知れば知るほど
知れば知るほど不思議な人だった。
成績優秀、先生からの覚えもいい。
それは、優等生だからじゃなく、優秀なのに、授業をまともに聞かなかったり、抜け出した事も多々あるようだ。
それでも、僕の憧れの人には変わらなかった。
――――
「キレーだったなぁ」
雨の音を歌うなんて珍しい人を見て綺麗だったと思ったのは昨日のこと。
昨日はあれから、流石にバレるかもと、早々に(逃げ)帰った。
昨日のことを思い出し、独り言を言いながらいつも通り廊下を歩いていると
「ねぇ、君」
と、声をかけられた。
昨日の人だった。
「は、はいっ」
また、テンパった。こんな癖すぐに直したい。
気を取り直して今度はハキハキした口調を心がけた。
「私に何の用でしょうか?」
彼女はカラカラ笑いながら話し始めた。
「昨日、あーしの事みてたっしょ」
ば、バレてる…。
「勝手にすいません…」
「そーやなくてさ、どう思った?うちのこと」
コロコロ一人称の変わる人だなぁ。
「普通に綺麗だなって思いましたよ?」
「そっか、君はあーしみたいなのにも優しいんね」
大した事言ってないけどなあ。
「みんなあーしに何て言ってくると思う?」
「凄い。とかですか?」
「逆、逆。きもいってさ」
彼女は悲しそうに笑いながらそう言った。
「僕はそうは思わない!!」
自分でも驚くほどはっきりと大きな声で言った。
「びっくりしたー!ふふっありがとう。」
「大した事な…」
「詩乃。」
「え?」
「箱崎詩乃って言うの!私。」
「え、えと。ぼ、私は天野音葉です。」
「おとちゃんね。あらためまして、私のお友達になって下さい!」
「へ?あ、え、えとこちらこそよろしくお願いします。」
「あと、敬語は禁止!!早く仲良くなりたいじゃん?」
「わ、分かった。」
天野音葉。憧れの人が近づいた。




