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70.噛み合ってるけど噛み合ってません(ガールズトーク?)

見つけて頂いてありがとうございます。


第二章 葡萄の国と聖女


主人公が戦闘狂の聖女と知り合い、葡萄のコロンバールで様々な出来事に遭遇するお話です。


年内は毎日投稿する予定です。

よろしくお願いします。


第二章 葡萄の国と聖女(70)

【コロンバール編・首都コロン】



70.噛みあってるけど噛み合ってません(ガールズトーク?)



名前 : アリーチェ(32歳) 女性

種族 : ヒト

職業 : シェフ

スキル: 調理・調味・食材鑑定(中)

魔力 : 53



アリーチェさんの料理はやっぱり美味しかった。

お腹が空いていたのでどんどん食が進む。

調理と調味と食材鑑定(中)のスキル三点セットを持っている彼女は、料理人の中でもかなり腕が良いほうなんだろう。


従魔たちも遠慮することなく料理に手や足を伸ばしていた。

でもよく見ると、従魔たち、出されたもの全部食べてる気がする。

食性が雑食のタコさん、ハニちゃん、ディーくんはまあ分かるけど。

草食のウサくん、肉食のコンちゃんとラクちゃん、鉱石食のスラちゃん、君たち全員野菜も肉も食べてるよね。


(美味しければ問題ないの。)

(あるじ〜、気にしなくていいよ〜。)


従魔たちの食事風景を不振げに見ていると、タコさんとディーくんから念話が来た。

でもそれなら食性の項目必要ないんじゃないのかな。

従魔全員「雑食」でいいと思います。


ちなみにルルさんは、一人だけ別のテーブルで女性陣に囲まれている。

最初は僕たちと一緒に食事をしていたんだけど、アリーチェさんに引っ張って行かれた。

皆さん、ワインを飲んでることもあってか、とても盛り上がってる。

会話の内容は、ちょっと問題ありな感じ。

いや正確には、僕にとってのみ、かなり問題ありな感じ。



「ルル様、ウィン君とはどうやって知り合ったの?」

「ウィン(の風魔法)を見て、一目で(魔法を)気に入った。」

「あらあら、まあまあ。ルル様って情熱的なのね。」

「そうだな。(戦闘に関しては)一途で一直線だとよく言われる。」

「それでこれからどうするの?」

「もちろん(刺激的な戦闘を求めて)、ウィンと一緒に(魔物討伐に)行く。」

「離れないってこと?」

「ああ、こんな(風変わりな)人間に出会えることなどもう一生ない。(戦闘を極める機会を)逃すわけにはいかない。」


アリーチェさんとルルさんが会話を進め、お手伝いしてくれていた女性たちがその周りを囲んでいる。

時々、キャーという声が響いたり、大げさな溜息が溢れたり、非常にかしましい。

これはアレか?

ガールズトークってやつなのか?


でもアリーチェさん、ノリノリでしゃべってますけど、たぶん話の内容がまったく噛み合ってないですから。

ルルさんの答えにはハートマークが飛び交うような内容は一切含まれてません。

まあ、これだけ言葉が足りないと真意を理解しろっていう方が無理だけどね。

字面だけ見ると、完全に会話が噛み合ってるしね。


「ウィン君のどこがいいの?」

「(戦闘に)強いところだ。」

「「「キャー」」」


皆さん、そこ、叫ぶところじゃないと思うけど。


「ウィン君って、本当に強いの?」

「すべて(身体能力・魔法・従魔)強いぞ。」

「「「キャー」」」


もうなんか、話の輪に入ってないのに疲れてきた。


「他には?」

「そうだな、(戦闘に)強い上に(魔法が)うまくて、(戦略が)柔軟で、(従魔が)多彩だ。」

「「「キャー」」」


叫び声の音量が2段階くらい上がった。

ルルさん、実はそれ、わざとやってない?

だとしたら相当な策士だけど。

ルルさんに限ってそれはないか。


「ウィン君、飲んでるか?」


アリーチェさんとルルさんの噛み合っていて噛み合ってない会話を聞いていると、マッテオさんが隣に来て椅子に座った。

両手にワインのボトルを持っている。

右手が白、左手が赤。

マッテオさん、2丁拳銃を構えるカウボーイみたいですね。


「そういえば、メガが出たらしいな。」


めが? メガ?

メガ・フルーツスライムのことかな?


「はい、アレ、おっきいですね。」

「ハハハ、メガに遭遇してそんな呑気な感想を言える奴は滅多にいないぞ。普通は生きるか死ぬかの大事だからな。」


そうなんですね。

そう言えばルルさんが星2つの魔物が出ると騒ぎになるって言ってた気がする。

ちょっと誤魔化しとく?


「いや〜倒すの大変でした。」

「今さら取り繕っても遅いぞ、ウィン君。現場にいた者たちから聞いてる。メガ相手に遊んでたそうじゃないか。」

「いえ遊んでたわけじゃなくて、いろいろ試してたというか・・・」

「本当に強いんだな、ウィン君は。メガなんかに暴れられたら葡萄が全滅するところだったよ。改めてお礼を言わせてくれ。ありがとう。」


マッテオさんが頭を下げてお礼を言ってくれた。

両手にワインを持ったままで。

そして頭を上げるとニッコリ笑って両手を僕の方へ差し出した。


「さあ飲むぞ。ウィン君のグラスは? 1つじゃダメだぞ。白用と赤用、グラスは2つだ。」


空のワイングラスが2つ、僕の前に置かれる。

マッテオさんは両手で同時に白ワインと赤ワインをそれぞれのグラスに注ぐ。

続いてマッテオさんは、自分用のワイングラス2つに同じようにワインを注ぎ、注ぎ終わると両手のワインボトルをテーブルの上に置いた。


「ウィン君、両手で乾杯しよう。マナーとしては乱暴だが、これくらいしないと今の感謝と喜びは表現できない。」


マッテオさんの言葉に僕は頷くと、両手にワイングラスを持って立ち上がる。

マッテオさんも立ち上がり大きな声でレストラン内の人々に告げる。


「みんな酒はあるか〜? 乾杯するぞ〜。農園の無事を祝して〜、そしてウィン君と彼の仲間たちに感謝して〜、もちろん今夜ここにいるすべての人に感謝して〜、かんぱ〜い!」


「「「かんぱ〜い。」」」


みんな笑顔だった。

ルルさんも珍しく微かに笑っている。

従魔たちもワイングラスを抱えて飲んでる。

あれっ、従魔たちってお酒飲めるんだっけ?

まあ細かい事は今夜はいいか。


別にそうしなければいけないわけじゃなかったけど、気分で右手の白ワインを一気に飲み干した。

続いて左手の赤ワインも一気に飲み干す。

マッテオさんの方を見ると、すでに次のワインをグラスに注ぐところだった。



…宴もたけなわのところ、お邪魔します。…



「中の女性」のメッセージが流れた。

あっ「中の女性」も乾杯する?



…ありがとうございます。気持ちだけ頂きます。物理的には無理なので。新しいクエストを表示します。…



○鑑定クエスト

 クエスト : 酒をイッキしろ①

 報酬   : 酒鑑定(初級)

 達成目標 : 酒の一気飲み(10回)

 鑑定項目 : 酒ランク(C〜E)・種類・作り手

 カウント : 2/10



酒鑑定!?

これは・・・ありかも。

読んで頂いてありがとうございます。

次回投稿は明日です。

よろしくお願いします。

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