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前世の記憶は役立たず!~エルフに転生したけれど、異世界が世知辛すぎる~  作者: 藤 野乃
アルシア王国に移住するよ!

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爆笑、そしてプンプンするエルフ

馬具屋さんへ行った2日後。

朝起きると、郵便箱が光っている。


見てみるとティティからだった。

【うちに遊びに来てー】

放置すると探し回ってこっちまで来ちゃいそうだから、ティティの家まで遊びに行く事にした。

ティティは妖精なのに、なぜか魔界に住んでいて、エインセルと言う種族だ。

姿はピクシーと大差ないんだけれど…持ってる魔力も寿命も桁違いだから別種族。

どちらも手のひらサイズの人間の成人の外見に魔力で形成された透明に近い翅を持っている。

……多分エインセルの寿命は1万とか越えてくるんじゃないかな。

個体数が少ないらしくて、ティティ以外見たこと無いけど。


コンコン、とドアをノックすると

「はいはーい!」

ティティが飛び出してきた。

彼女の家は小さくて入れないので、お庭でお茶することになった。


「あのね、昨日ね!ティティと彼氏と、フレスベルグとね!あとフレスベルグが一生懸命口説いてる女の子とちょっと洒落たレストランにいったの」


ティティはくるくると私の前を飛び回った。


「それでねー?そこは静かでお上品なレストランだからお洒落して行ったのよ。ご飯も美味しかったわ!フレスベルグもね、女の子といい感じでさー」


「うんうん」


「帰る頃にさ、フレスベルグがもう1軒行こうって女の子を誘っててね、いい感じだったからティティ達は別行動することにしたの」


「それで?」


「そしたらねー、レストランから帰る時にフレスベルグがカッコつけてさー、ここは俺が払うよって言うからさ、一緒に出口まで行ってね、フレスベルグにいちおーご馳走さまって言おうとおもって!」


私はニヤニヤが止まらなくなった。


「そしたらねー、そしたら、フレスベルグがお、お財布出して……そしたら、ブォオオオオオオオって変な音がして」


「う、うん」


「なんだろ、てみんなでキョロキョロしてたらね、ピッギャアアアアアアオアオアオ!って、お財布、お財布が」


ティティが笑いすぎてテーブルの上に墜落した。


「お財布ぅぅ、お財布が」


ティティは転げ回って笑っている。

私も笑いが止まらない。


「お財布がね、アハハハハ!女の子、帰っちゃってぇー、うふ、あはは」


「うふ、耐えられない!ププッ」


「あれ、なにしたのー?もう凄い声でさぁ……みんなこっち見てるし!フ、フ、ウフフ」


可笑しすぎて笑い死にしそう。

よりによって気合い入れたデートで!


私はティティはしばらく笑い転げた。


ああ、レアな妖精の涙がテーブルにいっぱい。

これは頂いておきましょう。

私は笑いながらもせっせと涙を集めてバッグに入れた。


「怒ってたよ!アハハハハ!」


「デートでそれはないわね、うふふ」


「ないないー!しかもなにあのダサい財布!!」


「うふ、いいでしょアレ」


「でもね、その女の子ね!ティティ知ってるんだー」


「何を?」


「実は男なのーーーー!」


「なにそれ!やだもう、笑い死んじゃいそう!!!」


「あ、でも。これはフレスベルグには内緒だよー?」


「オッケー、秘密ね秘密秘密、ウフッ」


まあでもある意味フレスベルグを救ったんじゃないかな!

別に誰と付き合ったっていいけど、女の子だって思って付き合って男だったら嫌よね。

わかってて好きで付き合うなら良いけど。


「レストラン幾らだった?」


「全部で金貨6枚!」


「今度フレスベルグに会ったら、これ渡しておいて、フフフ」


私は金貨6枚をティティに渡した。


「わかったー、渡しておくぅ、後で来るよ?その時にあげたら?」


「嫌よ、殺されたくないものー」


ティティはマジマジと私を見つめた。


「それはないと思う!逆に殺されちゃうの、さすがにわかってると思うよ?」


私は笑いながら、王都のジューンの家に転移した。

いやー、久しぶりに笑えたわ。

笑いすぎて脱力しちゃった。


ちょっと悪いことしちゃったな。

あんだけ笑っといて言うのもなんだけど、まさかそんなタイミングで発動しちゃうなんて想定してなかったわ。


レアな妖精の涙は322粒もあった。

これだけで大金持ちだわ。

半分フレスベルグにあげようかな。


その後フレスベルグから怒りの手紙が届いたので、ちゃんと素直に謝っておいた。

私は優しいエルフだから、滅多に追い討ち掛けたり煽ったりはしないのよ。


次の日、私は山のダンジョン前でフレスベルグに会った。


「あの財布さぁ、結局なんか気に入っちゃって使うことにしたわ」


「ええ?本気?」


「カッコいいしな!」


「ああ、そう…なら良かったわ」


椅子を二つテーブル一つ出して、食べ物を広げた。


「でさー、俺金がないんだよね」


「いつもじゃないの」


「いや、そうなんだけどさぁ」


「なんでそんなにお金が無いのよ。素材売ればいいでしょうに」


「だってよぅ、倒すだろ?普通素材とか落として消えるのが異世界じゃねーの?なんで自分で解体しなきゃいけないんだ!」


「つまり。倒しても素材回収してないと?」


「丸ごと納品出来るやつはやってる!」


「それは素材じゃなくて死体じゃないの」


「あ、あと黒焦げでどうにもならんことも多い!」


解体の仕方を教えてやろうとしたが、フレスベルグは断固拒否。


「じゃあどうやって金策するの?稼げるなら素材に拘らなくても良いけど、ダンジョンの中に置いておく宝物とか、旅の途中で見つけさせる武具やアイテムって魔王の自腹よ?」


「だから困ってるんだよ」


「フレスベルグ。ワガママいっちゃダメよ。出来ないなら出来ないでいいから、魔王組合やめればいいじゃない」


「え、やだ。魔王はやりたい!」


「……………………」


「待って!なんで黙ってんの?なあ、ちょっと殺そうとか思ってる!?」


「カルミラにバレない方法考えてた」


「やめて!真面目に頑張るから!」


「採集とかは?ドラゴン卵の納品とか。て言うか、あなたドラゴン倒した時丸ごと持って帰らないの?とりあえず」


「実はさ、容量が無いんだよねー、俺そういう系苦手で、攻撃魔法は好きだけど細かいのはちょっと……」


「容量どれくらい?」


「うーん、多分普通のドラゴン5匹くらい?」


「ドラゴン入るじゃないの!!」


「怒るなって!シワが増えるぞ。だから容量が無いんだって」


「シワなんて無いわよ!何を入れてそんなに容量圧迫してるの?怒らないから全部一回出しなさいよ!」

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