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53.冒険者ギルドのギルド長(SIDE:ネロ)

見つけて頂いてありがとうございます。


第二章 葡萄の国と聖女


主人公が戦闘狂の聖女と知り合い、葡萄のコロンバールで様々な出来事に遭遇するお話です。


年内は毎日投稿する予定です。

よろしくお願いします。


第二章 葡萄の国と聖女(53)

   (コロンバール編・首都コロン)



53.冒険者ギルドのギルド長(SIDE: ネロ)



なんじゃありゃ。

25年以上冒険者やってるが、あんな奴ぁ初めて見た。

あのステータス、バグってるとしか思えねぇ。


ウィンが受付に来た時には、どこかの辺境から出てきたあんちゃんなんだろうなくれぇに思っていた。

この辺りで冒険者目指すやつらは、たいてぇ15歳前後で冒険者登録するもんだが、田舎から出稼ぎに来る場合はその限りじゃあねぇしな。

だから25歳で初登録ってぇのも別に珍しくはねぇ。


ただ訳ありの場合、犯罪歴持ちってぇのがよくあるパターンなんだが、ウィンの判定は真っ白。

犯罪者判定の魔道具は実は白と赤の二択だけじゃねぇ。

相手に応じて犯罪者疑惑みたいなのを微妙な色合いで示してくる。

そういう意味じゃあ、真っ白ってのは珍しい。

誰だってちょこっとくれぇは心に闇を抱えてるもんだからよ。


そんなわけで、こりゃあ田舎の純粋な馬鹿正直モンが来たみてぇだなとか思ってたら、人物鑑定の結果を見てビックリ仰天。

まさに「なんじゃこりゃ」な表示が出やがった。


一つ目は「種族」の表示んとこだ。

『ヒト族(?)』って何でぇ?

種族名の後ろに(?)が付いてやがる。

こんな表示は今まで見たこともねぇ。

ウィンの見た目は完全にヒト族だが、なんか混じってるってことか。

だが人物鑑定の魔道具は、他種族の血が混じってりゃそれをキチンと表示するはずだ。

さっぱりわけが分かんねぇ。


二つ目は「スキル」の項目。

『表示不可』ってどういうこってぇ?

スキルってぇのは、魔法から特殊能力、特殊技能までその人物が持つ「力」って意味だよな。

「スキルなし」ってんならまだ理解できる。

スキルが一個もねぇってことだからな。

だがよ、表示できねぇってのはいったいどういう了見でぇ?


最後は「魔力」んとこだ。

魔力量の表示が0。

これも本来ならありえねぇ。

全ての生物は魔力を持っている、それがこの世界の常識だ。

魔力量が滅茶苦茶少ないってぇのはあり得るが、0はない。

こいつの体ぁどうなってやがんだ、まったくよう。


こんなステータスを見たら、驚かねぇほうがどうかしてる。

驚き過ぎて叫んじまったら、グラ(グラナータ)に思いっきりはたかれた。

てめぇ、馬鹿力なんだからちったぁ加減しやがれ。


そんなやりとりをしていると、さらなる爆弾が投下されやがった。

落としたのは冒険者のルルだ。

突然現れてウィンとパーティー登録するとかぬかしやがる。

ルルは今まで誰とも組んだことがねぇ。

Aランク冒険者で凄腕の拳闘士で「聖女」の二つ名持ち。

おまけにこの国の外にまで聞こえた美貌の持ち主。

これまでどんだけの冒険者がフラれて涙を飲んできたことか。

パーティーの申し込みと男女交際の両面で。


当然ギルド内は大騒ぎ。

阿鼻叫喚ってぇのはこのこった。

ただ当事者のはずのウィンの奴ぁ、訳が分からねえって顔でボーッとしてやがる。

ルルよぉ、ウィンに何も話してねぇのかよ。


グラがギルド内の騒ぎを抑えてルルとウィンをギルド長室へ案内する。

もちろんオレもついて行く。

このままじゃあ外野がうるせぇからな。

そしてギルド長室で落ち着いて話をしようとして、さらなる爆弾に吹っ飛ばされる。


「「10個! 今のところ!?」」


さすがにグラもオレと一緒に叫んでやがる。

それにしてもふざけんじゃねぇぞ。

スキルが10個ってなんじゃそりゃ。

Sランク冒険者でもスキル10個はねぇぞ。

そもそも魔力0じゃなかったのかよぉ。


本来スキルってぇのは冒険者の企業秘密みてぇなもんだ。

だから他人への説明義務はねぇ。

ただ、普通は鑑定すりゃあステータスに表示される。

冒険者ギルドとしちゃあ、管理する者として冒険者たちの実力を把握しときたいってぇのが本音だ。


ウィンの場合はステータスにスキルが表示されねぇ。

でも自己申告で10個もあると言われりゃあ、ギルド長としちゃあ確認したくなるってもんだ。

しょうがねぇ、恥を偲んで頼んでみるか。


「ウィン、本当は訊いちゃいけねぇってのは承知の上だが、その10個ってのを、おおまかにでもいいから教えちゃくれねぇか?」


ありがてぇことに、ウィンは意外にあっさりスキルを教えてくれた。

グラが紙とペンを出してウィンのスキルをメモしていく。


ん? ちょっと待て、ちょっと待ちやがれ。

風・水・炎・石・氷まではまだ分かる。

分かるっつっても一人で魔法5種類持ちなんざあ、宮廷魔術師でもいやしねぇがな。

薬草? おにぎり? ホーム?

なんじゃそりゃ。

テイム、転移、鑑定、収納、錬金?

全部レアスキルじゃねぇか。

一人で全部持ってるってえのか。

あと料理?

なぜそこに料理?

あっ!

10個じゃねぇ、15個あるじゃねぇか。


「おい、ウィン!」


気がついた時にゃあウィンとルルは逃げてやがった。

チクショウ、抜かったぜ。

こん次に捕まえた時にゃあトコトン問い詰めてやる。

覚悟しやがれ。


読んで頂いてありがとうございます。

次回投稿は明日です。

よろしくお願いします。

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