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93.島はダンジョン?(はじまりの島:ダンジョン?)

見つけて頂いてありがとうございます。


第二章 葡萄の国と聖女


主人公が戦闘狂の聖女と知り合い、葡萄のコロンバールで様々な出来事に遭遇するお話です。


週3回(月・水・金)の投稿となります。

よろしくお願いします。


第二章 葡萄の国と聖女(93)

【コロンバール編・港町ポルト】


93.島はダンジョン?(はじまりの島:ダンジョン?)



とどめを刺したカラードワームは、光の粒になって消えてしまった。

このコロンバールに来て今まで倒した魔物はすべて消えなかったので、そういうものだと思ってたけど、どうやら違うようだ。

僕は念のため他の2体にも剣(黒)を突き刺してみたが、2体とも光の粒になって消えた。


「ウィン、どうかしたのか?」


残された3つの鉱石を見つめながらボーっとしてると、ルルさんが声をかけてきた。

ルルさんも一部始終を見ていたはずなのに、その態度が通常モードということは、今起きたことは普通のことなのだろう。


「ルルさん、魔物って倒すと消えます?」

「ん? 消えるぞ。」

「フルーツスライムやフルーツバードは消えませんでしたよね。」

「ああ、外の魔物は消えないな。」

「外の魔物? じゃあダンジョン内の魔物は消えるんですか?」

「ダンジョンの魔物は倒せば消える。」


そういうことか。

ダンジョンに出現する魔物は倒すと消えて、その後に戦利品をドロップする。

本体は魔力に変換されてダンジョンに還元されるみたいなルールなのかもしれない。

そういえばギルド支部のコニーさんも、ワームを倒すと鉱石を「落とす」って言ってたしね。

でも、ということは。


「ルルさん、ダンジョン以外の場所で魔物を倒して、その魔物が光になって消えることってあります?」

「私の知る限りでは、ないな。」


やっぱり。

この事実から考えると、あの島はダンジョンなのかもしれない。

いや、島の森の中がダンジョンなのか。

まだ森の外では魔物を倒したことがないから島全体が同じなのかどうかは分からない。

少なくとも海は違うだろうな。

タコさんが捕まえてきた海の魔物は消えてなかったからね。



…すみません、そろそろクエストを表示してもかまいませんか?…


「中の女性」が遠慮がちにメッセージを表示した。


(表示してもらってかまわないけど、その前に質問してもいい?)


…どうぞ。…


(従魔たちと出会った島はダンジョンなの? あるいは森の中だけダンジョン?)


…・・・・・・冒険者の秘匿事項です。…



「中の女性」は少し間を置いてから回答を拒否した。

やっぱり何か隠された情報がいろいろある気がする。

なぜ隠す必要があるんだろう?

理由がさっぱり分からない。

それにしても答えない理由が「冒険者の秘匿事項」って。

あっ、もしかして「中の女性」も冒険者なのか?



…では討伐クエストを表示します。…


○討伐クエスト

 クエスト : カラードワーム(茶)を倒せ

 報酬   : 鉄のインゴット(1個)

 達成目標 : カラードワーム(茶)(5体)

 カウント : 3/5



何事もなかったように「中の女性」は討伐クエストを表示した。

経験上こうなると同じ質問をしても答えてくれることはない。

仕方がないのでこれ以上の追及は諦めて、クエストの内容を確認することにした。


討伐クエストの内容はフルーツスライムやフルーツバードの時と同様に5体倒すと報酬が1つもらえるようだ。

茶色を5体倒すと鉄のインゴットということは、色によってそれに応じた金属のインゴットがもらえるのだろう。


また一つ疑問が増えたけど、今は初めてのダンジョン探索に集中しよう。

金属の鉱石やインゴットはできるだけたくさん集めたいしね。


「ウィン、3体倒したし、もういいんじゃないか?」


さあカラードワームを倒しまくるぞと気合を入れ直したところで、ルルさんがもう帰ろうと催促してくる。

いやいやルルさん、これからですから。

本当に、強い相手と殴り合うこと以外興味がないんですね。

それならちょっと形式は違うけど、勝負を演出してみますか。


「ルルさん、それなら僕と戦いましょう。」

「何、いいのか?」


眠そうだったルルさんの目がいきなり真剣なものに変わる。


「はい、ただし僕と直接戦うわけじゃありません。」

「従魔と戦わせてくれるのか?」

「違います。」

「どういうことだ?」

「カラードワームの討伐数で僕と勝負しましょう。まあ、僕には勝てないと思いますけど。」

「なんだと! ウィン、こういうのは経験がものを言うんだ。私が勝つに決まってる。」

「じゃあ受けますか?」

「当たり前だ。経験の違いを見せてやる。」


少し煽るとルルさんは簡単に乗ってきた。

ちょっと後ろめたいけど、やる気なさげについて来られるより、この方が全然いいからね。


「ちょっと待ってくださいね。今、ルルさんにクエストをセットしますから。」


僕はそう言って、カラードワームの討伐クエストを受注者ルルさんでセットした。

これで討伐数が簡単に分かる。


「よし、ウィン、勝負だ。」


ルルさんはそう叫ぶと洞窟の中を奥へ向かって一人で走り出した。

近い場所で一緒に討伐しようと思ったけど、別々でもまあいいか。

お互い、特に危険はないだろうし、ダンジョン内で再会できなくても二人とも外には出られるし。

そうだ、適当なタイミングで僕がルルさんのいる所に転移すればいいのか。


そこからカラードワーム討伐に本腰を入れる。

僕はできるだけたくさん狩るための戦略を練った。

ただ歩き回ってカラードワームが出て来るのを待つのは効率が悪いので、石クエストを利用して魔物たちを誘き出すことにした。


作戦はこうだ。

自分の少し前方の空中に「石玉」を出現させ地面に落とす。

その振動を感知して出てきたカラードワームを「炎」で焼く。

カラードワームは火耐性を持っていないので「炎」で討伐することが可能なはずだ。

それを何度か繰り返し、カラードワームの出現率が下がってきたら場所を移動する。


作戦は見事にはまった。

出てくるカラードワームをどんどん討伐していく。

洞窟を奥へ進めば進むほどカラードワームの色のバリエーションが増えるようだ。

初めは茶色(鉄鉱石)ばかりだったものが、だんだん赤色(銅鉱石)が増え始め、次に白色(銀鉱石)が混じり出し、時々黄色(金鉱石)が出るようになった。

さすがに銀色(白金石)、金色(金剛石)、透明(レア鉱石)はなかなか出てこない。


カラードワームが落とした鉱石類はマジックバッグに入れることにした。

いちいちウサくんを呼ぶのも面倒だったし、現在の僕のマジックバッグの容量は倉庫サイズなので余裕だろう。

討伐クエストで得られるはずのインゴットは、まだ一つも出現しない。

おそらく「中の女性」が気を利か背て、最後にまとめて出してくれるんじゃないかな。


そこまで考えて、ある問題に気がついた。

ルルさん、鉱石類はどうしてるんだろう。

確かマジックバッグは持ってなかったような。

ルルさんのことだから、そのまま放置してる気がする。

それはかなりもったいないな。

どうしようかな。


そこで僕は、解決策をひとつ思いついたので一度ルルさんの所へ転移することにした。


「転移陣、ルルさんのいる所へ。」


僕はスラちゃんを左腕につけたまま、ルルさんの居場所を指定して転移した。

読んで頂いてありがとうございます。

徐々に読んで頂ける方が増え、励みになります。

次回投稿は2月15日(水)です。

よろしくお願いします。

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