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前世の記憶は役立たず!~エルフに転生したけれど、異世界が世知辛すぎる~  作者: 藤 野乃
スローライフ所望のエルフ

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会議①


「進捗会議始めるわよー。死の島は予定通り準備が進んでます」


「勇者まだ王都出発してないだろ」


「あーね、王都の北西にある港で造船してるわね」


「まだ出来てないのかよ」


「いえ、仕上げ段階っぽいわね。備品や食料の購入や積み込みも始まってる」


「ふーん」


 カルミラは現時点で魔王組合の仕事に致命的な遅れはないとしてグラスを掲げ、微笑んだ。


「出航に合わせて特番が組まれるけど、これは勇者チャンネルがやるから魔王組合はノータッチ」


「あれだろ? おさらい的なダイジェスト」


「だろうな」


「出航予定日は十七日後って情報が入って──」


「うん」


「各所と連携、協議した結果……どんぐりフェスティバルは二十日後に開催されるって決まったわ」


「へえ。コンテストの最終発表もフェスティバルでやるって?」


 カルミラが紙を配り、各々それに目を通してる間に口頭での説明が続く。


「どんぐりコンテストの優勝者発表なんかはフェスティバル最終日にやるって話ね」


「他には?」


「──競技や違うイベントは十日間のフェスティバル中にバランスよく配置されると思う。それで魔王組合も出店を出すべきか否か評決を──」


「はあ? 出店?」


「枠は押さえてあるの」


「クレープとかァ〜?」


「クレープの屋台……誰が焼くんだよ」


 フレスベルグの言葉に、全員の視線がミシュティに向いた。

 ミシュティは恥ずかしそうに俯いた。


「ミシュティだけに負担をかけるのは許さないわよ」


 私の言葉に、そりゃそうだと全員同意したところでようやく会議らしい会議が始まった。


「魔王組合の看板でやるなら、それっぽいのがいい」


「死の島は現状復帰で返還だから、とにかく稼がなきゃなのよ……」


「利き毒、とか?」


「利き毒」


「利き毒」


「毒物が得意なのは……あれ、俺とセレナ以外全員得意分野なんじゃ……?」


 フレスベルグが不安そうに呟いた。


「いや、俺も詳しくはないが」


 レスターがフレスベルグを慰めるように肩を叩いた。


「うーん、俺もいたずら用に持ってるのはあるけど……詳しいかと聞かれたらそうでもないな」


 ゼグがボソッと言った。


「そうねぇ……毒といえばジューンって感じよね」


「は? なんで私が」


「エルフだし」


「……なあ?」


「そもそも利き毒ってなに? 来場者殺す気なの?」


「流石に死者や体調不良者が出たら、運営委員会に文句言われるんじゃ……」


「うーん、なら毒はやめとく?」


「客が死なない、金取れる、怒られないものだな」


「利き毒クレープ……?」


 ティティはクレープから離れられないようだ。


「ケルベロス喫茶」

「幻覚シーシャ」

「どんぐり賭博」

「あー、賭博行為は公式運営以外不可ね」


 私は少し考えて、口を開いた。


「利き毒、と言うからにはなんの毒かを当てるわけで……極薄でもいいんじゃないかしらね」


「希釈度合いによってはいけるかもしれん」


「ただ、挑戦者が見込めないと儲からないと思うからあんまりオススメしない」


「一緒に写真写れる権は?」


「それ考えたんだけど、動線が滞り過ぎるのは辞めてくださいって委員会から言われてるのよ」


「あー、写真は時間かかりそうだからな」


「早い、安い、美味い……または面白いを狙うなら──」


「ラメンだ」

「ラメンか」


「ねえ、魔界に春男たちを拉致るのはダメよ」


「チッ」


 レスターが舌打ちをしてそっぽを向いた。


「自分たちでラメンを作るなら良いけど──」


 私の言葉を遮るように、レスターがニヤリと悪い笑顔を浮かべた。


「なあ、フレスベルグ。ちょっとラーメン作ってみたくね?」


「良いね良いね」


「じゃあ、ラメン屋やる?」

「利き毒ラメン?」

「ティティ、毒から離れて」

「致死性のない毒草ならば──」

「ミシュティも、やめて」



「待ちなさいよ、二十日やそこらで一から作るのは無理でしょう」


「確かに」


「あっ、ある。売れそうなものが!」


 フレスベルグが叫んだ。

 嫌な予感しかない。


「萌え萌えオムライスだ!」


「もえ…………? なにそれ」


「オムライスに店員がケチャップでハートとか書いてくれるヤツ」


「…………」


「裏方は男性陣、メイド役は女性陣で──」


「それ、売れるのかしら」


「カルミラがケチャップを掛けたら、血糊にしか見えなくない?」


「処刑かよ」


 


 

 

 

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平和な会議だけど不穏で可愛い
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