277.テイマーはハーレムがお好き(魔物鑑定:モール・モール)
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第三章 世界樹の国と元勇者(アマレパークス編)
主人公が世界樹の国で様々な出来事に遭遇するお話です。
仲間として戦闘狂の聖女に続いてエルフの元勇者が加わります。
週2回(月・木)の投稿となります。
よろしくお願いします。
第三章 世界樹の国と元勇者(277)
【アマレパークス編・地下都市ララピス】
277.テイマーはハーレムがお好き?(魔物鑑定:モール・モール)
【鑑定結果】
モール・モール(mole mole) ☆
系統 : 土中系土竜型
通称 : 『モルモル』
体型 : 小型
体色 : 茶色(尻尾だけカラフル)
食性 : 鉱物食
生息地: 土中
特徴 : 鉱物を探知する。
穴を掘る。
鋭い爪を持つ。
性格は活発。
可食(でも美味しくない)
特技 : 鉱物探知・掘削・切り裂き
モルモルのマーレを鑑定してみた。
もちろん、事前にチェチェロさんから許可を得ている。
鑑定結果には、特に新しい情報はなかった。
あえて言うなら、正式名称が『モール・モール』だということと、『可食』だけど美味しくないということくらいかな。
『可食』の文字を見た時にはちょっと引いたけど、『美味しくない』の表示を見て何だかホッとした。
これで『超絶美味』とか表示されてたら、とても切ない気持ちになったと思う。
そう言えば『魔物鑑定』って、魔物の一般情報しか表示されないよな。
『人物鑑定』の場合は対象者の個人情報が出るんだけどね。
魔物の個体独自の情報って表示されないんだろうか。
鑑定結果を見つめながらそんなことを考えていると・・・・・
【鑑定結果】(個体情報)
名前 : マーレ
種族 : モール・モール
性別 : 雌
年齢 : 3歳
魔力 : 35
状態 : 従魔(テイマー:チェチェロ)
特徴 : 尻尾が海色
マーレの『個体情報」が追加で表示された。
『鑑定』って、まだまだ奥が深いのかもしれない。
僕が使いこなせていないだけのような気がする。
これからも意識していろいろ試してみないといけないな。
「どうです? うちのマーレ、かわいいでしょう?」
『鑑定結果』を見ながらいろいろ考えていると、チェチェロさんが自慢気に話しかけてきた。
周りから見れば、マーレのことをじっと見つめてるように見えたんだろう。
僕は改めてマーレのことを見つめ直した。
確かにかわいい。
申し訳ないけど、ケラケラよりもかわいさが理解できる。
まあ何をかわいいと思うかは人それぞれだから、どんな『かわいさ』も否定するつもりはないけどね。
「かわいいですね。それに大切にされてるのがよく分かります。」
「そうでしょう、そうでしょう。テイムするのに苦労しましたから。」
チェチェロさんが愛おしそうにマーレを見つめながらそう言った。
僕は思わず笑顔になりながらも、チェチェロさんの後半の言葉に引っ掛かりを覚えた。
テイムするのに苦労?
そう言えば、テイムってどうやるんだろう。
僕は正確なテイムの仕方を理解していない。
僕の場合、体に触れるだけだったり同種を100体討伐したりだったけど、あれはクエストだったので特殊な例だったんだと思う。
『はじまりの島』を出て以来、新たなテイムクエストは一度も出現してないしね。
「チェチェロさん、モルモルをテイムするのは難しいんですか?」
「そうですね。モルモルもケラケラも基本的に地中にいますから。まず探すのが大変なんです。」
「どうやって探すんですか?」
「巣穴の入り口を見つけて、その近くに食べ物を置いて誘き出すのが一般的ですね。モルモルなら鉱石、ケラケラなら植物や昆虫を置きます。」
「巣穴から出てきたら、その後はどうするんですか?」
「普通のテイムと同じですよ。相手の体に触れてテイムスキルを発動するだけです。それを成功するまで繰り返します。」
なるほど。
体に触れるところは、タコさんやウサくんやスラちゃんの時と同じだな。
でも成功するまで繰り返すってことは、テイムの成功確率ってかなり低いんだろうか?
「チェチェロさんは、マーレを従魔にするのに何回くらいかかったんですか?」
「10体目ですね。」
えっ、10回目じゃなくて10体目?
そんなにモルモルを探し回ったの?
しかも9体はテイムに失敗したの?
「モルモルは警戒心が強いので、一回目のテイムで失敗すると同じ巣穴からは出てこなくなるんです。だから毎回一発勝負で・・・ようやく10体目でこのマーレを従魔にできたんです。」
僕の驚いた顔を見て、チェチェロさんが詳しく説明してくれた。
「それは確かに相当大変そうですね。」
「はい、でも一生の伴侶ですから。それくらいの苦労はなんでもありません。」
従魔が一生の伴侶か。
確かに普通のテイマーは複数の従魔を持てないらしいし、唯一の相棒という意味でそういう感覚になるんだろうな。
でもチェチェロさん、その表現は結婚相手の前では使わない方がいいと思いますよ。
何か大きな誤解を招きそうなので。
「僕の一生の伴侶はマーレ」なんて言ったら、間違いなく破局の危機が訪れると思います。
あっ、『破局』と言えば、テイマーと従魔の間に『破局』ってあるんだろうか?
一度従魔にした魔物を解除したりできるのかな?
とりあえず何でも知ってそうなティティンさんに訊いてみよう。
「ティティンさん、テイマーと従魔の関係って契約みたいなものですか?」
「契約? どうだろうな。一般的にはテイムが成功すると従魔になるとしか説明されていない。でも契約とはちょっと違うと思うがな。」
「ということは、解除とかはできないんですか?」
「解除? 一度従魔にすると変更はできないぞ。だからテイマーは慎重に自分の従魔を選ぶんだ。っていうか、ウィン君、テイマーだろう。なぜ今さらそんなことを聞く?」
「僕の場合、なんちゃってテイマーなので、あんまりよく分かってないんです。」
「ウィン君、なんちゃってテイマーが従魔を7人も従えてたら、世のテイマーすべてから恨まれるぞ。外では発言には気をつけた方がいい。」
「はい・・・すみません。」
ティティンさんから注意されてしまった。
でもまったくその通りだったので素直に謝った。
テイマーが従えることができる従魔の数は通常1〜2。
7人の従魔を従えてる僕が謙遜しても、他のテイマーからすれば馬鹿にされてるようにしか感じないだろう。
「す、すごい人なんですね。」
「えっ?」
ティティンさんとの会話に気を取られていると、すぐ横でチェチェロさんが僕を見つめていた。
憧れと尊敬が混じったような眼差しで。
「従魔を7体も持てるなんて、男の夢じゃないですか。」
「男の? 夢? テイマーの夢じゃなくて?」
僕はチェチェロさんの勢いに心持ち引きながらも質問を返した。
「だってモルモルを一度に7体も従えられるんですよ。赤い尻尾も、黄色い尻尾も、ピンクの尻尾も、あれもこれも全部。どれにしようか悩まなくていいんですよ。色とりどりのしっぽに囲まれて暮らせるなんて、至福じゃないですか。」
え〜とチェチェロさん、実はハーレム傾向の強い人だったんですね。
マーレのことを『一生の伴侶』とか言ってたので、一途な人なんだと思ってました。
でも従魔の前では態度に気をつけた方がいいですよ
ほら、心なしか『マーレ』の表情が冷たくなってますから。
特技の『切り裂き』を受けないよう、くれぐれもご注意ください。
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