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127.タコさんの報告が遅い件について(進化:デビルクラーケ・ミニマ)

見つけて頂いてありがとうございます。


第三章 世界樹の国と元勇者(アマレパークス編)


主人公が世界樹のアマレパークスで様々な出来事に遭遇するお話です。

仲間として戦闘狂の聖女ルルに続いてエルフの元勇者リベルが加わります。


週3回(月・水・金)の投稿となります。

よろしくお願いします。


第三章 世界樹の国と元勇者(127)

【アマレパークス編・首都アマレ】 



127.タコさんの報告が遅い件について(進化:デビルクラーケ・ミニマ)



「・・・」

「きゃっ!」

「噂には聞いてたんじゃが、これほどとはのう。」


突然光の中から出現した従魔たちを見て、シルフィさんは無言のままで、受付嬢さんは小さく叫び、ジャコモさんは感想を漏らした。


ジャコモさん、「噂」って・・・。

従魔たちのことはまだ、噂としてそんなに出回ってないと思いますけど。


隣に目をやると、ルルさんは慣れているので特に反応はなく、リベルさんは一度見ているので少し目を見開いている程度だった。

さて、いよいよ従魔登録だね。


「みんな、順番に登録するから縦に一列に並んでくれる?」


僕が従魔たちにそう告げると、従魔たちはポーズを解いて、受付カウンターに向かって縦に並び直した。

先頭から、タコさん、ウサくん、スラちゃん、コンちゃん、ハニちゃん、ラクちゃん、ディーくんの順だ。

やっぱり従魔になった順番なんだね。


その様子を表情も変えずに見ていたシルフィさんがジャコモさんの方を見る。


「ジャコモ様、ジャコモ様が伝説の大商人であるとともに、無類のイタズラ好きであることはよく存知あげておりますが、これは少々、度が過ぎております。」

「フォッフォッフォッ、それでも表情を変えぬとは、さすがシルフィ殿。もっと驚くと思っておったんじゃがのう。」

「十分に、いえ十二分に驚いておりますわ。おひとりで7体・・7人の従魔を従えるだけでも前代未聞、それがさらに従魔召喚までなさるとは、ウィン殿はいったい・・・」

「シルフィ殿、そこはまだウィン殿の入り口に過ぎませんぞ。まだまだ先は長い。とりあえず、登録を進められては如何かのう?」

「・・・かしこまりました。先に進むのが少し怖い気もしますが・・・仕事をしないといけませんわね。」


というわけで、ようやく従魔登録ができるようだ。

いやその前に僕のテイマーギルド登録の方が先か。


「ウィン様、冒険者カードをお持ちでしょうか?」

「はい、持ってます。」


シルフィさんが尋ねてきたので、素直に答える。


「では、登録書類は不要ですわね。カードをお貸し頂けますか?」


シルフィさんの言葉に従い、冒険者カードを差し出すと、受付嬢さんが受け取り、扉の向こうへ姿を消した。


「それでは、従魔登録をさせて頂きます。ウィン様、従魔の皆様を鑑定させて頂いても構わないでしょうか?」


自己申告ではなく鑑定するのか。

確かにその方が正確な情報を把握できるよね。

でも・・・。


僕は一瞬戸惑ってから疑問形で答える。


「ええっと、構いませんが・・・大丈夫かな?」

「ウィン様、わたくしの心配であれば大丈夫ですわ。驚く準備はできておりますので。」

「驚く準備?」

「はい。わたくしも職業柄、多くの魔物を見て参りましたが、ウィン様の従魔の皆様は、すべて初見です。鑑定で何を見ることになっても・・・覚悟はできております。」


本当に大丈夫かな?

星3つ(上級)でも珍しいのに、星4つ(極級)のウサくんもいるし。

星4つは国を滅ぼすと言われているんだよね。

シルフィさん、本当にそれを受け入れる覚悟があるんだろうか。


「では、1体目・・・いえ、失礼しました、1人目を鑑定させて頂きます。」


シルフィさんはそう言い直すと、左手を登録用紙の上に置き、右手を列の先頭にいるタコさんの方に向けた。

シルフィさんが小声で何かをつぶやく。

しばらくすると、シルフィさんの左手の下の登録用紙が微かな光を発し、やがてその光は静かに消えた。


「ウィン様、わたくしは最大限の覚悟をしていたつもりです。」

「はい、そう伺いました。」

「でもこれはあんまりじゃないでしょうか?」


シルフィさんは、それでも表情は平静を保ったままで、僕を責める言葉を告げてくる。

やはり、いきなり星3つの魔物を鑑定で見せられて、気が動転してるのだろうか。

でも従魔たちの中に、星3つよりレベルの低いものはいない。

これってどうしようもないよね。


「いきなり星4つの魔物など・・・わたくしはどうすればいいんでしょうか?」


シルフィさんが言葉を続ける。


あれっ?

星4つ?

タコさん、星3つだよね。

これ、どうなってるの?


僕はシルフィさんの言葉を聞いて、ちょっと慌てながらタコさんを鑑定してみた。



(鑑定結果)

○タコさん : デビルクラーケ・ミニマ ☆☆☆☆

 従魔   : 海洋系蛸型(召喚可能)

 特技   : 麻痺・石化・暗闇・逃げ足・物理無効・水操作

 特殊能力 : 統率

 進化先  : ??? ☆☆☆☆☆

 素材   : 魚介担当

 生活特技 : 養殖


○デビルクラーケ・ミニマ ☆☆☆☆

 クラーケ・ミニマの進化種。

 体型  : 中型

 体色  : 紅色

 食性  : 雑食(好物:おにぎり)

 生息地 : 海。陸でも平気。

 特徴  : 海洋系蛸型魔物。

       物理攻撃を吸収する体。

       相手を麻痺・石化させることができる。

       相手の視力を一定時間奪う。

       水を思い通りに操る。

       逃げ足は早い。

 特技  : 麻痺・石化・暗闇・逃げ足・物理無効・水操作

 特殊能力: 統率



タコさんの従魔情報と進化後の魔物情報が同時に表示された。

『クラーケ・ミニマ』から『デビルクラーケ・ミニマ』に進化している。


タコさん、聞いてないんですけど。

いったいいつの間に?

報告もなく何しちゃってくれてるんですか?


(あるじ、言い忘れてたの。進化したの。)


タコさんが念話でそう伝えてきた。

それって、忘れてたで済ます問題なのかな。

『石化』とか、『暗闇』とか、『物理無効』とか、なんか恐ろしげな特技が増えちゃってますけど。

見た目が変わってないのでまったく気付けなかった。

魔物表示を見ると、体型が中型になってるし、体色も赤色から紅色に変化してるけど。

ウサくんと同じで、進化しても元の形態でいられるんだろうか。


(ちょっと前におにぎり食べたら進化したの。あるじに伝え忘れてゴメンなの。)


タコさんが謝ってきた。

でもまあ、従魔たちにしてみたら、進化もたいしたことじゃないのかもしれない。

ウサくんの場合は目の前で進化したから気付いたけど、ウサくん本人は、特に大きな反応はしなかったし。

人間にとっては星4つの魔物の出現は大問題なんだけどね。


「ウィン様、星4つは伝説の魔物。この可愛らしいメンダコのような魔物が星4つとは、普通なら信じられませんが、魔物鑑定に偽装はないはず。それを従えているとなると・・・」


そうなりますよね。

シルフィさん、かなり動揺してるみたいだけど、それでも表情は変わらないって、ある意味シルフィさんも凄いです。

そんなことを思っているとジャコモさんも参戦してきた。


「ウィン殿は本当にびっくり箱じゃのう。しかも星4つを一番目に持ってくるあたり、相変わらずお人が悪い。シルフィ殿を驚かそうと思っておったこの爺も、逆に驚愕させられましたぞ。」


いえ、そんな意図はまったくありませんが。

むしろ僕も驚愕してますから。


タコさんの報告遅れのせいで起こったこの事態をどう対処しようかと考えていると、さらなる追撃がタコさんからやってきた。


(あるじ、伝えておくことがあるの。)

(まだあるの?)

(そうなの、スラちゃんも進化してるの。)


ええっと・・・そうなんですね。

スラちゃん、お前もか・・・。

なんかもういろいろ、どうでも良くなってきた。



読んで頂いてありがとうございます。

徐々に読んで頂ける方が増え、励みになります。


誤字・脱字のご指摘、ありがとうございます。

ご感想を頂いた皆様、感謝いたします。

ブックマーク・評価を頂いた皆様、とても励みになります。

ありがとうございます。


次回投稿は6月21日(水)です。

よろしくお願いします。

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