表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

無に暴食

作者: 厨房

何コレ?

僕には何も無かった。

ある人は走るのが速く、ある人は勉強ができて、ある人は歌が上手い。

昼には太陽が有り、夜には月が有る。

期待には絶望が有って、絶望には期待が有った。

けれど、僕には何も無かった。

運動はできない、勉強もできない、歌うこともできない。

太陽や月なんて無いし期待も絶望もない。

愛してくれる人もいず、親もいない。

僕の名前は「無」何もないことを意味する「無」だ。

全ての物事に何かを与える為生まれた僕は、

相対的に何も持つことを許されなかった。

僕が何かを得てしまえばその時点で世界は瓦解する。

「無」という概念が無くなれば

「有」という概念も無くなる。

けれど「無」である僕だって何かを持ちたい。

他のみんなと違って何一つ得られないのは嫌だ。

確かに誰かから何かを奪うこと自体はできる。

だが奪われた誰かが「無」になる事はない。

全ての物事は多くのものを持っている。

一つくらい失ったって問題は無いのだ。

問題は他にもある。

僕が誰かから何かを奪うと世界は瓦解する前に僕からそれを取り上げる。

それが世界の秩序なのだ。

だから世界は均衡を保っている。

一生僕は何も得る事はない。

そう思っていたのに世界は瓦解を始めた。

僕はまだ何も得ていない。そう思ったのに。

いや、一つだけ得ている。得ていたのだ。欲望というものを。

だから僕は瓦解していく世界の中で全てを求めた。

全てを手に入れ喰らった。

僕は今「無」では無い。暴食だ。

瓦解していく世界の全てを喰らい尽くす暴食。

終わりの見える世界で「無」でなくなった僕の欲望は尽きず暴食へと成る。



何コレ?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ