161.ルルさんができること(ギルド認定基準 by 中の侍)
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第三章 世界樹の国と元勇者(アマレパークス編)
主人公が世界樹の国で様々な出来事に遭遇するお話です。
仲間として戦闘狂の聖女に続いてエルフの元勇者が加わります。
週3回(月・水・金)の投稿となります。
よろしくお願いします。
第三章 世界樹の国と元勇者(161)
【アマレパークス編・首都アマレ】
161.ルルさんができること(ギルド認定基準 by 中の侍)
「ルルさん、4つのギルドに登録できれば、空間収納を獲得できるはずです。」
僕は、ルルさんに向かって力強くそう告げた。
「本当か、ウィン。じゃあすぐ登録しよう。」
ルルさんもやる気十分だ。
でもここで一つ問題があることに気づいた。
ギルド登録は誰でもできるわけじゃない。
特定のギルドに入るには一定の技能や技量が必要になる。
まあギルドの役割を考えれば当たり前のことだけど。
全くの初心者でも登録できるのは冒険者ギルドぐらいだろう。
「ところでルルさん、ルルさんの得意なことは何ですか?」
「もちろん、殴り倒すことだ。」
ルルさん・・・。
予想はしてましたけど、答えが直球過ぎます。
一応曲がりなりにも『聖女』なんですから、一番目に「治癒」とか「浄化」とか答えるべきなんじゃないですかね。
第一声が「殴り倒すこと」で、それ一択って。
やっぱり『聖女』の称号は返上すべきだと思います。
「ルルさん、それ以外は?」
「殴り倒すことじゃ、ダメなのか?」
「それで入れるギルドは冒険者ギルドだけでしょう? 冒険者ギルドにはもう登録してるので、それ以外でお願いします。」
僕がそう言うと、ルルさんは腕を組んで考え込んでしまった。
ちょっと待って下さい。
『聖女』としての特技はどうなったんですか?
「ルルさん、聖女のギルドとか無いんですか?」
「ない。数が少なすぎる。」
それはそうだよな。
極めて少人数しかいない業界でギルド作っても意味がないよね。
『聖女』に関しては基本的に教会が管理してるみたいだし。
「じゃあ、治癒系とか浄化系のギルドは?」
「あるにはあるが、聖女は入れん。」
「どうしてですか?」
「師匠の師匠は弟子にできないだろう?」
「?」
ルルさんの説明、相変わらず端折り過ぎててよく分かりません。
噛み砕いて、プリーズ。
「つまりな、聖女はそういうギルドの長のさらに上にいるってことだ。」
なるほど。
『聖女』はもう、ギルドとかのレベルじゃないってことですね。
畏れ多くてギルドに所属させるなんてことはできないと。
じゃあ他に、ルルさんができることって何だろう?
「ルルさん、料理は・・・ダメでしたよね。」
「あの魔法を教えてくれればできる。」
「あれは・・・まだ無理です。」
『料理クエスト』は『炎クエスト』の派生系だ。
『炎』を習得できなければ、『料理』もできないんじゃないだろうか。
ルルさん、『水クエスト』と『風クエスト』は受注者枠で設定できたんだけど、『炎』はダメだったんだよな。
いずれ設定できるようになるのか、相性的なもので無理なのかは現時点では判断がつかないけど。
ということで料理人ギルドはダメと。
「ルルさん、諜報ギルドとか暗殺者ギルドとか、そっちの系統は?」
「聖女はその系統も入れない。」
まあそうでしょうね。
『聖女』が諜報員とか暗殺者とか、フィクションの設定ではありだろうけど、現実的にはそういう職業を兼務した時点で、『聖女』の称号が消えそうな気がする。
一応確認してみたけど、やっぱり無理と。
ということで裏っぽいギルドもダメですね。
「ルルさん、何か思いつきませんか?」
「そうだな・・・・あっ、1つあった!」
「何ですか!」
「ウィンギルド!」
殴っていいですか。
そんなものがギルドとして認められるわけがないでしょう。
だいたい何ですか『ウィンギルド』って。
『ウィンを見守る会』の発展型?
そう言えば、小屋の中でそんな話をしてましたね。
興味ないのでちゃんと聞いてませんでしたけど。
「これなら大丈夫だ。私はウィンの専門家だからな。」
「無理に決まってるでしょう。だいたいまだ同好会レベルで、正式なギルドじゃないし。」
「前にも言っただろう。ギルドに正式とかは関係ない。互助会なのだから。集まったものたちが合意すればそれでギルドだ。」
「そんな理屈が・・」
…るる殿がくえすとを達成されたので表示するでござる…
○収納クエスト
クエスト : ギルドに登録しよう③
報酬 : マジックバッグ機能(城)
達成目標 : 3つのギルドに登録
カウント : 3/3(冒険者・商人・ウィン)
受注者 : ルル
ええっ、何それ!
ギルドに認定されちゃったの?
この世界に『ウィンギルド』が成立したってこと?
単なるストーカー集団なのに。
意味が分からないんですけど。
…うぃん殿、説明させて頂くでござる…
心の中で不満の声を上げていると、「中の侍」さんのメッセージが流れた。
「中の侍」さん、きちんと説明してもらおうかな。
面白半分でこんなギルド、認定されたら困るんだけど。
僕はそんなことを思いながら、腕を組んで目を閉じた。
「中の侍」さんと話し合う時の「考えるフリ」ポーズだ。
…うぃん殿、決してそのようなことではないのでござる。くえすとにおけるぎるど認定には決まりがあるでござる…
ふ〜ん、どんな決まりなのかな?
「中の女性」の趣味とかじゃないだろうね。
…もちろん違うでござる。ぎるど認定の条件は2つ。1つ目は志を同じくする者たちの合意。そして2つ目はこの世界に大きな影響を与えるものであること。この2つを満たしたので『うぃんぎるど』はぎるどと認定されたのでござる…
ちょっと待って。
100歩譲って、1つ目の条件は認めてもいいけど、2つ目は満たしてないんじゃないかな。
僕を見守る集団が世界に大きな影響を与えるって、理解不能なんですけど。
…うぃん殿、それはいろいろと過小評価しすぎでござる…
どういうこと?
世界に影響を与えるようなこと、するつもりはまったくないんだけど。
…うぃん殿の特異な能力。世界を滅ぼすれべるの従魔たち。ぎるど構成員が伝説の大商人、聖女、元勇者、ていまーぎるど長、商人ぎるど長。これで世界に大きな影響を与えられないのでござれば、認定可能なぎるどは存在しないのでござる…
・・・・・ふぅ。
もういいや。
目くじら立てることでもないし。
諦めよう。
いやむしろルルさんが入れるギルドがあったことを喜ぶべきか。
でも空間収納を得るためには、もう1つ必要なんだよね。
…うぃん殿、そのことについてでござるが、出血大さーびすな情報があるでござる…
出血大さーびす?
その言葉って「中の女性」に教わったの?
まあそれはいいとして、いい情報があるなら教えて下さい。
…承知でござる。実はるる殿が登録可能なギルドが1つあるでござる…
ええ、ほんとに?
それは是非知りたいです。
「中の侍」さん、出血大さーびすな情報、よろしくお願いします。
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