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113.予想よりも痛いようです(耐性クエスト:電撃耐性)

見つけて頂いてありがとうございます。


第二章 葡萄の国と聖女


主人公が戦闘狂の聖女と知り合い、葡萄のコロンバールで様々な出来事に遭遇するお話です。


週3回(月・水・金)の投稿となります。

よろしくお願いします。


第二章 葡萄の国と聖女(113)

【コロンバール編・港町ポルト】



113.予想よりも痛いようです(耐性クエスト:電撃耐性)



「ルルさん、ちょっと小屋に戻ってもいいですか?」


僕は思いついたことがあったのでルルさんにそう尋ねた。


「構わないぞ。私は定期船の様子を見ておこう。」


ルルさんの承諾を得て一人で商人ギルドの裏庭に転移する。

小屋の扉を開けて中に入ると僕のことを待っていたかのように、タコさんとウサくんがリビングのソファにいた。

他の従魔たちはお出掛け中のようだ。


「タコさん、羽雷魚って倉庫にある?」


タコさんはクルンと回って床に降りると食材倉庫に入り、すぐに魔魚を1体持って出てきた。

見た目は「アゴー・フライ」を一回り小さくしたような魚だ。

早速魔物鑑定をかけてみる。



 トルポル・フライ(羽雷魚) ☆

  体型 : 小型

  体色 : 青銀色

  食性 : プランクトンや幼魚を食べる。

  生息地: 深い海で群れを作る。

  特徴 : 体の左右に翼状のヒレが2枚ずつ4枚ある。

       海の上を一定時間飛ぶことが可能。

       弱い電撃を飛ばす。

       可食。(唐揚げがおすすめ。)

  特技 : 飛翔・電撃(弱)



やっぱりあった。

タコさん、この辺の海の生物は全部捕獲したって言ってたからね。

でもルルさん、惜しかったですね。

トルトルじゃなくてトルポルでした。

正式なフルネームはトルポル・フライ。

確かに通称の「羽雷魚」の方が覚えやすいな。



「タコさん、その羽雷魚、麻痺してるだけだよね?」

(そうなの。麻痺してるだけなの。)


予想通り、羽雷魚はまだ生きてる。

ということは「電撃受け」実験が可能ということだ。

これで電撃耐性クエストが成立するといいんだけど。


「ウサくん、万が一の時はお願いね。」

「主、薬草くれるなら手伝う。」


実験で事故った時の対応をウサくんにお願いする。

ウサくんは進化してもやっぱり食い気が優先らしい。

いつも通り薬草をおねだりしてきた。

ちなみにウサくんの見た目は元に戻っている。

聞いてみると、進化後はどちらの姿にもなれるそうだ。


「じゃあタコさん、羽雷魚の麻痺を解いてくれる?」

(了解なの。でもあるじ、電撃は腕で受けるの。心臓と頭はダメなの。)

「分かった。じゃあお願い。」


タコさんが床の上に横たえた羽雷魚にチョンと触ると、羽雷魚は一度ビクンと体を震わせた後、そのままの体勢でいきなり電撃を撃ってきた。


僕は瞬時に体をずらして左腕でその電撃を受ける。

電撃が当たった瞬間、左腕全体に激痛が走った。


「タコさん、ストップ!」


僕が叫ぶとタコさんが羽雷魚に触れて麻痺をかけてくれた。

危ない、危ない。

鑑定だと弱い電撃と表示されてたけど、実際に受けてみると結構ダメージが入る。

まあ、攻撃の一種だからそれなりに威力があって当たり前か。

これを無防備に連続で受けるとか危険すぎるよね。

慎重にいかないといけないな。



…ウィン様、あんまり無茶をしないで下さいね。それでは耐性クエストを表示します…


○電撃耐性クエスト

 クエスト : 電撃を受けろ①

 報酬   : 電撃耐性(小)

 達成目標 : 電撃を受ける(10回)

 カウント : 1/10



左腕の状態を確認していると「中の女性」からのコメントとクエストが表示された。

正直、クエストが成立してホッとした。

これで耐性クエストが出なかったらわざわざ電撃を受けた意味がないからね。


幸い左腕には火傷も傷もなく、ウサくんにヒールを頼む程のこともなかった。

ただ、耐性を得る前の初めの10回は激痛に耐えるしかない。

結構きつそう。

でも耐性獲得はいざという時の命綱になるので頑張ろう。


その後、タコさんの協力で一回おきに休憩を入れながら無事10回の電撃を受けきり、電撃耐性(小)を獲得した。

耐性を得た後で試しに11回目の電撃を受けてみると、激痛だったのがピリッとする程度になっていた。

耐性って、本当にいい仕事をするな。


そこからさらに14回電撃を受けると電撃耐性が(中)に上がった。



○電撃耐性クエスト

 クエスト : 電撃を受けろ②

 報酬   : 電撃耐性(中)

 達成目標 : 電撃を受ける(25回)

 カウント : 25/25 (達成済み)



電撃耐性(小)のおかげで「電撃受け」がとても楽になった。

そのおかげで休憩を挟まずに連続で電撃を受けることができた。

『飛翔』も一応警戒したけど、羽雷魚が床から飛び上がることはなかった。

この能力は水上限定なのかもしれない。


耐性(中)の効果を確認しようと思って、もう一度電撃を受けてみると、今度はほとんど何も感じなかった。

電撃(弱)だと耐性(中)で完全に防げるようだ。


さて、ここで止めて港に戻るか、ルルさんを待たせてレベルを上げるか。

電撃耐性(中)があれば普通に遭遇する魔物はたぶん大丈夫だろう。

ただ後回しにするとそのまま忘れる可能性もある。

すでに後回し案件が溜まってるしね。

鑑定とか、感知とか、錬金とか、薬草とか、料理とか。

まあ慌てる必要はないんだけど。


でもここからはそんなに時間もかからないはずだし、強くなるためだと言えば、多少待たせてもルルさんは許してくれるはず。

ということで「電撃受け」続行。



…電撃耐性クエストがカンストしましたので表示します…


○電撃耐性クエスト

 クエスト : 電撃を受けろ③

 報酬   : 電撃耐性(大)

 達成目標 : 電撃を受ける(50回)

 カウント : 100/50 (達成済み)


 クエスト : 電撃を受けろ④

 報酬   : 電撃無効

 達成目標 : 電撃を受ける(100回)

 カウント : 100/100(達成済み)



あっという間に100回を達成し、電撃無効を獲得。

途中でタコさんが別の羽雷魚を3体倉庫から出してきたのでどうしたんだろうと思っていたら、電撃を撃つ個体を交代させていた。

1体が連続で撃てる電撃数に限界があるのだろう。

だいたい30回くらいが目安のようだ。



「そろそろ港に戻らないとね。タコさんとウサくんはどうする?」

「主、薬草ちょうだい。」

(あるじ、おにぎりちょうだいなの。)


タコさんとウサくんは、小屋に残ってお食事タイムのようなので、それぞれクエストで出してダイニングテーブルの上に置く。

そのまま小屋を出ようとするとタコさんが僕の足をチョンチョンしてきた。


(あるじ、羽雷魚の唐揚げもお願いなの。)


羽雷魚を食べるの?

しかも唐揚げ指定?


料理クエストで狙った通りにできるかどうかは正直不安だった。

最近はアリーチェさんの料理が美味しすぎて、料理クエストと真剣に向き合ってないし。

でもまあやってみるか。

焼き魚とか、煮魚とか、お刺身とかになる可能性もあるけど。


「唐揚げ!」


僕は唐揚げになれと強く念じながら床の上の羽雷魚を指差して発声した。

4体の羽雷魚が一瞬で燃え上がる。

そして羽雷魚は・・・「羽雷魚の姿揚げ」になっていた。


おお、成功した・・・かな?

偶然かもしれないけど。

あっ、タコさんすぐに齧りつかない。

床の上じゃなくてちゃんとテーブルの上で食べないと。

ウサくんの分もあるんだからね。


読んで頂いてありがとうございます。

徐々に読んで頂ける方が増え、励みになります。


誤字・脱字のご指摘、ありがとうございます。

ご感想を頂いた皆様、感謝いたします。

ブックマーク・評価を頂いた皆様、とても励みになります。

ありがとうございます。


次回投稿は4月3日(月)です。

よろしくお願いします。

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