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前世の記憶は役立たず!~エルフに転生したけれど、異世界が世知辛すぎる~  作者: 藤 野乃
アルシア王国に移住するよ!

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ゴブリンからの捜索願い

おそらくこの勢いでいくと、フレスベルグは一年以内に勇者召喚しちゃいそうだな…

人材確保にはちゃんと時間掛けた方が良いんだけどな。

せめて去年だったら良かったのに。


「はぁ…」


「なぁに?ジューンちゃんったら悩み事なの?」

妖精のティティが心配そうに顔の近くまで翔んできた。

「いや、人材派遣とかさ…どうするんだろうって思って…」

「あー、フレスベルグってそういうのやらなさそうだもんねェ!」


私はひとしきりティティに愚痴を聞いてもらい、カルミラが最近ハマってる激辛シチューをご馳走になって、帰宅した。

毒抜きしてないコカトリスのシチューなんて初めて食べた気がする。

スパイシーにも程があるよ、しばらく口の中が痺れてそう。

石化解除のポーションでウガイしとこ。


翌日、私はもう一度ポーションでウガイをした。

痺れは治ったけれど、なんだか口内の感じが悪い。

激辛は結構好きなんだけど、もしかしたら私はコカトリスのお肉があまり好きじゃないかもしれない…。

そもそも食べるって考えがなかったわ。

不死族って味覚ヤバイんじゃないの。

カルミラはともかく、骨のネモって舌あるんだろうか?胃袋は?

私はメモ帳にネモの舌と胃袋、と書き込んだ。


朝食はお粥に決めた。

お粥を炊いてる間に庭に水撒きして、メア・バインに魔力を与えて葉っぱが混み入ってる部分をちょっと剪定して…

部屋に戻ってゆっくりお粥を食べた。

きっと私の胃はお疲れだ、塩を振ったお粥が物凄く美味しい。


…さてと。ギルドに行かなくては。



個室でチェシャを待っていると、チェシャがホッとした様子で足早に入室してきた。

「ああ、良かったです!私明後日から1ヶ月ココはお休みなもので。間に合って良かった!」


夏休みにしては遅いよね。

忙しかったのかな、などと思っていると


「やだー、夏休みなんて素敵な制度ないですよぉ!アレです、昇進の認定試験なんです!」


「ええー、試験なんてあるの…」


「ありますよぅ!合格率低いんですよ、難しくて意外と。私が今回チャレンジするのは【ギルド長補佐Ⅲ】の資格なんです。必須のスタッフリーダーはもう取得してるし実務経験も満たしているので」


(ええー…なんかこう、アレだね、地球の資格試験みたいだわ…)


「縁故とか貴族出身者が役職つくことが多くて、事故が多かったんですよ。確認不足とか、依怙贔屓とか」

チェシャは耳をピクピクさせた。


「で、15年前に転移者がギルド本部にテコ入れしまして、今の資格制度になったわけなんです!お給料も変わってくるからモチベーション上がりますよー」


「転移者!」


「ギンコーって仕事してた人みたいです。オガワさんっていう年配男性の方なんですけどね」


ギンコー?銀行?銀行員かな…?


「…まあ試験は大変なんだろうけど。事故が無くなって頑張った分、お給料上がるなら良いことなのかもね」

私の言葉にチェシャは耳の飾り毛を揺らしながら、大きく頷いた。


「あ、本題に入りますね!例のパーティーの報告書です。それ読んでる間、私はもう1個の案件の印刷してきますね」

とチェシャは部屋を出ていった。


◆ハグイェア大森林で発見されたパーティーは

【チランジア】というパーティ名。

5人パーティーだったが、行方不明になる数日前に金銭配分で揉めてメンバーの1人を追放…


(あー、追放系ってヤツ…?)


◆4人でハグイェア大森林東部調査のクエストを受けたまま消息不明。

なお、追放されたロン(※現在は違うパーティーラブリーローズ所属)という人物のアリバイなどは調査済みで、この件とは無関係と証明された。

捜索に関する報償金及び遺品は発見者ジューンの権利放棄により、4人の遺族に均等に分配された。

遺骨は遺族の希望により共同墓地に納骨◆


東部調査…中堅パーティーが全滅するくらいの魔物はいっぱいいそうだものね、あの森は。

ちょっと奥地に入りすぎたのかな?

敵が大蛇ではないのは確かだ。

ヘルぺトン相手であんなに綺麗に骨と遺品残るわけ無いもんね。

蛇は基本丸飲みだもの…。


「お待たせしました。次はジューンさんの捜索願いなんですが」

チェシャは堪えきれずに笑いだした。


「ゴ、ゴブリンから依頼があったそうでして、ウフフ、ヴィランテのギルドが受託したみたいで…アハハハ」

チェシャが身を震わせて笑っている。


ゴブリン面白いからね。

チェシャもゴブリン絡みで何か思い出したんだろう。

釣られて私も大笑いしたあと、要約内容を見ていく。


◆緑色の髪をした女性のエルフ捜索の依頼。

名前はジューン。当ギルドのメンバーであること確認済。現在所在地はネイシスグレディス支部担当地区の為、支部から直接本人に確認を取ること。依頼者はゴブリン王国女王モルディアナ・モディ・モディ女王陛下。

ゴブリンの話から推測すると該当エルフに会いたいだけでは…?と思われる。

なお、依頼料は希少砂漠植物の納入で支払い済。

※※チェシャへ。

彼らが何を言ってるか詳細を理解できなくてごめん、頑張ってみましたが無理でした。ジューンさん御本人にお話を伺っていただければ!

数度面談をしたけど毎回20人くらいで来るし、話してる内に誰が女王陛下なのかすらわからなくなる状態です。

イヴォークの大砂漠支部にも同様の用向きで現れているようです。

彼らはイヴォークとヴィランテの区別が出来ていないようです…。

とりあえずヴィランテで請け負いましたが、もうこちらではお手上げです。

お手数ですがそちらで処理していただけませんか?

ゴブ砂漠支部メル◆


私はチェシャと涙が出るほど笑い転げた。


「ウフフ、うふ、想像したらもう」

「女王陛下とか!見分けつかないよね」

「毎回20人、アハハハハ!ゴブリン20人が…ププププ」

「このメルさん、本当に困ってそうだよね、きゃはははは!」

「てかなんで2ヶ所で?」

「ああ、どっちの砂漠にも出入口あるらしいですよ!ウフフフ、ゴブリンさん達、多分同じギルド支部に依頼してるつもり…」

「プッ!ゴブリンならあり得る…!」


ゴブリン王国は2大陸に出入口があって、入った先は王国だけど…出る時はイヴォークなのかヴィランテなのか、どっちなのかいつもわかってない…というか区別が出来ていないんだって!


笑いすぎてすっかり脱力しちゃったけれど、近々私がゴブリン王国に行くという返答をして、この件は終了扱いになった。


「はぁはぁ、今年一番笑った気がします!では私はしばらく居ませんので、何かあったらギルド長か副ギルド長に言ってくださいね」


「わかったよ、試験頑張ってね」


モディ、女王陛下だったとは!

じゃあハグイェアにいたのって王族?

女王陛下が気軽にオアシスで出産していいの?

かわいらしいゴブリン達を思い出すだけで、笑いが込み上げてくる。

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