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お家の整備②とエルフについて

それにしてもだ。


私はケヴェの水割りをグビグビ飲みながら前世を思い返していた。

ライトノベルが好きで、転生したと理解したときは困惑が大きかったがワクワクした気持ちもあったんだよね。

だけど、現実は小説のようには行かなかった。

小説はあくまでも小説で、別の人物視点の事は小説だからこそ成り立ってるわけで。

現実は他人が余所で何をしてるかなんてわからなくて当たり前。


結構早い段階…転生1週間くらいでそれを悟ってからは自分の転生に関した思い込みの常識に【今】の自分を当て嵌めるのは辞めた。

そうしないと生きていけない気がしたからね。

そもそもエルフはめっちゃ肉食だったし、すぐ殺し合うし墓すら立てないんだもの。

私を拾った"兄"など、BBQする際の肉選びで揉めて集落を全壊させて8割くらい殺した挙げ句、ゲラゲラ笑いながら燃やしてたからね。


生き残ったエルフも「あーあ」って感じで、んじゃ他行こか?ってノリで旅に出ちゃうドライさよ。

"兄"は実にエルフらしいエルフで、未熟な私が一緒にいたら命がいくつ有っても足りないと思ってそのまま私も旅に出たんだよね。

今の私なら戦えると思うんだけど、さすがに数千年経ってるから生きてたらびっくりだわ。

殺されてなければどっかで生きてる可能性は0じゃないんだけどね。


あっという間にケヴェが無くなってしまった。

仕方ないのでメア大陸のワインでも飲むかな。

赤ワインのサングリアだ。

これはどこで貰ったんだったか…

うーん、メア大陸唯一の街の誰かだな。


ほら、小説だと人物描写とか詳細だし登場人物も多いでしょ。

主人公、よくあんなに覚えてられるよね。

私には無理だわ。

この国に来て2日経ってるけど顔と名前覚えたのってカイ、ゼライの二人だけ。

しかも仕事風味の知り合いよね。


みんなどうやって色んな人の事覚えてるんだろうね。

小説だったら、あの綺麗な字を書く事務官のお姉さんやランチ持ってきたウエイター、衝突事故の若い男女とかさ、顔と名前とか背景まで説明されてるのにねぇ。

全くわからんわ。興味もないけど。

ついでに言うなら、よく書かれてるおっぱいの大きさもどうでもいい。

おっぱいの大きさについて、小説の登場人物は異様に気にしすぎ。

登場人物が子供、思春期なのが多いからなんだろうか。


……うん。

私はソファーで寝落ちしたようだ。



「あ゛ー」

かすかに頭痛がする。

魔法で水を出して飲んでもいいけど、魔法由来の水はあんまり美味しくないのよね。

美味しい水を出せる人も結構いるんだけど、私のは美味しくない。

ほんのり魔力味の水になっちゃうから。


鞄から水筒を取り出して水を飲んでから、キッチンのシンク部分の水とリビングのウォーターサーバーに魔核をセットしてないのに気が付いた。


どちらにも水、火、聖の核をセットすればお湯も飲めるし洗い物も出来る。

さっさとセットしてしまおう。


「はぁー」

朝のコーヒーはスッキリするわ。


後はポスト設置か。

マグカップを持ったまま外に出るとメア・バインがうそうそと動き出した。

うちのバインはまだ幼いから魔力が必要なのよね、当面は毎日。

純魔力がいいのか属性魔力がいいのか。

バインに意識を集中すると、聖属性と風が欲しい…というぼんやりした意向が伝わってきた。

私は聖属性の風を起こして全体に行き渡るよう魔力を与え、ざわざわ蔦が喜ぶのをしばらく眺めていた。


うーん、ポストは離して置くべきよね。

蔦には柵から2m以内のリーチに入った侵入者排除の刷り込みをしているので

ポストは3mくらいの場所に置こう。

これはリビングの箱と繋げておけば勝手に転移するよう、ポストの中に魔方陣を焼き付けておく。

ポスト横に大きめの看板を建てた。

【御用のかたはポスト横のベルを鳴らすこと。魔法蔦から2m以内の距離に入らないこと。】

これで大丈夫でしょ。

親切すぎてエルフじゃないんじゃないかって気になってくる。


メア大陸の知り合いの家のメア・バインは侵入者を焼き尽くすとか食べちゃうパターンが多かった。

凶悪な育成してるのは、お察しだろうけどほぼエルフだったけどね…

私のは絡みついて捕まえておくだけのおとなしい蔦にしたのでとても優しいのだ。


まあ、訪ねてくる人もまずいないだろうし、これでいいと思う。


家に戻って玄関横にある姿見で自分を眺める。

エルフにしては小さいが、人間の女性の平均くらいの身長はある。

手足は細長く優雅だし体型も女性らしくバランスが取れている。

肌はかなり白いけど、病的な白さではない。

顔はまあ、エルフだから綺麗に整ってる。

髪の色は薄いペパーミントグリーンだけど、顎下を過ぎる辺りから少しずつは半透明になって腰辺りはほぼ透明。

綺麗なグラデーションになっている。

エルフの一番の特徴がこの髪の毛で、強い魔力が巡ってるのがよくわかる。

自分の魔力が髪の毛の中で滞留してる魔力にぶつかって、常にチラチラと光っているのだ。

持ち主の魔力に応じているのでそんなに光らない場合はそこまで気にする必要はないのだけれど、私の場合は派手に光っちゃうので目立ちやすい。

なのでエルフは髪の毛を隠してることが多いし、隠すためのアイテムも色々開発されている。

隠さないと、夜はエレク○リカルパレード状態だからね、隠密行動なんて出来ないんだから。

私は人間に姿変えたりして誤魔化しちゃうけど

変化が得意じゃないエルフは魔力を遮断する漆黒布で頭を覆っちゃう。


睫毛と眉毛は髪よりは濃いめのペパーミントグリーンだけど、瞳の色は薄いブルーグレーだ。

欲をいうなら紫とか青の濃い色の方が良かったんだけど、ブルーグレーも長年みてるうちに気に入ってきたので文句はない。


一番自分が気に入ってるパーツは指と爪。

ずっと眺めていられる。

とてもいい形なのだ。


私はバッグからホカホカのパンケーキを取り出して、朝食にした。

コーヒーによく合う。

いつも通り、考え事をしつつ食事を終えてのんびり過ごすことにした。


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