」
軽くぶつかり声が重なった。
コーラ君だった。
息を切らして、リレー用のゼッケンを外しかけている。
一瞬。
ほんとに一瞬、目が合って止まる。
「……頑張って。」
それだけ言って、彼は走り去った。
黙れ!心臓!
なにも起きてない…けど起きた!
どこからか、猫の声が聞こえた気がした。
「すれ違いにしては上出来にゃ。」
出来過ぎだっての!
にやけるな、私!
今笑ったら全部台無し!!
私は顔面に全力で力を入れて、私はコートに戻った。
でも、今日の私、大優勝だ。
気が向いたら評価して欲しいにゃん。




