表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

182/333

182.ルルさんとレベリングします①(ヒール&打撃耐性)

見つけて頂いてありがとうございます。


第三章 世界樹の国と元勇者(アマレパークス編)


主人公が世界樹のアマレパークスで様々な出来事に遭遇するお話です。

仲間として戦闘狂の聖女ルルに続いてエルフの元勇者リベルが加わります。


週3回(月・水・金)の投稿となります。

よろしくお願いします。


第三章 世界樹の国と元勇者(182)

【アマレパークス編・白の森シルワ】   



182.ルルさんとレベリングします①(ヒール&打撃耐性)



『はじまりの島』の浜辺に転移すると、ルルさんがシャドーボクシングのような動きをしながら体をほぐしていた。


ルルさん、本気で戦うわけじゃないんだからそこまで準備万端整えなくてもいいのでは?

その勢いでまともに殴られたら、たぶん僕、即死しますよ。

ちゃんと加減して殴って下さいね。


「ウィン、私に力加減を期待するのは、海に向かって真水になれと言うのと同じだぞ。」


ルルさんが僕の顔を見ながら海の方を指差して、そんなことを言ってきた。

僕の表情から考えていることが分かったのだろう。

海を真水に変えるのは確かに絶対無理ですね。

そこまで戦闘で手加減できないなんて、人として何か間違ってる気がします。

まあ、期待はしてなかったのでいいですけど

でもとりあえず何をするかだけは、説明しておこうと思います。


「ルルさん、まずルルさんが僕を殴って、その後に僕にヒールをかける。ここまではいいですね?」

「うむ、ウィンを殴ってウィンにヒール。単純だな。」

「その次に僕がルルさんを殴って、その後にルルさんにヒールをかけます。いいですか?」

「ちょっと待て。なぜ私が殴られなきゃならない?」

「二人のヒールのレベルを同時に上げるためです。」

「いや、まず私が50回連続でやった方がいいだろう。」

「ルルさん、50回連続ヒールなんて魔力がもたないでしょう。交互にヒールをかければ毎回魔力量も回復するので効率的です。それにルルさん、先に中級になったら、今度は上級を目指すって騒ぐでしょう?」

「そんなことは・・・ある。」


ルルさんは僕の懸念事項をあっさり認めた。

そして同時に僕の説明にも納得してくれたので、「殴ってヒール」を二人で交互に繰り返すことに決定した。

まあ、僕には他の狙いもあるんだけどね。


ドスン。


ルルさんの右ストレートが僕のお腹に入る。

僕は数メートル後ろに飛ばされ、砂浜に尻もちをつく。

めちゃくちゃ痛いけど、すぐにルルさんからヒールが飛んで来て、その痛みが消える。


僕は立ち上がり、ルルさんの目の前まで戻る。

そして今後は僕が右ストレートをルルさんのお腹に放つ。

少しよろめきながらも倒れなかったルルさんに、僕がヒールをかける。


殴られてヒールを受け、殴ってヒールをかける。

以後、同じことの繰り返し。


20数回繰り返したところで、「中の侍」さんからクエスト達成のメッセージが表示された。



…うぃん殿、くえすとが達成されたので表示するでござる…


○クエスト : 殴られろ③

 報酬   : 打撃耐性(大)

 達成目標 : 強い打撃を受ける(50回)

 カウント : 50/50



打撃耐性(大)を獲得することができた。

これが僕のもうひとつの狙いだった。

打撃耐性が(中)で止まっていたので、ついでにレベルあげしてしまおうということだ。

可能であれば、ルルさんにも『打撃耐性クエスト』を受けさせたかったが、相性の問題か、受注者枠にセットすることができなかった。


ちなみに打撃耐性(中)の状態でも、ルルさんの打撃はかなりキツかった。

耐性なしで受けてたら、体がバラバラになってたかもしれない。


そのまま「殴ってヒール」を続けた結果、僕とルルさんのヒールは初級から中級レベルに上がった。

これで回復率50%。

当然、次のクエストが表示された。



○クエスト : ヒールをかけろ②

 報酬   : ヒール(上級)(回復率75%)

 達成目標 : ヒールをかける(100回)

 カウント : 50/100

 

 クエスト : ヒールをかけろ②

 報酬   : ヒール(上級)(回復率75%)

 達成目標 : ヒールをかける(100回)

 カウント : 51/100

 受注者  : ルル 


○クエスト : 殴られろ④

 報酬   : 打撃無効

 達成目標 : 強い打撃を受ける(100回)

 カウント : 77/100



ヒールクエストと並行して、僕の打撃耐性クエストの途中経過も表示された。

あと23回ルルさんに殴られれば、『打撃無効』が手に入る。


「ルルさん、続けますか?」

「当然だ。」


訊くまでもなかったですね。

ルルさん、やる気満々ですもんね。


ただこのまま続けるには、ひとつ問題がある。

あと23回で僕が『打撃無効』を獲得してしまうということだ。

『打撃無効』ということは、おそらくそれ以降、打撃ではダメージが入らない。

ダメージが入らないということは、ヒールをかけてもカウントされない。

まあ、とりあえずどうなるか試してみよう。


ルルさんには何も説明せず、そのまま「殴ってヒール」を続けていると、23回目でクエスト達成が表示され、『打撃無効』を獲得した。


「ルルさん、ちょっと相談です。」

「なんだ? ウィン、もう疲れたのか?」


いえいえ、ヒールをかけ合ってるんですから疲れませんよね。

同じことの繰り返しなので、メンタル的には疲れたというか、ちょっと飽きてきましたけど。


「ルルさん、打撃無効を獲得したので、もう打撃ではダメージが入りません。」

「?・・・・・!」


僕の言葉を聞いてしばらく首を傾げていたルルさんは、言葉の意味を理解した途端に目を見開いた。


「ウィン、どういうことだ? もう私の拳ではウィンを倒せないということか!」


はいその通りですね。

打撃無効ですから、打撃では倒せません。

というかノーダメージですね。


僕はそんなことを考えながら、あえて言葉にはせずに、ただ首を縦に振った。


「なんてことだ! もう一生、ウィンを倒せないということか! ウィンをこの拳で殴り倒すことだけが生きがいだったのに! 私はこれからどうすればいいんだ!」


ルルさんがなんか叫んでいます。

ものすごくどうでもいいです。

打撃がダメでも、魔法でも剣でも倒し方は他にいくらでもあるでしょうに。

なぜそこまで殴って倒すことにこだわるのか、まったく理解できません。


「ルルさん、さあ、続けますよ。打撃はもう意味がないので、魔法で攻撃してください。」


僕は砂浜に膝をついて嘆き悲しんでいるルルさんに淡々とそう告げた。


「ウィンは鬼か。私が生涯の夢を失って悲嘆に暮れているというのに、優しい言葉のひとつも無いのか。」

「鬼でもちんちくりんでも何でもいいです。さっさと始めますよ。ヒール、上級になりたくないんですか?」


僕がそう言うと、ルルさんはハッとしてすぐに立ち上がった。


「そうだった。ヒールを極めるのは私の夢。ウィン、続けるぞ。」


ルルさん、相変わらず立ち直りが早いですね。

それに夢がいっぱいあって、いいですね。

1個くらい無くなってもいいんじゃないですか。

そもそも、「僕を殴り倒す」のが夢って、僕にとってはとても迷惑な夢ですし。

もうキッパリ捨てちゃって下さい。

そうじゃないとそのうち、『打撃無効の無効化』みたいな妙なスキルを獲得しそうな嫌な予感がします。


「よしウィン、風刃ウィンドカッター風矢ウィンドアロー、どっちがいい?」

「ルルさん、それ、切れたり刺さったりするので、どっちも嫌です。」

「ウィンはわがままだな。切れたり、刺さるくらいどうってことないだろう。」

「首が切れたら死にますし、心臓に刺さっても死にますよ。風球ウィンドボール水球ウォーターボールにして下さい。」

「仕方がない、では風球にする。行くぞ。」


ルルさんはそう言うと、すぐに風球を発動した。

僕に向かって風のボールが弾丸のように向かって来る。

僕は反射的に避けそうになったが、避けてしまってはダメージが入らないので、体全身で受け止めることにした。


ドーン。


僕はルルさんの風球を受けて吹っ飛ばされた。

文字通り飛ばされて、かなり後方の砂浜の上に落下した。

落下した後、さらにゴロゴロ転がった。


何これ?

メチャクチャ威力強いんですけど。

もしかしてルルさん、魔法も加減できないの?

これ受け続けるの、ちょっと危険な気がしてきた。




読んで頂いてありがとうございます。

徐々に読んで頂ける方が増え、励みになります。


誤字・脱字のご指摘、ありがとうございます。

ご感想を頂いた皆様、感謝いたします。

ブックマーク・評価を頂いた皆様、とても励みになります。

ありがとうございます。


次回投稿は10月27日(金)です。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ