素敵な出会い。
今日は雨だった。
梅雨だから最近は毎日土砂降りだ。
雨の日は何だか気分も乗らない。
陽キャ…元気な人達は外で遊べないからサッカー出来ないってぼやいてて、りりかさんのグループも髪がうねるーとか不満そうだった。
あと、頭痛が辛そうな人もいた。
僕もそんな姿を見て、テンションが上がらない。
「はぁ…」
バレないように小さな声でため息をつく。
「天野さーん、ちょっといい?」
速水りりかさんが話しかけてきた
僕はため息を聞かれたかと
「は、はひっ」
焦って声が裏返った。
「あははー、そんな身構えなくていいって笑
日直うちと天野さんじゃん?でも、今日帰りパフェ食べに行くんよね〜」
分かってるこの先言うこと、だってお隣にいるお2人いつも一緒のお友達でしょ?
「だから、任せてもいい?」
だから、僕は精一杯笑顔で答える。
「私で良かったらやっとくよ!だいじょうぶだから楽しんできてね!」
「ガチ助かるー!」
りりかさんはもう僕を振り返ることもなく歩いていく。
一緒にいるお友達は“かわいそーじゃん”“なんでもきいてくれそ笑”って言ってるような気がした。
――――――――――――
「やっと終わったー。」
運の悪いことに今日は色々と手伝いを求められた。
終わった頃には学校には部活の音が響くだけで他には誰も居ずに静かだった。
僕は誰も居ないことをいい事に、
「雨なんてクソ喰らえー!ろくなことないんじゃー!」
って叫んだ。(念には念を、心の中で)
その時校門に、傘をさした人がいた。
誰もいないと思っていたのに、酷く驚いた。
僕はよく分からない居心地の悪さを覚えて、 つい隠れてその人が帰るのを待つことにした。
そこで気づいた。その人は歌っていた。
流行りの曲とか、授業で習った曲でも無かった。
そう、雨の音を歌っていた。
ザーザーと降る音。
雫がぴちゃぴちゃなる音。
傘にあたってバサッ。
時折靴が濡れるのなんてお構い無しで水溜まりにばしゃーんといいながら飛び入った。
跳んだのではなく、飛んだ。
それくらい高く跳ぶ姿は綺麗で、息なんか忘れて一生見れるようだった…。
「こんな風になりたい」
気付けばそうこぼしていた。
お世辞とかじゃなくて、綺麗だと思った。
普段の私なら
“雨の音とか子供っぽい”
“遊ばないで帰ってくれたら楽なのに”
そう思っていたかもしれない。
でも、今日ばかりはこの光景をずっとみていたいと思った。
頼むから帰らないでくれと本気で思った。
―――
まだまだ物語の序章でしかない。




