表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前世の記憶は役立たず!~エルフに転生したけれど、異世界が世知辛すぎる~  作者: 藤 野乃
スローライフ所望のエルフ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

288/353

旧友①


 ポチの新居チェックから数日後。

 私は一人でデジュカ大陸に来ている。

 古巣のチェックの為、である。


「宝物は全部移したのね」


 古龍の巣は、ポチが不要と判断して捨て置いたゴミしか残っていない。


「最深部は見たこと無かったわね。今までゴミの山で見えてなかったし」


 最奥まで歩を進めると、何やら石のようなものが転がっている。


「オリハルコン鉱石じゃないの」


 持っていったオリハルコン鉱石と、捨てられたものの違いは一目瞭然だった。

 こういう鉱石は精錬しないと金属にはならないけれど、所々純度の高い部分が露出して光っている。


 捨てられた鉱石は、くすんで光っていない。


 (基準は光ってるか否か……ポチらしい)


 だが、この曇った鉱石──ポチ以外には垂涎の的となるものだ。


「長年、龍気を浴びて変質したオリハルコン鉱石……」


 まさに、お宝である。

 ジャムの蓋より遥かに資産価値がある。

 ポチ以外には。


 レスターに欲しいかどうか問う手紙を送ると、その場で返信が飛んできた。


 (そりゃ、そういうの好きだから欲しいに決まってるわね)


 私はくすんだオリハルコン鉱石を回収して、レスターの屋敷に転送した。

 元々ポチのものであるので、謝礼は大好物のポテトフライにしてあげてと付け加えて。


 ──龍は一度捨てた巣に戻ることはない。

 なんだか感慨深いわね。

 親元、つまり私から離れて初めて一人暮らしを始めた巣ですもの。


 (まあ、ポチは気にもしてないでしょうけど)


 人知を超えた高位存在というものは、そういうものだ。


「さて、用は済んだし飲みに行くか!」


 先日、薬草園で再会した古い友人リュメイゲと約束があるのだ。

 リュメイゲは普段イヴォーク大陸にいるけれど、数日デジュカに滞在中とのことで、共通の知人も呼んで急遽飲み会が決まった。


 (一応、武装していこうっと)


 デジュカの拠点で準備していると、黄色いワンピースが目についたので着て行くことにする。

 黄色は大事、絶対。



「かんぱーい」

「ヴィルヌ!」

「あは、それ人間の乾杯だよねー」

「お久しぶりー」


 参加者は私、リュメイゲ、あとは女性エルフのシェイジア、ミオンと男性エルフのビョルン。

 三人はデジュカ大陸に住んでいて、エルフらしいエルフである。


「んで? どうなの、人間社会は相変わらず飽きないの?」


 シェイジアの質問に私はにっこり笑ってグラスを持ち上げた。


「飽きないわ。次から次へと色んなことが起きるから。忍耐は必要だけどね」


「忍耐」

「忍耐……」


 エルフの辞書に忍耐という文字はない。

 変わり者のエルフだけが持つ、異能と言ってもいい。


「黄色をつけてくるのはいいけどさぁ」


 ミオンがシェイジアの頭を見て、呟いた。

 釣られて見てみるとスカイブルーの巻き毛に、雑に黄色いリボンが結ばれている。


「それ、お菓子の箱のリボンじゃん」


「仕方ないでしょ、黄色いものがそれしかなかったんだから」


「私は来る途中で買ってきたわ」


 ミオンの胸元には小さな黄色いブローチ。

 他のメンバーもなにかしら黄色の小物を身に着けている。


 (極めて友好的な飲み会。多分)


「そういえば、また魔王が出たよな」

「あー、そうみたいね」


 エルフにかかれば、魔王も虫か何か出たくらいの扱いである。

 魔界に住んでいないエルフからしたら、こんなものだろう。


「勇者パーティにエルフがいるのに少し驚いた」


 ビョルンの発言に、各々が意見を述べ始める。


「メリットは何だろう?」

「暇つぶしかな」

「弱味を握られてるとか?」

「人間に? なら、殺せば終わりじゃないの」

「確かに」

「確かに」


 私はグラスを置き、厳かに告げた。


「人間社会では──とりあえず、すぐに殺すのはダメなのよ」


「なんて面倒な」

「じゃあどうするの? やっぱり社会的抹殺──」

 

「そこも楽しんでこその、スローライフなのよ」


「スローライフ」

「スローライフ」


「そう、スローライフ」


 シェイジアがなんとなく不安そうな顔をして、口を開いた。

 

「スローライフって、なにするの」


「そうねえ。人間のお悩み解決したり、おいしいもの食べたり?」


「悩みを解決? えーと、平和的な?」

「それ何のメリットが?」

「邪魔なものを抹殺ではなく?」

「まさにスローライフねえ」


 (スローライフの定義は合ってるはずだけれど……)


 もしかしたら、人間が言うスローライフと私のスローライフってちょっと違う?

 いや、私は誰も殺してないからセーフだよね……?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
エルフ族強すぎて魔王が虫扱いw それに発言が一々過激すぎるw
 スローライフ……なろうのスローライフは、本当にスローライフだと何も盛り上がりが無くて読者も作者も飽きるから、すぐスローライフが終わって戦争だのなんだのと色々巻き込まれるよね(遠い目)
晴耕雨読のこと…と思ったけれどラノベのスローライフって全然違うよねぇ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ