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122. 刺客に襲われました(召喚:全員集合)

見つけて頂いてありがとうございます。


第三章 世界樹の国と元勇者(アマレパークス編)


主人公が世界樹のアマレパークスで様々な出来事に遭遇するお話です。

仲間として戦闘狂の聖女ルルに続いてエルフの元勇者リベルが加わります。


週3回(月・水・金)の投稿となります。

よろしくお願いします。


第三章 世界樹の国と元勇者(122)

【アマレパークス編・首都アマレ】  



122.刺客に襲われました(召喚:全員集合)



結局、追加で料理を注文して僕とルルさんもお腹を満たしてから『エルフィン亭』を出ることにした。

追加の料理が来ると、リベルさんも一緒に食べていた。

いったい、どれだけ胃袋が大きいんだろう。


次の行き先は、リベルさんの提案通りテイマーギルドに決まった。

従魔登録に関しては不安しかないけど、ここで登録しておけば他の国に行っても問題なく連れて歩けるというので、登録することにした。

でも一度に従魔全員登録しても大丈夫かな?


「ルルさん、テイマーギルドの場所、分かります?」

「ああ、この大通りを真っ直ぐ行けば、ギルドが集まってる区画に着くはずだ。」


どの街でも、各種ギルドはだいたい一箇所に集まっているらしい。

その方が使う方も便利だからだろう。

ただ、諜報ギルドとか暗殺者ギルドのような特殊なものは含まれていない。

まあ当然、その手のギルドは普通の人には分からないような場所にあるんだろうな。


辺りには夕闇が迫っていたけど、大通りだけあって薄暗い中でも結構たくさんの人が行き交っていた。

エルフの国なのでエルフ族の人が多いが、他種族もそれなりに混じっている。

夕闇の中でなぜそんなことが分かるかというと、歩きながら『人物鑑定』クエストを繰り返しているからだ。

僕の『人物鑑定』は現在『上級』で、もう少しで『極級』に至る。



○人物鑑定クエスト

 クエスト : 人物鑑定しろ④

 報酬   : 人物鑑定(極級)

 達成目標 : 人物鑑定(500回)

 鑑定項目 : 名前・年齢・種族・職業・スキル・魔力

        友好度・称号・信頼度・真偽鑑定

 カウント : 493/500



しばらく周囲の人たちの人物鑑定を続けていると、妙なことに気づいた。

時々鑑定できない人がいるのだ。

これは『隠蔽』だろうか?

今まで隠蔽持ちらしき人物に出会ったのは、船上の吟遊詩人だけだった。

それが僕たちの周囲に10人くらいいる。

しかも僕たちを囲むようにして同じ方向に移動している。

肉眼で見ると商人風だったり、冒険者風だったり様々な格好をしていて、人種もいろいろだ。


「ルルさん、僕たち囲まれてませんか?」


僕は並んで歩いているルルさんに尋ねてみた。


「ああ、妙な色の魔力をまとった者たちがいるな。これは偽装だな。」


ルルさんには人物鑑定の能力はないが魔力視がある。

彼らの使っている魔法が見えているのだろう。

『偽装』ということは、見た目を偽っているということか。


リベルさんの反応はと反対側を見ると、警戒する様子もなくウサくんを抱えたまま呑気に歩いている。

怪しい気配にまったく気づいていないようだ。

それでいいのか元勇者?


「ウィン、来るぞ!」


ルルさんが叫ぶと同時に、周囲から一斉に何かが飛来した。

僕はとっさに短剣(黒)で自分に向かってきた複数の飛来物を弾き飛ばした。

それは忍者が使う苦無くない)を小さくしたような暗器だった。


ルルさんは、体術と『風壁』で完璧に暗器を防いだようだ。

さすが戦闘狂の聖女。


リベルさんは・・・地面に倒れていた。

暗器を避けきれずに負傷したようだ。

本当に・・本当にそれでいいのか元勇者。


「体が・・痺れて・・動けない・・・あっ治った。」


どうやら暗器に何らかの毒が塗られていたらしい。

リベルさんは倒れたまま呻いていたが、すぐにウサくんがヒールをかけてくれたようだ。


「ダメ勇者! 『光衣』を使え!」


ルルさんが怒鳴る。

今回はルルさんの「ダメ勇者」呼びに激しく同意。

ルルさんに怒鳴られて立ち上がったリベルさんが「光衣」とつぶやくと、リベルさんの全身をうっすらとした光が覆った。


「これでリベルは大丈夫だ。ウィン、全部倒すぞ。」


ルルさんは『魔力視』で、僕は『魔力感知』で敵の位置は分かる。

しかし通行人に紛れているせいで、攻撃を仕掛けるのが難しい。


仕方がない。

奥の手を使うか。

大騒ぎになる可能性もあるけど、そんなことも言ってられない。

みんなもたまには暴れたいだろうしね。


「従魔たち、全員来て! 殺さずに捕まえて!」


僕がそう叫ぶと、大通りのあちこちに光の粒が現れ、ウサくん以外の僕の従魔たちが顕現した。


「ハニちゃ〜ん、上から警戒してね〜。

 ラクちゃ〜ん、峰打ちでお願いね〜。

 コンちゃ〜ん、蔓で縛ってね〜。

 タコさ〜ん、麻痺かけちゃってね〜。」


いつの間にかディーくんがルルさんの前に立って従魔たちに指示を出していた。

スラちゃんは腕輪型になって僕の左腕に巻きついている。

ウサくんはリベルさんの足元で香箱座り。

もう自分の出番は終わったって感じでもぐもぐしてる。


相変わらず従魔たちの行動は素早かった。

通行人たちが突然の光の粒の出現に呆気に取られてるうちに、10人の敵を倒して縛り上げていた。


目の前に転がっている10人を改めて見る。

偽装が解けたのか、見た目が変化していた。

全員が忍者のような装束に奇妙なお面をしている。

前の世界の知識で言えば「狐」のような獣のお面。

おそらく暗殺系か諜報系かその両方だろう。


全員ぴくりとも動かないのは、タコさんの麻痺だろうな。

タコさん、やる時はやるタコだからね。


手足が蔓で綺麗に縛られているのはコンちゃんなのか?

コンちゃん、捕縛用の蔓とか出せるんだね。


誰も血を流してないということは、ラクちゃん、ちゃんと峰打ちしてくれたんだね。

まともに切ったら・・・いや想像しないでおこう。


あっ、ハニちゃん、上からの監視ご苦労様。

今回、毒針は使わなかったんだね。

他の人に当たると危ないからね。



「あるじ〜、ミッションコンプリートだよ〜。」


ディーくんが相変わらず緊張感の無い口調でそう言うと、従魔たちが僕のところに集まってきた。

とても頑張ってくれたので、みんなの頭を順番に撫でる。


「あの〜・・・ウィンさん。今、その子熊がしゃべったような気がしたのですが、空耳ですよね。」


タコさんの頭をポンポンしていると、背後からリベルさんが話しかけてきた。

振り返ると、リベルさんはウサくんを抱えて立っていた。

『光衣』は解除したようで、もう光に包まれてはいない。


「子熊じゃないよ。ディーくんだよ。」

「えっ・・・・・」


ディーくんがリベルさんに向かって反論すると、リベルさんは息を飲んで固まった。

やっぱり、この世界ではしゃべる魔物はほとんどいないようだ。

元勇者でもこんなに驚くんだから。


「主、薬草ちょうだい。一番いいやつ。」

「えっ? えっ??」


リベルさんの腕の中でウサくんが声に出して薬草をねだると、リベルさんがさらに困惑した表情になった。


ウサくん、絶妙のタイミングで追い打ちをかけたね。

それ、絶対にわざとだよね。

さっきまでは念話で話してたし。

面倒だけど、リベルさんにもいろいろ説明しないといけないな。

まあ、悪い人じゃなさそうだし、いいか。


読んで頂いてありがとうございます。

徐々に読んで頂ける方が増え、励みになります。


誤字・脱字のご指摘、ありがとうございます。

ご感想を頂いた皆様、感謝いたします。

ブックマーク・評価を頂いた皆様、とても励みになります。

ありがとうございます。


次回投稿は6月9日(金)です。

よろしくお願いします。

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