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240.器は小さくてもいいそうです(従魔とテイマーの関係性)

見つけて頂いてありがとうございます。


第三章 世界樹の国と元勇者(アマレパークス編)


主人公が世界樹のアマレパークスで様々な出来事に遭遇するお話です。

仲間として戦闘狂の聖女ルルに続いてエルフの元勇者リベルが加わります。


週3回(月・水・金)の投稿となります。

よろしくお願いします。


第三章 世界樹の国と元勇者(240)

【格闘大会編】



240.器は小さくてもいいそうです(従魔とテイマーの関係性)



「もぐもぐ、ボクが寝てる間に、もぐもぐ、そんなことが、もぐもぐ、あったんですか? もぐもぐ、ボクも、もぐもぐ、参加したかったな、もぐもぐ。」


リベルさんに格闘大会の顛末を簡単に伝えると、リベルさんは両手に串焼きを3本ずつ持ったまま、そんな反応を返してきた。


それにしてもリベルさん、串焼きの食べ方、器用だよね。

普通は1本ずつ食べるものだと思うけど、6本の串焼きを両手に持ったままで、一口ずつ順番に食べてる。


「ダメ勇者、お前が参加したところで、捕縛しかできんようでは試合に勝てんだろう?」

「ルルうるさい、もぐもぐ、ボクがいない間に、もぐもぐ、決勝まで行ったからって、もぐもぐ、いい気にならないで、もぐもぐ、欲しいな、もぐもぐ。」


リベルさん、食べるかしゃべるかどっちかにして下さい。

何言ってるか聞き取りづらいし、行儀も悪過ぎます。

2日間も寝ててお腹が空いてるのは分かりますが、良い子が真似したらどうするんですか。


「リベル、しゃべるなら食べちゃダメ。代わりに私が食べる。」


良い子代表のリーたん(海竜・年齢不詳・幼女姿)がリベルさんのお皿から素早く串焼きを奪った。

リーたんは、予想通り串焼きの匂いを嗅ぎつけて、すぐに『小屋』にやってきた。

もちろんリーたんの前にも串焼きを載せたお皿を出してあるんだけど、隙あらば他のお皿の串焼きも手に入れようと、虎視(竜視)眈々と狙っている。


「リーたん、それボクのだよ〜。」

「ルルとしゃべってるリベルが悪い。」

「ルルが話しかけてきたんだよ〜。」

「串焼きがある時は串焼きに専念するの。気を逸らすのは串焼きに失礼だよ。」

「だからってボクの皿から串焼きを取らなくても・・・・・」

「串焼きを守りきれないなんて、リベルはまだまだ串焼きに対する愛情が足りない。」

「そんな〜。串焼き一筋なのに〜。」


うん、『串焼き同好会』メンバー同士の会話は理解できないな。

二人は放置しておこう。

それよりも従魔たちに確認したいことがある。


「ディーくん、リベルさんの訓練の状況はどうなの?」

「あるじ〜、仕上がり上々だよ〜。もう外に出してもいいかな〜」


へぇ〜、そうなんだ。

少し前まで「まだまだ」って言ってた気がするけど。

意外と早く成長したというか、従魔たちの訓練に適応できたんだね。

リベルさん、腐っても勇者ってことかな。


「あるじ〜、リベルくんは腐ってないよ〜。素材は元々いいからね〜。ただメンタルが軟弱なだけだよ〜」


ごめんごめん、言葉のチョイスが悪かったね。

でもリベルさん、血を見ると気絶しちゃうんじゃなかったっけ。

その辺はどうなの?


「そこはね〜、まだ克服できてないよ〜。でもね〜、新しい倒し方を覚えたよ〜」


新しい倒し方?

それって、どんな方法?


「それはね〜、内緒だよ〜。次の冒険でお披露目予定〜」


次の冒険?

何の冒険?

そもそも冒険なんてしてた?


「え〜、ララピスに行くんじゃないの〜?」


ララピス?

それ、どこだっけ?


「アマレパークス第三の街だよ〜。北の山脈の方にあるよ〜。鉱山がメインかな〜。山エルフがいるよ〜」


ああ、そんな話、聞いたような聞いてないような。

ダメだな、記憶が曖昧だ。

海エルフの街アマレ、森エルフの街シルワ、そして山エルフの街ララピスか。

もともと順番に周ろうと考えてたんだよな。

途中で『格闘大会』に寄り道しちゃったけど。


「ウィン、ララピスに行くなら私が転移しよう。」


僕とディーくんの会話にルルさんが参加してきた。

僕は『念話』だったのに、よく内容がわかりましたね。

まあ、ディーくんは声に出して喋ってたので、そこから推測できなくもないか。

でもルルさん、相変わらず言葉を省略し過ぎです。

言ってることは理解できますが、全体像が分かりません。


「ルルさん、つまりルルさんはララピスに『転移』で移動するってことですね?」

「ウィンもだ。」

「ルルさんと僕がそれぞれ転移する?」

「違う。私がウィンを連れて転移する。」

「なぜですか?」

「私はララピスを知っている。」

「行ったことあるんですか?」

「そうだ。だから正確に転移できる。」


そこまで話してようやくルルさんの言いたいことが理解できた。

『転移』は行ったことがない場所でも指定の仕方を工夫すれば移動することができる。

ただ、漠然とした指定ではピンポイントで行きたい場所に行くのは難しい。

シルワの森に転移した時、行き先を「シルワの森の手前」と指定したら、森に入る入り口からズレた場所に出ちゃったしね。


「ララピスは複雑で難しいんだ。」

「複雑で難しい?」

「広いし変化する。」


複雑で難しくて広くて変化する街?

それって、どんな街?


「ウィン、どんな街かは自分の目で見るのが一番だ。」

「そ、そうですね・・・また表情に出てました?」

「いや、最近はなぜかウィンの考えてることが分かる。」


えっ、冗談ですよね。

でもルルさん、冗談言わないしな。

ルルさん、最近神がかってませんか。

『念話』とか『読心』のスキルっていうならまだ納得できますけど。


「他の人の考えは読めないからスキルじゃないと思うぞ。」

「また読まれた! なぜ?」

「まあ、以心伝心じゃないか。」

「そんなスキルあるんですか?」

「スキルじゃない。ウィンはたまにバカになるな。」

「スキルじゃないのに心が読める?」

「ずっと一緒にいれば考え方くらい分かるだろう。普通のことだ。」


これって普通のことなのか。

多少はそういうこともあるだろうけど、それにしても正確に読み取り過ぎじゃないかな。

ディーくん、ルルさんになんか変な能力、植え付けたりしてないだろうね。


「あるじ〜、そんなことしてないよ〜。ルルちゃん、勘が鋭いだけだと思うよ〜」


ディーくんがそう言うなら、そうなんだろうけど・・・・・。

いや、決勝戦でルルさんに買収されて僕のことを裏切ったくらいだからな。

何か隠してる可能性も十分ある。


「あるじ〜、まだ根に持ってるの〜。器が小さいよ〜」


あっ、ディーくんにディスられた。

自分の従魔に器の小ささを指摘されるテイマーって・・・・・。

でもまあいいか。

自由に生きるんだから器の大きさとか関係ないし。

早く寝て、明日に備えよう。





読んで頂いてありがとうございます。

徐々に読んで頂ける方が増え、励みになります。


誤字・脱字のご指摘、ありがとうございます。

ご感想を頂いた皆様、感謝いたします。

ブックマーク・評価を頂いた皆様、とても励みになります。

ありがとうございます。


次回投稿は3月18日(月)です。

よろしくお願いします。

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