128.スラちゃんも進化していたようです(進化:デアベル・スライム)
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第三章 世界樹の国と元勇者(アマレパークス編)
主人公が世界樹の国で様々な出来事に遭遇するお話です。
仲間として戦闘狂の聖女に続いてエルフの元勇者が加わります。
週3回(月・水・金)の投稿となります。
よろしくお願いします。
第三章 世界樹の国と元勇者(128)
【アマレパークス編・首都アマレ】
128.スラちゃんも進化いていたようです(進化:デアベル・スライム)
(スラちゃんも進化してるの。)
タコさんの念話を聞いて、僕はすべてを諦めた。
面倒は避けたいけど、そのためにいろいろなことを隠すのはもっと面倒だと思っているので、もうどうにでもなれって感じかな。
でもとりあえず先にスラちゃんを鑑定しておこう。
(鑑定結果)
○ スラちゃん : デアベル・スライム ☆☆☆☆
従魔 : スライム系(召喚可能)
特技 : 攻撃無効・擬態・逃げ足・錬金・結界・生命力感知・
鉱物感知
特殊能力: 統率
進化先 : ??? ☆☆☆☆☆
素材 : 鉱石担当
生活特技: 鍛治・石工
○デアベル・スライム ☆☆☆☆
ベル・スライムの進化種。
体型 : 中型
体色 : 金色透明。
食性 : 雑食(好物:鉱石)
生息地 : 鉱石が豊富な場所(岩山・鉱山・洞窟等)にいる。
特徴 : スライム系魔物
必要があれば分裂・増殖する。
あらゆるものに擬態可能。
硬化時、物理・魔法共に無効。
各種結界を張れる。
逃げ足は早い。
特技 : 攻撃無効・擬態・逃げ足・錬金・結界・生命力感知
鉱物感知
特殊能力: 統率
スラちゃんの従魔情報と進化後の魔物情報が表示された。
タコさんの指摘の通り、スラちゃんも進化していた。
『ベル・スライム』から『デアベル・スライム』に。
これ、防御力が爆上がりしてない?
『攻撃無効』に『擬態』に『結界』って、攻略方法がないんじゃないかな。
『生命力感知』があるから不意打ちも無理だろうし。
あと、今さらだけど星4つになると特殊能力の『統率』が付くみたいだ。
もしこれが魔物たちを従える能力だとすると、「国を滅ぼす」と言われる理由も理解できる気がする。
「ウィン様、従魔登録を続けてもよろしいでしょうか。」
自分の世界に入り込んでいろいろ考えていると、シルフィさんから声がかかった。
この状況でも仕事を続行しようとするシルフィさんの精神力は凄いとしか言いようがない。
でも同じことの繰り返しになるのは面倒なので、前もって説明しておこうと思う。
「シルフィさん、従魔登録を続けるのは構わないんですけど、従魔たちについて事前説明をさせてください。」
「ありがとうございます。その方がわたくしのメンタル的にも助かります。」
シルフィさんの了解を得て、僕は念の為、コンちゃんとハニちゃんとラクちゃんとディーくんに鑑定をかけた。
全員星4つに進化してましたなんて落ちは、心臓に悪いからね。
幸い、残りの4人はまだ進化していなかったのでホッとした。
「先頭からタコさん、ウサくん、スラちゃんの3人は星4つです。後ろのコンちゃん、ハニちゃん、ラクちゃん、ディーくんの4人は星3つです。今のところ。」
僕の簡単な説明を、シルフィさんは目を閉じて聞いていた。
詳細情報は鑑定で見えるはずなので、とりあえず衝撃を柔らげるために、各従魔たちの星の数だけ伝えることにした。
「ウィン様、念のため確認させて頂いても構わないでしょうか?」
シルフィさんは閉じていた目をゆっくり開いてそう言った。
「はい、構いませんが。」
「先頭のタコさんだけが特別なのではなく、他に星4つの方が2名、星3つの方が4名いらっしゃると?」
「はい。」
「・・・その情報だけでも正気を保つのが大変なのですが・・・最後に付け足された『今のところ』というお言葉はどういう意味でしょうか?」
「ええっと、タコさんとウサくんとスラちゃんは、星3つだったんですけど、最近になって星4つに進化しました。なので、コンちゃんとハニちゃんとラクちゃんとディーくんも、そのうち星4つに進化すると思います。」
「・・・・・・・」
さすがのシルフィさんも黙ってしまった。
でももう少し説明しておかないといけないことがあったので、僕は言葉を続けた。
「あと、従魔情報に進化先が名称不明で表示されているので、星5つになる可能性もあると思います。いつになるかは分かりませんが。」
僕が説明を終えると個室の中が静まり返った。
シルフィさんは再び目を閉じて何かを考えている。
いや何かに耐えているのかもしれない。
いつの間にか個室に戻ってきていた受付嬢は、目と口を開いたままで固まっている。
口を閉じるように言ってあげた方がいいだろうか。
女性だし、見た目的に。
ルルさんは腕を組んで立ったままだ。
特に何も考えていないと思う。
リベルさんは、ちょっと驚いてる感じ。
でも余計な口出しはしてこない。
そんな中で最初に言葉を発したのはジャコモさんだった。
さすがに老練な大商人と言うべきか。
動揺から立ち直るのが一番早い。
「シルフィ殿、とりあえず何も考えずに、従魔登録を終えられてはいかがかのう? その後の話は受付ではなく別室でしたほう良いと愚考致しますがのう。」
ジャコモさんの提言を聞いてシルフィさんは目を開き、視線を僕に合わせる。
「ウィン様、申し訳ありません。すぐに鑑定を行い、従魔登録をさせて頂きます。その後、応接に移って少しお話をさせて頂いても構いませんでしょうか?」
「もちろん、構いませんよ。」
「ありがとうございます。では鑑定と登録をさせて頂きます。」
シルフィさんはそう言うと、左手を新しい用紙の上に置き、右手をウサくんの方に向けた。
どうやらそれで自動的に鑑定結果が用紙に記入されるようだ。
従魔たちが順番にシルフィさんの前に行き、鑑定を受ける。
最後にディーくんが鑑定を受けて、従魔登録が終了した。
「これで、従魔登録は終了です。こちらが従魔章になります。あと、お預かりした冒険者カードをお返しします。テイマーギルドへの登録は完了しております。」
「ありがとうございます。」
僕はシルフィさんから7枚の従魔章と冒険者カードを受け取った。
従魔章があると、魔物を連れていても従魔として認めてもらえるらしい。
堂々と従魔たちを連れて歩けるというのは、とても嬉しいことだ。
「ウィン様、ひとつアドバイスをさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「はい、何でしょう?」
「従魔を連れて歩かれる時には、一緒にいる人間の数に合わせることをお勧めします。」
一緒にいる人間の数に合わせる?
つまり今の僕たちだとルルさんとリベルさんと僕で3人だから、連れて歩く従魔も3人がいいってこと?
「理由をお伺いしても?」
「はい。普通のテイマーは複数の従魔を従えられません。魔力と能力が特別高いテイマーだけが複数を従えることができます。つまり、人間の数よりも多くの従魔がいると、目立ちます。」
なるほどね。
まあ、ゾロゾロ引き連れて歩く必要もないし、適当に状況に合わせて対応すればいいかな。
スラちゃんなんか、腕輪に擬態してれば気づかれないだろうし。
そんなことを考えていると突然、別の声が会話に参加してきた。
「あるじ〜、心配しなくてもいいよ〜。こっちで勝手にローテーションとか組むし〜。」
ディーくんがのんびりした声でそう提案してきた。
そう言えば、星の数に気を取られて大事な説明を忘れてたな。
しゃべる従魔がいるって結構重要事項だったよね。
あっ、シルフィさんの表情がちょっと崩れてる。
本当にごめんなさい。
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