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108.2つ目のギルド登録(ルル::マジックバッグ拡張)

見つけて頂いてありがとうございます。


第二章 葡萄の国と聖女


主人公が戦闘狂の聖女と知り合い、葡萄のコロンバールで様々な出来事に遭遇するお話です。


週3回(月・水・金)の投稿となります。

よろしくお願いします。


第二章 葡萄の国と聖女(108)

【コロンバール編・港町ポルト】



108.2つ目のギルド登録(ルル:マジックバッグ拡張)



「ウィンのものは私のもの。だから分ける必要はない。」


戦闘狂聖女の妄言は完全に無視することにした。

頭をはたきたかったけど、さすがに人前で聖女に対してそんなこともできない。

僕はルルさんに背を向けて、ジャコモさんに話しかけた。


「ジャコモさん、ルルさんも商業ギルドに登録できますか?」

「可能じゃよ。今後の取引をパーティーとして行うということでいいかのう?」

「はい。」

「であれば、利益を折半して両者の口座に直接振り込む形にさせて頂こう。」

「よろしくお願いします。」


ジャコモさんもルルさんの言葉は聞かなかったことにしたようだ。

この辺、察しのいい人はとても助かる。

僕とジャコモさんは手続きを行うために裏庭から商人ギルドの建物に戻ることにした。

居ない人として扱われたルルさんは、しばらく機能停止したように立ち尽くしていたが、取り残されたことに気がついて慌てて後ろを追ってきた。


商人ギルドでの手続きはジャコモさんが一緒にいることもあり、すんなり終わった。

受付嬢からルルさんのギルド登録完了が告げられると、僕の予想通りすぐに「中の女性」からのメッセージが表示された。



…収納クエストが達成されましたので表示します。…


○収納クエスト

 クエスト : ギルドに登録しよう②

 報酬   : マジックバッグ機能(倉庫)

 達成目標 : 2つのギルドに登録

 受注者  : ルル

 カウント : 達成済み



これでルルさんのマジックバッグの容量が部屋規模から倉庫規模に拡張された。

これくらい容量があれば、たいていの物は収納できるので長期遠征に出ても大丈夫だろう。

僕のマジックバッグもあるので、二人合わせれば倉庫2つ分だしね。

そこまで考えてあることに気づいた。

『転移陣』と『HOME』があるからマジックバッグってあんまり意味が無いような・・・。

いや一時保管場所としては利用価値はあるな、たぶん。



「それでは、買取交渉に入らせてもらおうかのう。というても、預かり証の発行と売却時の利益配分についての契約だけじゃが。」


ジャコモさんはそう言いながら一枚の契約書を差し出してきた。

そこには商人ギルドが『ルル様とウィン様』(パーティー名)から預かった物品を売却した場合、売却額の1割を商人ギルドが手数料として受け取り、残りの9割を『ルル様とウィン様』に振り込むことが明記されていた。

さすがジャコモさん。

いつの間に契約書を準備したんだろう?


「内容に問題無ければサインをお願いできるかのう?」


僕は念のため契約書を時間をかけて読んだ。

と言っても、簡単な内容なので確認するポイントはそれほどない。

少し引っかかったのが、「売却額の1割」というところ。

通常は「利益の○割」という表現が適当に思える。

これだと万が一原価が9割以上の場合、こちらが損をすることになる。


ただ今回のようにダンジョンで拾ってきたものであれば原価がほぼ0なので問題は無い。

厳密には装備費用とか旅費とか人件費とかも考慮すべきだろうけど、うちのパーティーの場合、それもあまり必要ないしね。

ということで、契約書にサラサラっとサインした。

ルルさんへの確認は・・・興味無さそうなので割愛させて頂いた。


「これで契約成立じゃな。次は預けてもらう商品じゃが、あの金剛石はいくつ預けてもらえるかのう?」

「とりあえず5個でお願いします。」

「50個ほどあったと思うんじゃが、5個という数字の理由を教えてもらえんか?」

「それは・・・冒険者の秘匿事項です。」


本日二度目の決め台詞使用。

でも実は5個という数字に余り意味はない。

とりあえずお試しくらいの感覚。

まあ、金剛石は希少品みたいなので、いっぺんに50個も出したら価格が下がりそうだし、オークションでどれくらいの値段になるのか様子見ってとこかな。


普通ならこれだけの高額品の場合、個人で安全に保管するのが大変だろうけど、僕の場合、マジックバッグや小屋があるしね。

でもわざわざジャコモさんに手の内を説明する必要もないので、決め台詞を使ってみた。

まあ、僕の考えなんて簡単に読まれてるとは思うけど。


「なるほどのう。もし全部売れた場合、追加交渉には応じてもらえるんじゃろうか?」

「それは、その時の状況を見て判断します。」

「フォッフォッフォッ、さすがに簡単に信用は勝ち取れんか。ぼちぼち頑張らせてもらおうかのう。」


ジャコモさんは楽しげに笑いながらもう一枚の書類に何やら書き込んでから僕の前に差し出してきた。

それは商人ギルドの預かり証で、商品の項目のところにジャコモさんの手書きで「金剛石(カット済み) 5個」と記入され、ジャコモさんのサインが添えられていた。


「万が一どなたかに譲渡される場合は、裏にその旨を記してウィン殿のサインを添えてくだされ。可能であればどこの商人ギルドでも構わんので、ギルド員立ち合いの元での譲渡がお勧めじゃ。」


なるほど、証券の裏書きみたいなもんだね。

理解しました。

これで商人ギルドでの用事は済んだかな。

そう思っていると、


「ウィン殿、もう少しだけ付き合ってもらえんか?」


ジャコモさんはそう言って立ち上がると、何の説明もなくそのままギルドの出入り口に向かって歩き始めた。

特に差し迫った用もないので、僕とルルさんはジャコモさんに続いて立ち上がり、後に従うことにした。


ジャコモさんは商人ギルドの外に出ると、そのまま真っ直ぐ通りを横断し、向かい側にある建物に入って行った。

その建物は商人ギルドよりは小さく、灰色の石造りの建物だった。

入り口には旗が掲げられているので、何かのギルドだろう。

その旗の絵をよく見ると、ハンマーとやっとこのようなものがクロスしている図柄の下に一房のブドウが描かれていた。


「ジャコモさん、ここは?」

「鍛冶士ギルドじゃよ。」


僕が尋ねるとジャコモさんが簡単に答える。

旗に描かれた絵からたぶんそうだろうとは思っていたけど、なぜ鍛冶士ギルドに?

疑問そうな僕の顔を見て、ジャコモさんが説明を続ける。


「このギルドは名前の通り、鍛治士たちが登録するギルドじゃよ。ここでは鍛冶仕事の斡旋をしたり、鍛治士の情報のやり取りをしたり、製作物の鑑定、買取、販売などを行なっておるんじゃ。」


え〜と、そういう情報もありがたいのですが、今僕が知りたいのはそういう事ではなくて、なぜここに・・・


「そしてここに来たのは、もちろん、ウィン殿の登録のためじゃよ。」


僕の戸惑いを見透かしたようにジャコモさんがそう告げた。


鍛冶士ギルドに登録?

どういうことでしょうか?

僕、鍛冶なんてできませんけど。

読んで頂いてありがとうございます。

徐々に読んで頂ける方が増え、励みになります。


誤字・脱字のご指摘、ありがとうございます。

ご感想を頂いた皆様、感謝いたします。

ブックマーク・評価を頂いた皆様、とても励みになります。

ありがとうございます。


次回投稿は3月22日(水)です。

よろしくお願いします。

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