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135.庭も作れるそうです(大改造:小屋)

見つけて頂いてありがとうございます。


第三章 世界樹の国と元勇者(アマレパークス編)


主人公が世界樹のアマレパークスで様々な出来事に遭遇するお話です。

仲間として戦闘狂の聖女ルルに続いてエルフの元勇者リベルが加わります。


週3回(月・水・金)の投稿となります。

よろしくお願いします。


第三章 世界樹の国と元勇者(135)

【アマレパークス編・首都アマレ】  



135.庭も作れるそうです(大改造:小屋)



僕は大宴会が繰り広げられているアリーチェさんのレストランをこっそり抜け出した。


「リン(主人)、リン(どうしたの)?」


『小屋』に向かって歩いていると、僕の動きを察知したのか、スラちゃんが目を覚まして声をかけてきた。


「スラちゃん、起こしちゃったね。ちょっと小屋を改造しに行くだけだよ。」

「リン(了解)。」


どうやらスラちゃんは、腕に巻きついたままついて来るようだ。


『小屋』が立っている場所までやって来ると、僕は早速その隣に追加の『小屋』を建てることにした。


(小屋3つ!)


そう念じると、既存の『小屋』の隣に等間隔でポン、ポン、ポンっと3つの『小屋』が出現した。

初めて試したけど、一度に複数の『小屋』でも出せるんだね。

内部が共有空間だから、同じ場所に複数出しても普段なら意味ないけど。

でも小屋とはいえ、4つも並んでるとさすがに邪魔だな。

改造が終わったらすぐに消そう。


僕は『小屋』の中に入るとリビングの中を見回した。

当たり前だけど最後に見たままの部屋がそこにある。

さて、どんなふうに改造しようか。


しばらく考えてからとりあえずリビングのサイズを2倍にすることにした。

改造の仕方がよく分からないので、とりあえず心の中でイメージしてみる。


(縦も横も高さも全部2倍で!)


『小屋』の改造は念じるだけでよかったようで、結果、リビングというよりもホテルのロビーのような空間が出来上がった。


これ、2倍じゃないな。

2×2×2で、空間的には8倍だね。

ちょっと広過ぎる気もするけど、ダメならまた改造すればいいし、これで良しとしよう。


僕は広くなったリビングに合わせて、テーブルや椅子やソファといった家具を配置し、ちょっとした訓練用の場所(主にルルさんとディーくん用)も確保した。

オープンキッチンも大きくした。

家具や設備関係も念じるだけで改変できるようだ。

家庭的な雰囲気は無くなったけど、ゆったっりとして快適な空間ができたと思う。


次は宿泊用の個室だよね。

どこに作ろうかな。


「リン(2階)!」


個室の配置をどうしようか考えているとスラちゃんが提案してきた。

そうか、2階か。

貯蔵庫が地下にあるんだから客室が2階ってのもありだよね。

試しにやってみよう。


僕は、廊下を挟んで大きめの個室が5部屋ずつ並んでいる状況をイメージしながら天井を見上げた。

すると、リビングルームの中央に螺旋状の階段が出現した。

そのすぐ横には鉄の棒があり、天井にできた穴を突き抜けて上に伸びている。


これはあれか。

消防署とかにある、あの滑り降りるための棒か。

でもなぜそんなものが。

なんかちょっと嬉しいけど。


出来立ての螺旋階段を使って2階に上がると、広めの廊下が真っ直ぐに伸び、その両側に5つずつ扉が並んでいた。

一つ目の扉を開いて部屋の中を見ると、まだ指定してないのに、ダブルサイズのベッドと小さめのテーブルと椅子、クローゼットと棚が設置されていた。

無意識のうちに、部屋の仕様をイメージしていたのかもしれない。


これで誰かが滞在することになっても十分対応できるだろう。

あとは既存の部屋の微調整だな。


僕はそう考えて1階に戻ることにした。

もちろん下りは滑り降りる棒を試してみる。

初めての体験で少し怖かったけど、身体能力のおかげで無事に1階に着地することができた。

これ、かなり楽しいな。

病みつきになるかも。


1階に戻ってまず食材庫と素材庫を拡張し、それぞれ棚も設置した。

ついでに貯蔵庫も拡張。

もう基本の何倍なのかよく分からなくなってきたけど、気にする必要もないよね。

広くなり過ぎて中で迷子になりそうだけど、そうなったら転移で戻ればいいし。


錬金用の作業部屋と寝室は現状のままにして、トイレと浴室は一つずつ追加した。

女性が滞在した時のために男女は分けておいた方がいいからね。


最後に照明だけど、すべてをコーラル・ジュエルで賄うのはさすがに可哀想なので、灯りの魔道具を買うことにしようと思う。

ジャコモさんに言えばすぐ手配してくれるだろう。


既存のジュエルたちは、リビングの大きい水槽に集めようかな。

魔道具が揃ったら海に戻してあげてもいいんだけど、なんとなくそうしてはいけない気がする。

ジュエルたち、最初の頃と違うものになってる気配がするんだよね。

たぶんタコさんが餌としてあげてる『おにぎり』のせいだと思う。


一通り『小屋』の改造が終わったので、外に出ようとすると、再びスラちゃんが鳴いた。


「リン(主人)、リン(庭)、リン(作って)。」


庭?

どういうことかな。

『小屋』の改造機能って、庭も作れるの?


「リン(畑と)、リン(池と)、リン(山と)、リン(森が)、リン(必要)。」


ええっと、畑と池と山と森がある庭を作ればいいのかな?

でもそれって、もう庭ではないのでは。

まあ細かいことは後で考えればいいか。

狭過ぎて従魔たちに文句を言われるのも面倒なので、初めから滅茶苦茶大きな空間(庭)をイメージしよう。


広大な草原、静かな水を湛えた湖、整地された農場、緑濃い森林、遠景に山並。


ついでに山頂に雪、山から湖に流れ込む川、その川を渡るための橋、森の中に遊歩道、湖岸に釣り小屋とボート。


登山道もあった方がいいか。

じゃあ山小屋も作ろう。

農場は柵で囲って、

あっ、果樹園も必要だね。

湖の中に浮島をいくつか設置して、

樹の上にツリーハウスもいいね。


想像し始めると楽しくなって、思考が止めどなく溢れてくる。

でも宴会に戻らないとけないし、いつまでも「庭作り」にかまけている訳にもいかない。

まあ、これくらいでいいかな。


そう思った瞬間、リビングの壁に大きな窓と新しい扉が現れた。

窓の向こうには、僕がイメージしたままの風景が見える。


ちょっとやり過ぎたような・・・。

そんなことを考えながら新しく現れた扉を開くと、窓から見えた風景がそのままそこに実在していた。

自然だけでなく、橋とか釣り小屋とか柵とかも見える。

草原は風に波打ち、森の木々は葉擦れの音を鳴らし、山頂にはちゃんと雪が積もっている。

うん、庭じゃないな。


「リンリン(主人凄い)! リンリン(みんな喜ぶ)!」


呆然と『庭(?)』の風景を見つめていると、スラちゃんが喜びの鳴き声を上げた。

本当に嬉しそうな気持ちが左腕から伝わってくる。

そうか、従魔たち、喜ぶか。

それなら、まあいいのかな。


少し遠い目をしながら、僕は僕自身を無理矢理納得させて、『庭』に続く扉を閉めた。


読んで頂いてありがとうございます。

徐々に読んで頂ける方が増え、励みになります。


誤字・脱字のご指摘、ありがとうございます。

ご感想を頂いた皆様、感謝いたします。

ブックマーク・評価を頂いた皆様、とても励みになります。

ありがとうございます。


次回投稿は7月10日(月)です。

よろしくお願いします。

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