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204.この世界には神が実在するようです(損害賠償請求:ウサくん)

見つけて頂いてありがとうございます。


第三章 世界樹の国と元勇者(アマレパークス編)


主人公が世界樹のアマレパークスで様々な出来事に遭遇するお話です。

仲間として戦闘狂の聖女ルルに続いてエルフの元勇者リベルが加わります。


週3回(月・水・金)の投稿となります。

よろしくお願いします。


第三章 世界樹の国と元勇者(204)

【アマレパークス編・白の森シルワ】    



204.この世界には神が実在するようです(損害賠償請求:ウサくん)



「あるじ〜、色ウサギちゃん達、全滅させちゃったの〜? 酷いよね〜。ウサくんの自信作だったのにな〜」


予想に反して、僕はディーくんから説教を喰らっている。

どうやら草原の魔物はウサくんの管轄だったらしい。

まさかウサくんが『魔改造』の主犯?

確認するのがちょっと怖い。


『小屋』の中には従魔たちが勢揃いし、僕を取り囲むように半円を描いている。

僕は反省の意味を込めて、大理石の床に正座している。

でもソファの上に正座すれば良かったと後悔中。

もう足の感覚が・・・・ほとんどありません。


一緒に『カラード・ホーンラビット』を殲滅したルルさんは、足を組んでソファに座り、我関せずでふんぞり帰っている。

「全責任はウィンにあるので私は感知しない」という態度だ。

まあ倒してもいいと判断したのは僕なので、ルルさんに文句を言う筋合いではない。


「あるじ〜、ウサくんに謝ってね〜。表情に出さないけど、ショック受けてるからね〜」


ディーくんにそう言われて、僕はウサくんを見た。

ウサくんは口をもぐもぐさせている。

本当にショック受けてるのかな?

いつものことだけど、ウサくんの表情からはまったく何も読み取れない。

でも僕自身、勝手なことをした自覚はあるので素直に謝ることにした。


「ウサくん、ごめんね。悪気はなかったんだけど。」

「色ウサギ、もぐもぐ、全滅、もぐもぐ。」

「いや、ほら、訓練用かなぁとか思ったんだよね。」

「また育てるの、もぐもぐ、たいへん、もぐもぐ。」

「本当にごめんね。今度からは気をつけるから。」

「主、もぐもぐ、補償を、もぐもぐ、要求する。」


謝れば許してくれるかと思っていたら、ウサくんからまさかの損害賠償請求を突き付けられた。

ウサくん、割と本気で怒っちゃってる感じ?

まあ、あれだけの数の魔物を倒しちゃったからなぁ。

責められても仕方ないよな。


「ウサくん、補償って何がいいの?」

「主、もぐもぐ、聖薬草10束で、もぐもぐ、手を打つ。」


ウサくんからの要求は聖薬草10束。

予想通りの物ではあるけど、そんな程度でいいの?

もっといっぱい強請られるかと思った。

あるいは「神薬草欲しい」とか言われる可能性も考えていた。

もうすぐ、『薬草クエスト(神薬草)』も達成しそうだし。

まあ『+α』の条件を満たすのがいつになるか分からないけど。



○薬草クエスト

 クエスト : HERBS④

 報酬   : 神薬草(1束)

 達成目標 : 薬草クエスト(1000回)+α

 カウント : 964/1000

 


頭の中で『薬草クエスト』の情報を確認していると、ウサくんがもぐもぐを止めて口を開いた。


「主、それも、1束追加で。」


あっ、しまった。

ウサくんから追加要求が・・・。


『それ』って、『神薬草』のことだよね。

声に出して会話してると忘れがちだけど、従魔たち全員、念話もできるから考えただけでバレちゃうんだった。

失敗した。


「ウィン、『それ』とは何だ?」


ソファでふんぞり帰ってたルルさんがいきなり口を出してきた。

ルルさん、なぜそういう時だけ勘がいいんですか?

一応『聖女』だけに、薬草関係の話には興味があるんだろうか?

魔物を殴り倒すこと以外には興味がないと思ってたのに。


「ウィン、失礼なことを考えているな。」

「イエ、ケシテソンナコトハ、アリマセン。」

「返事が棒読みだし、視線が左下に逸れているぞ。」


ルルさんから指摘が入った。

セリフが棒読みなのはその通りだが、視線が左下に逸れている?

なんだそれ?

でも言われてみると確かに今、僕の視線は左下を向いていた。

まったく無意識のうちに。


失礼なことを考えると、視線が左下に逸れるのか?

これは僕のクセなのか?

それとも心理学的な、あるいは脳科学的な現象なのか?

前の世界で「嘘をつく時は右上を見る」っていう話を聞いたことがある気がするけど。


「ルルさん、人って、失礼なことを考える時は左下を見るんですか?」

「他の人は知らん。ウィンを観察した結果だ。」

「根拠はないんですね。」

「経験に基づく判断だ。根拠など必要ない。」

「僕って、そんなに分かりやすいですか?」

「ウィンの思考は、スライムの思考を読むより分かりやすい。」


スライムの思考って。

あのぷよぷよしたり、ぽよんぽよんしたりしてる魔物の思考とか、そっちの方がよっぽど読めないと思いますが・・・。

あっ、もちろんスラちゃんは別格だからね。


まあ、ルルさんの中では「スライム」は、「弱い」とか「単純」の代名詞だからな。

僕はスライムより単純ってことだろう。

あっ、なんかちょっとムカついてきた。


「じゃあルルさん、説明は必要ないですね。『それ』については、勝手に僕の思考を読んで下さい。」


僕が若干不機嫌な口調でそう言うと、


「ウィン、成年男子が拗ねても可愛いくないぞ。」


ルルさんが真面目な口調でそう返してきた。

はいはい、可愛くなくて結構です。

そっち系統は狙ってませんので。

どっちかというと、「切れたら危ない」系に仕分けされそうな、そんな気配を感じている今日この頃です。

そんなどうでもいい事を考えていると、


「まあ、『聖薬草』の次なら、『神薬草』でも作れるようになったのか?」


ルルさんがあっさりと『それ』を言い当ててしまった。

ルルさん、普段は戦闘狂のフリをしてるけど、本当はとても理知的な女性だったりするんだろうか。


「神薬草はまだ作れません。」

「まだということは、近々作れるようになるのか?」

「分かりません。クエスト達成はもうすぐなんですが、発動条件があるみたいで。」

「発動条件? それはどんなものだ。」

「不明です。自分で見つけないといけないようです。」


僕がそう答えると、ディーくんが何でもないことのように、会話に入ってきた。


「あるじ〜、それはね〜、神に出会えばいいんだよ〜」


僕は視線をルルさんからディーくんに移した。

そして確認するように問いかけた。


「ディーくん、それは神クエストの発動条件のことかな?」

「そうだよ〜。神に会えば解除されるよ〜」


ディーくん、それってそんなに軽くしゃべっちゃって良かったのかな。

「中の侍」さんは、重大な秘匿事項みたいに言ってたけど。

苦難を乗り越えた先で自分で答えを見つけなさい的な雰囲気を感じてたんだけどな。


「あるじ〜、大丈夫だよ〜。従魔の秘匿事項には入ってないよ〜」


そうなんだね。

そんなノリで大丈夫なんだね。


「中の侍」さん、今度から秘匿事項を作る時は、従魔たちにも何か縛りを設けた方がいいと思います。

そうしないと全部しゃべっちゃうんじゃないかな。

なぜ「中の人」たちの情報が従魔たちに筒抜けなのか、その仕組みはまだよく理解してませんが。


でもとにかくディーくんのおかげで発動条件は判明した。

あとはどうやって達成するかだ。


「神に会えばいいんだよ〜」

「ディーくん、神様ってどこにいるの?」

「その辺にいっぱいいるよ〜」

「その辺に? いっぱい?」

「そうだよ〜。武神とか、農神とか、狩神とか、海神とか、山神とか、火神とか、水神とか、美神とか、愛神とか、いっぱいいるよ〜」


どうやらこの世界は唯一神ではなくて多神が基本らしい。

前の世界の僕の国の神様に似てる。

ただ異なるのは、この世界では実際に神様に会うことができるらしいことだ。


「ディーくん、どうすれば神様に会えるの?」

「え〜と、神の気が向いたらかな〜」

「気が向いたら?」

「そうだよ〜。神って、怠け者だからね〜。なかなか動かないんだよ〜。」

「神様って怠け者なんだ。何か方法はないの?」

「確実な方法だと〜・・・」


「方法なら、一つあるぞ。」


神様に確実に会う方法についてディーくんが考え込んでいると、ルルさんが口を挟んできた。


「ルルさん、どうすればいいんですか?」

「コロンの格闘場に行けばいい。」


ルルさんは淡々とそう言った。

格闘場? 

教会じゃなくて?

格闘場に行けば神様に会えるって・・・どういうこと?



読んで頂いてありがとうございます。

徐々に読んで頂ける方が増え、励みになります。


誤字・脱字のご指摘、ありがとうございます。

ご感想を頂いた皆様、感謝いたします。

ブックマーク・評価を頂いた皆様、とても励みになります。

ありがとうございます。


次回投稿は12月18日(月)です。

よろしくお願いします。

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