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102.ナックルじゃなくて・・・(ミスリル武器:ガントレット)

見つけて頂いてありがとうございます。


第二章 葡萄の国と聖女


主人公が戦闘狂の聖女と知り合い、葡萄のコロンバールで様々な出来事に遭遇するお話です。


週3回(月・水・金)の投稿となります。

よろしくお願いします。


第二章 葡萄の国と聖女(102)

【コロンバール編・港町ポルト】



102.ナックルじゃなくて・・・(ミスリル武器:ガントレット)



「錬金!」


僕がそう叫ぶと青い炎がミスリルのインゴット2つを包み込む様に燃え上がった。

短剣(白)ができた時とほぼ同じ感じだ。

ルルさんとスラちゃんは二つの炎を黙ったままじっと見つめている。

しばらくして炎が消えると、白い金属の籠手のようなものが左右1対で現れた。


これ、やっぱりナックルじゃないよね。

なんて言うんだっけ?

鎧の籠手みたいなやつ。

ガントレット?

言葉ではナックルと言いながら、想像したのがこの形だった。

本来は手を守るための防具のはずだけど、ルルさんが付ければ殴るための武器にもなるだろう。


僕はガントレット(白)を拾い上げ、ルルさんの前に差し出した。

青い炎の中から生まれたばかりの武具は、特に熱を持っているわけでもなく、静かな輝きを発していた。


「ウィン、どういうことだ?」


「これ、ルルさんのために作りました。良ければ、使ってください。」


僕の言葉を聞いて、ルルさんは少し目を見開いた。

心なしか瞳がキラキラしてる気がする。


「ウィン、つまりこれは・・・ウィンからの結納の品・・・」


はい?

何言ってんでしょうね、この戦闘狂の聖女は。

どこの男が結納の品にガントレットなんて贈るんですか?

いや、この世界だとあり得るのか?

そのへんの常識、まったく分からないからな。



…ウィン様、この世界でも結納の品にガントレットを贈る風習はありません。…



そうだよね。

いくらなんでもそれはないよね。

「中の女性」、ナイスフォロー。

危うく間違った常識を刷り込まれるところだった。


「ルルさん、そんなわけないでしょう。単にパーティーメンバーのために武具を作っただけです。」


「そうなのか・・・。でもこんな高価な武具をもらったら、誰だってプロポーズだと思うだろう。」


いやいや、武器や防具をもらってそんな風に思うのはルルさんだけだと思います。

こんな物渡して結婚を申し込んだら、逆に殴られるでしょう、普通は。


「とにかく、それはルルさんのものなので・・・。武器として使えそうですか?」


「もちろんだ、ウィン。これで私の拳はさらにパワーアップされる。殴り甲斐があるというものだ。」


そう言うとルルさんは、すぐにガントレット(白)を両手に装着し、嬉々として洞窟の壁を殴り始めた。

拳で殴っているとは思えないような音が洞窟内に響く。

その振動に反応してカラードワームが出てくるが、ルルさんはワームたちを瞬殺しながら「試し殴り」を続けている。


ルルさんのことはしばらく放置することにした。

気が済むまで殴らせておくしかなさそうだし。

僕にはまだ他にしておきたいことがあるからね。


現在『武具鑑定』クエストのカウントは4/10。

とりあえず初級の『武具鑑定』は取っておきたい。

つまり最低でもあと6個の武器か防具を『錬金』で作らないといけない。


僕は時間をかけて何を作るべきか考えた。

そして作るものを決定すると、マジックバッグから鉄のインゴットを7個取り出して、目の前に置いた。

 

「錬金。」


7種類の武具を心の中で思い描きながらそうつぶやくと、7個の鉄のインゴットが一斉に青い炎に包まれた。

そしてミスリルの時よりは短い時間で炎が消えた。

素材によって『錬金』に必要な時間が異なるのかもしれない。


青い炎が消えると、そこには念じた通り、7種類の武具が出現していた。

できあがった武具の一覧は次の通りだ。



鉄の盾(1)   (タコさん用) 

鉄の兜(1)   (ウサくん用) 

鉄の撒菱(10) (スラちゃん用) 

鉄の手裏剣(5)(ハニちゃん用) 

鉄の棍棒(1) (コンちゃん用) 

鉄の槍(1) (ラクちゃん用)

鉄の胸当て(1) (ディーくん用)



従魔たちが武具を使うのかどうかは分からないけど、一応それぞれの従魔を想定しながら作ってみた。


タコさんの防御力を上げるための盾。

ウサくんの頭部を守るための兜。

スラちゃんの攻撃手段としての撒菱。

ハニちゃんが毒を塗って投擲するための手裏剣。

コンちゃんの打撃力を上げるための棍棒。

ラクちゃんが二番目の足で持つための槍。

ディーくんの小さい体を守るための胸当て。


使用者も同時に想像しながら『錬金』を行ったので、武具の大きさもきちんと従魔サイズになっている。

鉄のインゴット1個で普通の武具は1個、撒菱は10個、手裏剣は5個できるようだ。


できあがった従魔用の武具は一旦、マジックバッグの中に収納した。

スラちゃんにだけ先に渡しても良かったけど、どうせなら小屋の中で全員揃っている時に渡す方がいいよね。

初めての従魔たちへのプレゼントだし、特に急いでるわけでもないし。



…鑑定クエストが達成されましたので表示します。…


○鑑定クエスト

 クエスト : 武具を作れ①

 報酬   : 武具鑑定(初級)

 達成目標 : 武器・防具の作成(10個)

 鑑定項目 : 武具ランク(C〜E)・材質・特性

 カウント : 達成済み


○鑑定クエスト

 クエスト : 武具を作れ②

 報酬   : 武具鑑定(中級)

 達成目標 : 武器・防具の作成(50個)

 鑑定項目 : 武具ランク(B〜E)・材質・特性・耐久値

 カウント : 11/50



「中の女性」からメッセージが流れ、武具鑑定クエストが表示された。

問題なく『武具鑑定(初級)』を獲得できている。

さらには『武具鑑定(中級)』も追加表示されていた。

中級を得るには、あと39個の武具を作成しないといけないようだ。

あまり無駄なものを作りたくはないので、小屋に戻ってからよく検討しようと思う。


せっかく『武具鑑定(初級)』を獲得したので、早速自分の武器を鑑定してみることにした。

とりあえず短剣(黒)と短剣(白)に武具鑑定をかける。



(鑑定結果)

名称  : 短剣(黒)

ランク : 不明(鑑定レベル不足)

材質  : アダマンタイト

特性  : 物理特化・成長・変形


(鑑定結果)

名称  : 短剣(白)

ランク : 不明(鑑定レベル不足)

材質  : ミスリル

特性  : 魔法付与特化・成長・変形



なるほど。

予想通りの部分と予想外の部分がある。


『名称』に関しては、僕がそう呼んでるからそのままなんだろうな。

銘のある武器を鑑定するとその名前が表示されるのかもしれない。

改めて名前をつけた場合は変化するんだろうか?

あとで試してみよう。


『ランク』については鑑定レベル不足になっているので、両方とも少なくともランクB以上ということだろう。

武具鑑定レベルを上げてみないと正確なところは分からない。


『材質』については、短剣(白)のミスリルは予想通りだったけど、短剣(黒)がアダマンタイト!?

レア金属のひとつだよね。

原料のインゴットは確かスラちゃんが持って来た。

あの時はまだ島の中だけだったから島のどこかにアダマンタイトの鉱床があるのかもしれない。

これもあとで要調査。


最後に『特性』の内容だけど・・・

成長と変化は理解できる。

クエストで成長し、成長につれて形態変化が可能になるってことだろう。

事実として現時点で『短剣』『剣』『長剣』と3段階まで成長してるし。

問題は『特化』で表示されている部分。

黒は物理特化で白は魔法付与特化となっている。

物理特化はおそらく文字通り、物理攻撃に特化してると予想できる。

とても頑丈とか、切れ味が凄いとかそういうことだろう。

白の魔法付与特化は、剣に魔法を付与できるってことかな?

でも魔法付与ってどういうことだろう?

属性付与みたいなもの?

まあこれも試すしかないか。


「ウィン、これも見てくれ。」


武具鑑定の結果を精査してると、いつの間にかルルさんが隣に来て、ガントレット(白)をつけたままの両腕を差し出していた。

『武具鑑定』スキルについては、まだルルさんに説明してなかったと思うけど・・・。


「鑑定ですか?」


「そうだ。」


「どうして武具鑑定できるって分かりました?」


「ウィンのことなら、なんでも分かる。」


いや、なんでもは分からないと思うけど、たぶん僕の態度を見て推測したんだろうな。

ルルさん、何気に勘がいいですよね。

こういうことに関してだけは。

もっと戦闘関連以外のことでも、勘が良くなってくれるとありがたいんですけどね。


読んで頂いてありがとうございます。

徐々に読んで頂ける方が増え、励みになります。


誤字・脱字のご指摘、ありがとうございます。

ご感想を頂いた皆様、感謝いたします。

ブックマーク・評価を頂いた皆様、とても励みになります。

ありがとうございます。


次回投稿は3月8日(水)です。

よろしくお願いします。

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