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11.限界に挑戦します(NO LIMIT①)

見つけて頂いてありがとうございます。

『第一章 はじまりの島』は序章(準備編)です。

全41話を毎日投稿します。

よろしくお願いします。

11. 限界に挑戦します(NO LIMIT①)



○クエスト : 火をつけろ

 報酬   : 焼き魚

 達成目標 : 逆立ち(10秒)



(やってみるしかないんだろうな。)


「腕立て伏せ」、「腹筋」、「スクワット」、「片足立ち」と来て次に「逆立ち」。

初めの4つは、やろうと思えばできる運動だけど、「逆立ち」はやってみないと分からない。

壁を使っての逆立ちならできそうな気はするけど、何の支えもなく一人でする逆立ちには自信がなかった。


(とにかく挑戦してみよう。)


アゴー・フライを1匹、目の前に置いて、砂の上に両手をつき足で砂浜を軽く蹴る。

下半身がふわりを持ち上がり空中で静止する。

あれっ?

意外に簡単にできた。

この体、身体能力だけじゃなくバランス感覚も良さそう。


クエストの指示通り逆立ちを10秒間継続する。

ゆっくり10まで数えた後、逆立ちを解除すると目の前のアゴー・フライが炎に包まれて燃え上がった。

炎の強さにちょっとびっくり。

思わず後退りしてしまう。


しばらくして炎が消えると、白いお皿の上に程よく焼かれた「焼き魚」が現れた。

半分にカットされた緑色の柑橘類と大根おろしのようなものも添えられている。

居酒屋や小料理屋で注文したら出てくるみたいな感じのやつ。


(うん、気にしたら負けだな。)


クエストについては仕組みはまったく分からない。

きちんとしたルールがあるのかも疑問だ。

もしかすると「中のヒト」の趣味とか気まぐれなんじゃないかと思うこともある。

もう考えるだけ無駄かもしれない。


アゴー・フライがあと2匹残っていたので、さらに2回逆立ちをした。

合計で焼き魚を3皿ゲットした。


これまでと同じなら、このクエストを「NO NEED」にするためにはあと7回逆立ちする必要がある。

でも肝心の魚がない。


一瞬、タコさんにお願いして獲って来てもらおうかと思ったけど、別のことを試そうと考え直した。

それは魚なしで逆立ちをするとどうなるかということ。


何もない状態でただ逆立ちをしてみる。

もう何秒間でもその状態でいられるくらい安定感がある。

10秒数えて足を下ろすと、クエストが発動した。


(炎が出た!)


すぐ目の前に炎が出たのでちょっと驚いた。

そして視界の中のクエスト表示が変化した。



○クエスト : FIRE

 報酬   : 炎(小)

 達成目標 : 逆立ち(10秒)



(なんか変幻自在じゃないですか。本当に思いつきでやってますよね、中のヒト。)


ぼやいてみたけど、「中のヒト」の反応はない。

仕方がないので逆立ちに挑戦し続けてみる。

あまり近くに炎が出ると嫌なので、場所を意識してみると思った場所に炎を出すことができた。


合計10回目の逆立ちを終えるとクエストの表示が変化した。

「焼き魚クエスト」もカウントされての10回達成のようだ。


 

○クエスト : FIRE

 報酬   : 炎(小)

 達成目標 : NO NEED



(これは、なかなか使えるかも。)


焼き魚を作るだけだと使い所が限られるけど、思ったところに炎を出せるとなると話はまったく違ってくる。

(小)の表示があるということは、そのうち(中)とか(大)とか出るのかもしれない。


焼き魚が3皿あるので、おにぎりと水も3つずつ出してみた。

お箸がないので、両手で持ってかじりつく。

情報では小型となっているが、実際に食べてみると割と大きい。


隣では、タコさんも焼き魚をかじっている。

別の足におにぎりも持ってる。


(タコさん、お魚は僕へのプレゼントじゃなかったの? 3匹持ってきて自分で2匹食べるのね。それは正直どうかと思うよ。)


2人で(1人と1匹?)朝食をむしゃむしゃしてると、草原の方からウサくんがやってくるのが見えた。

砂の上は、ぴょんぴょんしにくそうだ。

   


○「ウサくん」 : レプス・ミニマ(☆☆☆)

  体型 : 小型

  体色 : 薄茶色(短毛)

  食性 : 草食

  生息地: 草原にいる。場所により保護色で見つかりにくい。

  特徴 : 臆病だが攻撃を受けると反撃する。

       薬草を食べるとヒールが可能になる。

       可食。(もふもふの魅力を無視できれば。)

  特技 : 俊敏・影潜り・ヒール・突撃



ウサくんの情報が表示されたので確認する。


ウサくん、「ヒール」ができるの!?

薬草いっぱい食べさせよう。

草原の下に消えるのは、「影潜り」かな?

「俊敏」で「突撃」って、ずいぶんイメージと違うんような・・。

あとタコさんの時も思ったけど、テイムした魔物に関して可食かどうかの情報は必要ないと思います。


ウサくんが砂に残す不揃いな足跡を眺めていると、今度は「リーン」という音が一回だけ聞こえた。

岩場の方向を見ると、スラちゃんが真っ直ぐこちらに向かってくる。


4人(1人と3匹?)が勢揃いした。

ウサくんには薬草を、スラちゃんには小石を出してあげる。

4人で浜辺に並んで早朝の海を見ながら、それぞれがそれぞれのご飯を食べている。

のどかだ。


タコさんが2つめの焼き魚の尻尾をモグモグしている。

それを見て、FIREクエストのことを思い出した。


少し離れた砂浜を見つめながら念じてみる。


(炎)


想定した通りの場所に、タコさんと同じくらいの大きさの炎が生まれ、3秒間くらい燃え続けて消えた。


ウサくんとスラちゃんがちょっとビクッとしたけど、タコさんは既に見ているので驚かない。

おにぎりをかじって、お水を飲んで、平常運転。


次に波打ち際を見つめながら声に出して言ってみる。


「炎」


同じように炎が現れ、しばらく燃える。

「NO NEED」になると、意志さえあればクエストは成立するようだ。

波にのまれても消えないので普通の炎ではないのだろう。


それからいろいろ試してみた。

空中で、砂の上で、岩の上で、水の上で、どんな場所でも位置指定さえすれば、一定時間、一定の大きさの炎の塊が発生する。


距離は感覚的に、石を思い切り投げて届くくらいの所まで。


回数制限も意識してみたが、上限に達する気配がない。

ただ、何度も炎を出していると、身体的な疲労が溜まってくるように感じる。


少し疲れたなと思い出した頃、視界の中のクエスト表示が一度光った気がした。

炎を出す度、クエストは表示されるのだが、どうせ同じ表示だと思って、注意してなかった。



○クエスト : FIRE

 報酬   : 炎(小)(NO LIMIT 個数)

 カウント : 100



「達成目標」の項目が消え、新たに「カウント」という項目が表示されている。

そして報酬の項目に気になる表示がある。


(これはもしかして・・・)


「NO LIMIT」は制限がないってことだよね。

そこに「個数」と表示されてるから、個数制限がない、つまり一度に複数の炎を出せるってこと?


もう一度炎を出してみる。

すぐにクエスト表示を見ると、カウントが101になっている。


次は「炎2」と言ってみる。

目の前の砂浜の上に炎が2つ現れる。

続けて「炎3」と念じると炎が3つ現れた。


(これ、何気に凄くない? どこまで増やせるか試してみないとね。ちょっと楽しくなってきた。)


顔が自然ににやけてしまっているのが分かる。

新しいおもちゃを与えられた子供みたいなものだろう。

でも身を守るためには、こういう能力はとても大事だしね。


そんな感想を抱いていると、タコさんがトコトコと歩いて行くのが見えた。

そして何を思ったのか、炎のひとつに足を伸ばしてチョンと触れた。


次の瞬間、タコさんの足が燃え上がった。


読んで頂いてありがとうございます。

次回投稿は明日です。

よろしくお願いします。

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